最強のスラッガーを目指して!【本編完結】   作:銅英雄

190 / 1797
番外編 二宮瑞希の白糸台生活 秋~春へ34

試合は6回表。スコアは1対1の同点です。

 

「両投手譲らないな」

 

「硬直状態……」

 

「ですが互いのピッチングの内容を見るに、有利なのは梁幽館の方でしょう」

 

「和美は段々と打たれなくなっていってるし、なんとなくわかる」

 

「武田も負けていないように見えるが、この回で捕まえそうだな」

 

 

ズバンッ!

 

 

『ストライク!バッターアウト!!』

 

この回は9番から。先頭打者は問題ないでしょうが……。

 

『1番 ライト 橘さん』

 

この次のはづきさんですね。今日の試合で唯一の2安打打者ですから……。

 

「はづきは試合を重ねる度に成長を繰り返している」

 

「この試合でも当たっているな。唯一の得点者に加えて、唯一2安打打っている打者だ」

 

夏大会での梁幽館は西浦さんが武田さんキラーでしたが、この試合でははづきさんがその役割を担っていますね。

 

 

カンッ!

 

 

『ファール!』

 

1球見送ってからの、カット打ち……。新越谷にとってははづきさんを切れるかどうかで流れが変わってくるでしょう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ズバンッ!

 

 

『ボール!』

 

「これでフルカウントか……。橘も粘り強くなってるな」

 

「中々出せるしぶとさじゃない……」

 

「はづきさんの粘り強い部分はシニア初期の時代からその頭角を表していました」

 

(まぁ尤もそれは主に朱里さんへのアプローチに対して……ですが)

 

あの情熱を野球に向けてくれれば大成する……と六道さんは言っていましたが、それが今実現されようとしているのでしょうか?

 

「しかし武田の球は簡単に打てるものではない。現に連続でヒットを打てているのは橘だけだからな」

 

「夏大会において武田さんとの相性が良かった西浦さんも2打席目は凡退していましたからね。それと梁幽館ではもう1人……加藤さんが最近の成績では伸びています」

 

それでもこの試合においては武田さんを打ち切れていない……。やはりはづきさんが唯一の突破口ですね。

 

(一体どこからそんな情報を仕入れてる?うちは極力情報を洩らさないようにしてる筈だけど……)

 

 

カキーン!!

 

 

9球目。遂にはづきさんは武田さんの球を捉えました。その打球は右中間に。

 

『セーフ!』

 

今度は二塁打ですか……。その内亮子さんのようにサイクルヒット達成しそうですね。

 

「タイム!」

 

ワンアウト二塁という場面でタイムが掛かりました。掛けたのは梁幽館側ですか……。

 

「監督がタイムを掛けた……?」

 

「上位打線を代えるのか……?」

 

「……いえ、どうやら代走のようですね」

 

「代走……?橘を代えるというのか?」

 

「はづきを代えると、武田を完璧に打てる打者が減るんじゃ……?」

 

「ここが勝負所と踏んだのでしょう」

 

そうなるとこの場で出てくるのは……やはり静華さんでしたね。

 

「はづきさんの代走として出て来たのは彼女でしたか……。これは確実に点を取りに行く動きですね」

 

「二宮は彼女を知っているのか?」

 

「シニアが一緒でしたからね。彼女自身は相変わらずみたいですが……」

 

「あの奇抜なマフラーみたいなのを付けているのはシニアからずっと……?」

 

「彼女曰く物心付いた頃から身に付ける忍の証……だそうです」

 

少なくとも出逢った時点では既にあのマフラーを装着していましたね。

 

「そういえば本人もそんな事を言っていたな。それで他の部員からは敬遠されがちだが……」

 

「個性が強過ぎる彼女ですが、決して悪い人間ではありません。こうして代走として出場しているのなら、梁幽館の部員達も彼女を認めている……という事でしょう」

 

というか認めざるを得ないでしょうね。静華さんの走力は三森3姉妹より上……という次元ではありませんから。

 

「それでも未だに彼女には慣れない……」

 

「それもまた個性……と割り切った方が良いのかも知れません」

 

言動を気にしなければ、立派な戦力です。最早梁幽館側も静華さんの言動を気にしていないのでは……?

 

「あっ、走った」

 

初球から静華さんは仕掛けてきました。ボールがキャッチャーミットに収まる前に既に三塁へと到達しています。やはり規格外の走力ですね。

 

「村雨の走塁を見るのはこれが初めてだが、あんなに速かったのか……」

 

「あんなに悠々とした三盗を見たのは初めて……」

 

3年生がいる時点では静華さんは裏方に徹していたそうです。なんなら高校生になって表舞台に出るのはこの試合が初めてなのでは……?

 

「それが村雨静華……という人間です。美園学院の三森3姉妹以上の走力を持ち、足の速さを活かした守備力は無限大の守備範囲を誇り、更に……」

 

「更に……?」

 

「……ここから先は新越谷の攻撃になればわかると思います。少なくともこの場で言えるのは梁幽館は確実に1点を取る……という事です」

 

フルカウントまできていますが、果たして……。

 

 

ズバンッ!

 

 

『ストライク!バッターアウト!!』

 

「三振か……」

 

「これでツーアウト……」

 

「確かに三振で終わりましたが、それと同時に静華さんがホームスチールを成功させています」

 

これまたキャッチャーミットに収まる前に静華さんはホームへと辿り着いています。ワンアウトだったから出来た事ですね。

 

「ホームスチールまでいとも容易く……」

 

「……確かにこの走塁は次元が違うと言わざるを得ないな」

 

静華さんのホームスチールによって、梁幽館は勝ち越しに成功しました。

金原いずみの藤和生活……(藤和高校野球部の登場人物は全てオリキャラ及び他作品キャラになります)見たい?

  • 見たい
  • 見たくない
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。