最強のスラッガーを目指して!【本編完結】   作:銅英雄

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番外編 二宮瑞希の白糸台生活 秋~春へ47

試合は6回裏まで進みました。

 

スコアは1対0のまま、私達白糸台に至っては5回までノーヒットだった訳ですが……。

 

 

カンッ!

 

 

「ナイバッチー!」

 

「ようやく早川を捕まえたか……?」

 

7番、8番と連続で朱里さんの球を打ち、ノーアウト一塁・二塁のチャンスが訪れました。

 

(ヒットを打てたとはいえ、朱里さんの球はまだ勢いがあります。新越谷の守備シフトを上手く突いた良い安打ですね)

 

お膳立てをしてもらった感じもしますが、チャンスの場面で私に回ってきましたね。

 

(状況的には併殺を避ける為に送りバントでワンアウト二塁・三塁にするのが無難ですが……)

 

「瑞希ちゃん!」

 

「頑張ってくださいね」

 

ここまで期待の声もらっておいて、それは違う気がしますね。

 

「行ってきます」

 

なるべく良い形で次の日葵さんに繋げたいものです。

 

(ここが恐らく最大のチャンスですね。もしもここで点が取れないとなると私達の敗北はほぼ確定と見ても良いでしょう)

 

『9番 キャッチャー 二宮さん』

 

勝負ですよ。朱里さん。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

カンッ!

 

 

『ファール!』

 

それなりに球数を稼ぎましたし、私の仕事としては終わりで良いでしょう。本来ならば……。

 

(カットもギリギリですね。タイミングが寸分でも違えば空振りになってしまいます。向こうにそれが悟られてないと良いのですが……)

 

(ボール球は見逃されるし、ストライクゾーンを通る球はギリギリのところでカットされるし、状況が悪くなる一方だ。どうしたものかね……?)

 

「良い感じに瑞希ちゃんが粘ってるね」

 

「二宮さんは私達の為に早川さんの球数を費やしてくれています。日葵、私達のバットで白糸台を逆転まで導くのよ。二宮さんの頑張りを無駄にしないようにね」

 

「もちろんだよ!陽奈お姉ちゃん!」

 

(1年生達の結束が深まっていく……。これも二宮の人徳のお陰だろうな。まぁ本人は自覚が全くないみたいだが……)

 

「ミズキさん、fightデース!」

 

「頑張って……!瑞希ちゃん!」

 

(今の主力メンバーを中心に1年生にまとまりが出来ているのは間違いなく二宮に感化された影響だろう)

 

私を応援してくれている彼女達の為に、次へ繋ぎたい……。そう思ってしまいますね。

 

(これも甘さから出た想い……ですか)

 

しかしそれを否定しようとは思いませんね。どこか心地良いと思っているからでしょうか……?

 

「タイム!」

 

ここで山崎さんがタイムを掛けます。朱里さんの息を整える為のものでしょう。今の内に私も色々と整理しておきましょう。

 

(朱里さんの持ち球、バッテリーの配球、投げられたコース、そして7番、8番の打者が朱里さんの球を打てた事……。これ等を考慮して次に朱里さんか投げる球を予測していきましょう)

 

「……1つだけ、試したい事がある」

 

「試したい……事?」

 

「これが失敗すれば一気に逆転を許されてしまう……。試しに何球か投げたけど、未完成なんてレベルじゃないくらいに酷かった……。大分マシになったとは思うけどね」

 

「それが……二宮さんを抑える術になりうるの?」

 

「それはわからない……けど、意表は突けると思うし、やってみる価値はあるかもね。その分リスクも高い。所謂ハイリスクハイリターン……ギャンブルだよ」

 

「……朱里ちゃん、私は朱里ちゃんを信じるよ」

 

「……ありがとう。今は二宮達を抑える事に専念させてもらうよ」

 

タイムが終わり、山崎さんが戻ってきました。

 

「お願いします!」

 

山崎さんの表情が変わりましたね。そして……。

 

「…………!」

 

(……今の朱里さんからは今までの朱里さんとは比べ物にならない何かを感じますね。余りこういうのは信じないのですが、現に朱里さんからは風薙さんの影が重なって見えます)

 

今の朱里さんとして完成させた切欠を作ったのが風薙彼方さんです。アメリカにいるそうですが、近々日本に来るそうです。

 

(これが私の全力……!あの人から教えてもらった集大成をこの1球に捧げる!)

 

次で丁度10球目ですね。朱里さんは全身全霊の力でぶつかってくるでしょう。

 

(速度、軌道から察するに朱里さんが投げてきたのはストレートか、ストレートに見せ掛けた変化球。もしも後者なら今の私では当てる事は出来ません。狙いはストレート1本に絞りましょうか)

 

 

ズバンッ!

 

 

『ストライク!バッターアウト!!』

 

(……後者の方でしたか。今の1球は風薙さんを連想させる良い球でした。あれを投げ続けられると日葵さんや陽奈さんでも打つのは不可能でしょう。偶々投げる事の出来た1球である事を願うしかありませんね)

 

「瑞希ちゃん……」

 

「繋ぐ事が出来ずすみません」

 

「……まぁ早川が投げた最後の1球はこれまでの早川とは違った。ここにきてまたギアを上げてきたな」

 

ここで追い付きたかったですが、悔いても仕方がありませんね。まだチャンスは継続していますし、まずは同点を目指しましょうか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ズバンッ!

 

 

『ストライク!バッターアウト!!』

 

結果だけを言うと、勢い付いた朱里さんから打つ事は出来ませんでした。

 

『ゲームセット!』

 

試合は1対0で私達白糸台は敗北……という形で終わりました。

金原いずみの藤和生活……(藤和高校野球部の登場人物は全てオリキャラ及び他作品キャラになります)見たい?

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