「いくよ遥。私の全力、打てるものなら打ってみて……!」
風薙さんは大きく振りかぶって投げた。
(来た……!この球の正体は朱里ちゃん達が必死で探し出してくれた。実体があるのは……幻の手前の1メートル!)
「ここだっ!!」
カキーン!!
『ファール!』
(よし!いける、いけるよ……!)
「…………」
かなり早いテンポで風薙さんは2球目を投げる。雷轟が当てて来たのに対して、余り動揺は見えていないけど……?
「くっ……!」
カキーン!!
『ファール!』
(速度を上げたのに、着いてきた……)
(1球目よりも速いよ……。でも負ける訳にはいかない……!)
カキーン!!
『ファール!』
カキーン!!
『ファール!』
カキーン!!
『ファール!』
カキーン!!
『ファール!』
『な、なんと雷轟選手、これで6連続ファールです!』
『4回に点を取られてから、ここまでずっと風薙選手は同じ球を投げ続けています』
『他の球種を投げないのは本人の意地とかですか?』
『そうですね。風薙選手は雷轟選手と何か確執があるように見えますので、それも関係があるのかも知れません』
『そういえばこの2人は血の繋がった姉妹との情報が来ています!』
『違う苗字、違う家庭環境、そして違う野球チーム……。様々因縁があった2人ですが、この打席でそれも決着になりそうですね』
(雷轟……。頑張れ、頑張れ……!)
((彼方先輩……!))
多分私が雷轟を、上杉さんとウィラードさんが風薙さんをそれぞれ応援……というか何かしらを祈っている形になっていると思う。姉妹の意地と意地がぶつかり合っているこの打席は……。
カキーン!!
『ファール!』
「はぁ……!はぁ……!ど、どうあってもその球しか投げないんだね……!?曲がる球で来ても私は恨まないよ……?」
「はぁ……!はぁ……!遥が何と言おうと、私はこの球を投げ続ける。この球で決めてみせる……!」
特に風薙さんが強い意志を持って投げている。今投げているその球が決め球だから……。
「私の、私の先には誰にも行かせない……!例え1人になったとしても、私の歩む道の邪魔はさせないっ!!」
これで8球目だけど、これまでの球よりも勢いがある。恐らくこの1球で決まる……!
「雷轟っ!!」
(大丈夫だよ朱里ちゃん……。今の私はなんか凄く落ち着いてる。お姉ちゃんを元に戻したいって想いと、今のお姉ちゃんには負けたくないって思いがグルグルと渦巻いているけど、私はきっとそれ等を振り払って……)
「この球を打ってみせるからっ!!」
カキーン!!
『つ、遂に雷轟選手が風薙選手の剛球を捉えました!!』
雷轟が放った打球は大きく伸びて行き……。
ドゴッ!!
『と、時計の文字盤に刺さりました!雷轟選手によるサヨナラツーランホームランです!!』
今でもなんか信じられない……という気持ちが強い。でもそれ以上に埼玉選抜の優勝が決まったこの瞬間がとても嬉しい!
「朱里ちゃんっ!」
「雷轟……。お疲れ様」
パンッ!!
私と雷轟のハイタッチの音が響き渡り、それが余計に群馬選抜に勝った……という実感を強くした。
ピシッ……!
しかし何かが割れる音がした事に、この試合の後に日常ではありえない出来事が起こる事に、まだ私達は気付いていない……。
金原いずみの藤和生活……(藤和高校野球部の登場人物は全てオリキャラ及び他作品キャラになります)見たい?
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