二宮瑞希です。再び河川敷に訪れると、風薙さんとウィラードさんがキャッチボールをしていました。連絡してから戻ってくるの早いですね……。
「……ここに来ると思ってたよ。朱里ちゃん!」
「お久し振りです。風薙さん」
私もそうですが、朱里さんも風薙さんと会うのは3年ぶりになるんですね。
「……遥は元気してるかな?」
「そうですね。相変わらず元気いっぱいです。その、雷轟とも1度話し合った方が良いと思いますよ」
「そう……だね……。うん、わかってはいるんだけど……」
話の流れで風薙さんと雷轟さんが姉妹だという事が確定しました。容姿や性格で薄々察してはいましたが……。
(そうなってくると、苗字が違う事に疑問が出て来るのですが……)
頼まれてもいないのに、そこまで調べるのは野暮というものでしょう。私にも情報収集の線引きくらいはします。
「初めまして……かしら?早川さん。私はウィラード・ユイ。真深と彼方先輩のチームメイトで、ルームメイトよ」
「は、早川朱里です。よろしくお願いします……」
朱里さんは動揺した様子でウィラードさんと握手をしています。有名人と会った時みたいな初々しい反応ですね。
「私は先程会いましたが、改めて……。二宮瑞希です。上杉さん、ウィラードさんと3月に相見える事を楽しみにしています」
先程済ませましたが、一応私の紹介もしておきましょう 。
「貴女の事はとても印象に残っているわ。小柄な体型とはいえ裏腹に、物怖じせず彼方先輩の投げる球を全球堂々と捕球していたもの」
「彼方先輩の球を捕ったって話を聞いた時は耳を疑ったけれど、本当だったのね……」
「驚くのも、疑うのも無理もありません。風薙さんの投げる球を初見で捕れる選手はいない……と騒がれているくらいですしね。自惚れるつもりはありませんが、捕球技術と情報力に関して私は誰にも負けません」
特に情報ですね。生業にしてから10年以上……。私にとって必要な情報を集め続けています
「まぁフロイスさんくらいかもね。風薙さんの球を初見でも捕れる捕手は……」
「確かにリリは初見でもバンバン捕ってたね。だから私専属捕手みたいな扱いになってたんだけど……」
「いつからかリリ先輩がそれを良く思わなくなったんですよね……」
唯一風薙さんの球を捕り続けていたフロイスさんは風薙さんの専属捕手扱いに不満を持つようになった……という話は本人から電話で2時間に渡る愚痴を吐いていました。
「世界一の中学生捕手とも名高かったリリ・フロイスにもそんな欠点があったのね。専属捕手なんてむしろ価値観が上がりそうなものなのに……」
3人の中で唯一別のシニアだったウィラードさんは意外そうに呟いていました。
(そんなフロイスさんはドイツの高校に入学しましたが……)
ふらふらと、飄々としているあの人が1ヶ所に留まる事が想像出来ませんね。
「話を戻して、瑞希ちゃんは本当に凄い選手だよ。アメリカにはまずいないタイプの捕手だし、私からしたら世界でも1、2を争う捕手だと言っても過言じゃないもん。それはプロ選手を含めた全員の中で、2人といない最高の捕手……」
「……それは流石に誇張し過ぎだと思います」
私なりに精一杯やっているつもりではありますが、精々中の上くらいだと思っています。
「……彼方先輩の球を初見で捕れるだけである程度は察していたけれど、二宮さんって本当に凄い選手なのね」
「そうね……。3年前はまだそれが表に出ていなかったもの」
「私は黒子に徹する方が性に合っていますから、表に出て行動するのはいつも他の人に任せています」
裏で暗躍する方が合っています。静華さんと同じです。
「そんな瑞希ちゃんはシニアリーグの世界大会に向けて何か動いているのかな?」
「……そうですね。この場では口にしませんが、既に他国の有力選手の情報は8割方抑えています。もう3ヶ月もありませんしね」
有力な選手以外にも最低限の情報がほしいところではあります。
「ねぇ真深、もしかしたら私達の情報も既に……」
「……ええ。抑えられていても可笑しくないわ」
今ヒソヒソ話をしている上杉さんとウィラードさんの情報も入手していますが、この2人は後半になるにつれデータが宛にならないと思われます。この2人を抑えるとしたら朱里さん任せになるのでしょうか……?
金原いずみの藤和生活……(藤和高校野球部の登場人物は全てオリキャラ及び他作品キャラになります)見たい?
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