最強のスラッガーを目指して!【本編完結】   作:銅英雄

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県対抗総力戦!埼玉選抜VS群馬選抜⑭

イニングは7回裏。依然2対1で、埼玉選抜がビハインドの状態。

 

(私達に残された攻撃はあと3回……。向こうの選手スペックを考えると、延長戦に入ると不利になるのは私達の方だ)

 

だからなんとしても9回までで、逆転しておきたいところだ。

 

「じゃあ行ってくるね!」

 

そしてこの7回裏は4番の雷轟から……。きっと風薙さんの決め球攻略の1歩を掴んでくれると私は信じてる。

 

「…………」

 

「お姉ちゃん……」

 

(点を取ってから、お姉ちゃんの雰囲気が重くなった。それにゴウちゃん達はお姉ちゃんの投げる球が変わったとも言ってた……)

 

「遥さん、気を付けてくださいよ。今の風薙彼方が投げる球はバットをすり抜けるお化け球なんですから……!」

 

4回に回ってきたゴウさんから、前のイニングの私まで、ずっと風薙さんはあのストレートを投げている。バットを貫通する摩訶不思議なストレートを……。

 

(ゴウちゃん達があんな嘘を吐くとは思わない……。だからきっとお姉ちゃんは例のバットをすり抜けるストレートを投げてくる。でも実際にどんな球かはこの目で見ないとわからないから……!)

 

「まずはこの目で確かめる……!」

 

「……良い眼だね。覚悟を決めた眼だ。遥が、妹がここまで成長してくれて嬉しいよ」

 

「お姉ちゃん……」

 

「でも勝つのは私。私が野球を続ける以上、妹に遅れを取る訳にはいかないんだよ」

 

風薙さんが今の状態になっているのは、きっと色々な葛藤があるから……。県大会が終わった後に雷轟が風薙さんに会いに行った時に、風薙さんなりに色々と抱えてああなったんだと思う。その真相を知る為には……雷轟が風薙さんを打たなきゃいけないんだと思う。

 

「行くよ……!」

 

(大きく振りかぶった……!)

 

「これが私の投げる最高の球……!」

 

そう言って風薙さんは1球目を投げる。

 

(来た!でも見た感じこれまで通りのストレート……!)

 

 

ズバンッ!

 

 

『ストライク!』

 

雷轟のバットは本来なら芯に当たっている。しかし風薙さんはあの摩訶不思議な球で空振りを取ったのだ。

 

「…………!」

 

「こんな球はありえない……と言いたげだね。でもそんな球を遥はあと2球も見れるんだよ」

 

「……最近ちょっと疲れてるからかな?目の錯覚が起こってるよ」

 

……実は結構余裕あるよね雷轟?なんでこんな緊迫した状況で、そんなふざけた発言が出来るのかな?

 

(まぁ今の雷轟に限ってふざけたりはしないか……。なんとか風薙さんの球を攻略しようと必死なんだ)

 

「……いつまでも錯覚だと思ってる?それじゃあ永遠に私の球は打てないよ」

 

(普通に考えて、ボールがバットをすり抜けるなんてありえない。だからきっとあれには何かしらのカラクリがある筈……!それを見定めるんだ!)

 

「……2球目」

 

ワンストライクから風薙さんは機械的に2球目を投げる。

 

(多分これも例の球……。どうやればバットに当たらず通過するのか、もう1度この目でしっかりと拝む!)

 

 

ズバンッ!

 

 

『ストライク!』

 

「またバットを素通りした……」

 

「どうにかなんないんですかね?あのお化け球は!?」

 

(確かにこんなのお化けでもなかったら、ありえないよ。まるで実体のない幻を見てるかのよう……)

 

雷轟も難儀している……。雷轟は今までもこうして悩んでは攻略の糸口を掴んできた。だから今回もきっと……!

 

(あれ?ちょっと待ってよ?もしかしたらあれは本当は幻かも知れないじゃん!それなら……!)

 

「遥ちゃん頑張って~!」

 

「一発デカいの狙っちゃえ~!」

 

ベンチでは先程活躍した私と雷轟と同じ新越谷新越谷のバッテリーである武田さんと山崎さんが精一杯応援している。確かに雷轟のパワーは頼りになるけど……。

 

(ヨミちゃんと珠姫ちゃんが応援してくれてるけど、それじゃあ駄目なんだよ。私だって大きいのを狙いたい……。でも偶々打てたからって、それは長続きしないと思う。だからここでどうしても調べなきゃいけない事があるんだよ)

 

ツーナッシング。風薙さんはきっと三振を取りに行く……。この打席最後のチャンスだよ雷轟……!

 

「これで三振だね……」

 

(さっき感じた妙な違和感……。その正体を確かめるんだ!)

 

『!?』

 

この場にいる全員が驚いただろう。雷轟は突如、バントの構えを取った。

 

「…………!」

 

 

コンッ。

 

 

「あ、当たった……?」

 

打球はピッチャー正面に力なく転がる。風薙さんはそれを冷静に処理して……。

 

『アウト!』

 

「な、何やってるんですか!?」

 

「な、何か狙ってのバントだったんですよね!?」

 

「わわっ……!?」

 

ゴウさんと番堂さんが早速雷轟に詰め寄って来た。まぁ気持ちはわかるけど……。

 

「ご、ごめんね?でも……今のでもしかしたら球の正体がわかったかも知れないんだ」

 

『ええっ!?』

 

今のバントで雷轟は球の正体を掴んだかも知れないとの事。やっぱり雷轟の野球センスには驚かされるね。

 

「まだ曖昧なんだけどね……?」

 

雷轟が後続の打者に軽く作戦を伝えた。

 

「そ、それが本当なら……」

 

「中々面白い話じゃないですか!」

 

雷轟の作戦によって反撃の火蓋が切られるかも知れない……。

金原いずみの藤和生活……(藤和高校野球部の登場人物は全てオリキャラ及び他作品キャラになります)見たい?

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