二宮瑞希です。空港から飛行機に乗っていざアメリカへ出発です。
「そういえば茜さんはご一緒ではないんですか?確か女子日本代表の監督を勤めるんですよね?」
「ああ、母さんとは別行動なんだよ。なんか色々やる事があるみたい」
どうやら朱里さんと茜さんは別行動のようです。一国の監督ともなれば仕事量が違うのでしょうね。
そして飛行機でアメリカへと向かっている道中、互いに近況報告です。
「すると洛山は風薙さん達がいるところと練習試合をした……と?」
「うん。でも14対11で負けちゃったんだよね……」
「そのスコアから察するに先発したのは風薙さんではありませんね?」
洛山高校は確かに攻撃的なチームですが、それでも風薙さんが投げたなら完全試合を達成させる事も難しくはないでしょう。
「そうだね。投げてたのはウィラードさんだったよ」
「えっ?ウィラードさんから11点も取ったの?凄くない?」
確かに普通なら朱里さんのように大金星な評価をあげられるでしょう。しかし……。
「でもウィラードさんは全然本気を出してなかったんだ。打たせて取る……って感じのピッチングをしてたから。多分世界大会まで手の内を晒さないようにする為だと思うんだけど……」
「過去のウィラードさんからは考えられないスタイルですね。群馬県にある遠前高校……でしたか。そこの野球部に入ってウィラードさんなりに何かを掴み、成長したのでしょう。確か遠前高校には天王寺さんもいた筈ですからね」
天王寺さんが有するチームは初心者の集まりですが、全国常連クラスの成績を残す事で有名です。加えて風薙さん、上杉さん、ウィラードさんの3人もいるとなると、全国優勝しても可笑しくありませんね。
「あとびっくりした事があって、遠前の捕手がなんと水鳥先輩だったんだよ」
「えっ?水鳥さんが?」
「水鳥さんですか……。あの人の捕手としてのセンスはかなりのものでした。しかし何故野球を辞めたのかはよくわからないんですよね。私からすればもったいない限りです」
(いや、水鳥先輩が野球を辞めたのって……)
(十中八九二宮が原因だと思うなぁ……)
私のリードは水鳥さんのリードを参考にしている部分もあります。少なくともリトルで終わらせるのはもったいないと思っていました。
「それに下位打線は本気を出したウィラードさんを打てなかったし、最終回に交代で出て来たその風薙さん……?には私も非道さんも手も足も出なかったし……」
どうやら風薙さんはラストイニングだけ登板したようですね。采配は基本的に天王寺さんが行っているようですが、狙いがいまいち掴めませんね……。
「やはり和奈さんでも風薙さんを相手に初見で打つ事は不可能ですか?」
「ドロップとナックルにはなんとか着いて行けたんだけど、その後に投げられた球は空振りしちゃったなぁ……」
その後に投げられた球……というのは、恐らく私と朱里さんに投げたバットを貫通する摩訶不思議なストレートの事でしょう。
「和奈さんはその球に対して何か攻略法は浮かびましたか?」
「う~ん……。なんとなく、ボンヤリとしかわからないかな?朱里ちゃんが投げてるストレートに見せた変化球と性質は似てるんだけど、それは変化球とは言えなさそう。打ったと思ったらバットをすり抜けちゃったし……」
初見ではやはりその感想になりますね。まるで幻覚を見せられているかのような。ですが……。
「まだ曖昧ですが、あのストレートに対してわかった事があります」
「えっ?瑞希ちゃんはあれの正体がわかるの!?」
「私もなんとなく……だけど」
「朱里ちゃんも!?」
朱里さんも同様の事を思ったらしく、和奈さんにその内容を話します。
「……成程。確かにそれなら当てる事は出来るね。本格的な攻略法はそこから見出だすって事で良いのかな?」
「多分ね。清本ならそれが出来ると思うよ」
「……まぁ風薙さんと相見えるのは次の夏の全国大会、或いは県対抗総力戦になりますので、その話はその時にしておきましょう」
「そうだね……」
何れにせよ風薙さんを攻略するのは来年の夏……。それまでに牙を研いでおきましょうか。
金原いずみの藤和生活……(藤和高校野球部の登場人物は全てオリキャラ及び他作品キャラになります)見たい?
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