日葵さんが三振に倒れ、トボトボと落ち込んだ様子を見せて戻ってきました。
「日葵が空振りなんて珍しいわね。ガールズ時代でもほとんどしなかったのに……」
陽奈さんの言うように、日葵さんは空振りは少ないのです。好球必打の傾向の割には意外だと思いました。
「……朱里ちゃんの変化球、前よりもキレてたよ。あのフォークは簡単には打てないかもね。悔しいけど……!」
「あ、あの日葵ちゃんがそこまで言うなんて……」
「それが朱里さんですからね」
変化球の完成度は高くなる一方ですが、朱里さんのスタミナ増強の傾向は一切見られません。恐らく球種開発に力を入れているのでしょうね。朱里さんはもしかして抑え投手として君臨する予定なのでしょうか?
「ミズキさんがそこまで言うとは……。アカリさんの球はワタシが打ってみせマース!」
今回のオーダーで4番になったバンガードさんが張り切っています。やる気があるのはとても良い事なのですが……。
「始めに言っておきますが、この試合においてバンガードさんは期待出来ません」
「why!?」
「バッサリ切ったな……」
今の朱里さんの投球スタイルはバンガードさんと相性が悪いです。というか朱里さんどころか新越谷の投手陣には余り強く出れそうにはありませんね。ジャイロボール主体の藤原さんくらいでしょう。
「映像からでは伝わりませんが、朱里さんは変化球主体の投手な上に、変化球の種類も多いので、バンガードさんとは相性が極めて悪いです」
「ぐぬぬ……!映像ではただのストレートにしか見えないノニ……!」
「それが朱里さんの持ち味です。如何に変化球をストレートと類似させられるか……。それを朱里さんがシニア時代にとある人に教わった技術を精一杯に仕上げました」
「とある人って……?」
「その方は今アメリカにいます。私も彼女の情報は余り持っていませんが、その中でわかるのは彼女が投げる球は朱里さんの完全上位互換である事……それだけです」
「早川さんが今投げている球の……!?」
「更に彼女は来年の夏大会にて日本の高校で出場してきます。そうなると白糸台にとっては最大の敵となるでしょう……」
「そ、そんなに……!?」
まぁあまり多くを名言する必要はなさそうですね。今はこの試合についてです。
「ですので彼女に勝つ為にもこの試合で朱里さんの突破口を掴みましょう」
「それが今日の試合の目的……という事ですか」
「そうなりますね。陽奈さんは今日の面子の中では日葵さんと並んで期待出来る打者です。頑張ってください」
対朱里さんにおいては佐倉姉妹の打撃が必要になってきます。夏以降も考えると尚更に……。
「二宮さん……はい、行ってきます!」
佐倉姉妹は守備方面でもかなり活躍が見込めます。期待していますよ。
(気になるのは彼女が入る予定である日本の高校にあの『上杉真深』さんや『ウィラード・ユイ』さんが一緒に来るかも知れないという事……。今もアメリカで同じチームで活躍しているみたいですし、仮に彼女達が清澄のような無名の高校に入ったとしてもその高校は間違いなく全国で1、2を争うチームに仕上がるでしょうね)
超高校級の投手とスラッガーであるウィラードさんと上杉さん、そして現時点でもプロやメジャーでも十二分に通用する風薙さん……。次の夏は彼女達の事も考えなければなりませんね。
「……願わくばあの人達が同じ地区には入ってほしくないですね」
「瑞希ちゃん、何か言った?」
「……いえ」
ズバンッ!
『ストライク!バッターアウト!!』
「ああっ!?お姉ちゃんも三振しちゃったよ……」
「……早川からは神童元部長のような雰囲気を感じるな」
新井さんの呟きも決して大袈裟ではないのかも知れません。朱里さんは新越谷で更に成長しています。
(ですが成長しているのは鋼さんも同じ……)
むしろ伸び代だけで言えば、鋼さんは朱里をも上回っています。その伸び代を上手く生かすのが捕手としての務めですね。頑張っていきましょう。
金原いずみの藤和生活……(藤和高校野球部の登場人物は全てオリキャラ及び他作品キャラになります)見たい?
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