最強のスラッガーを目指して!【本編完結】   作:銅英雄

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番外編 二宮瑞希の白糸台生活 世界大会編⑬

7回表。台湾代表の打線を抑える為に、朱里さんが投げています。それにしても……。

 

(……また、一段と成長しましたね。ストレートに見せた変化球も関東大会で私に投げてきた時と同等……いえ、もしかしたらそれ以上なのかも知れません)

 

(あれから私なりに精一杯練習してきた。それが今の偽ストレート……。クローザーという事でスタミナを気にせず思い切り投げる事で、関東大会で二宮達に投げたあの偽ストレートをいつでも投げる事が出来るようになった)

 

やはり朱里さんの成長速度は凄まじいですね。この世界大会でどこまで成長していくのか……。気になります。

 

 

ズバンッ!

 

 

『ストライク!バッターアウト!!』

 

3番打者を3球三振。そして……。

 

「…………!」

 

(4番の陽春星さんですね……)

 

コースはど真ん中へ。普通の投手で、普通の球なら、呆気なく場外へと運ばれる事でしょう。しかし投げているのは朱里さんです。

 

 

ズバンッ!

 

 

『ストライク!』

 

(あの陽春星さんが全くタイミングを合わせられていませんね。朱里さんは最後に対戦した関東大会の時とは比べ物にならないレベルで成長しています。これならアメリカ代表に勝つのも夢ではないかも知れません……!)

 

(調子が良い……。試合で投げるのは関東大会の決勝戦以来だけど、実戦で投げるとこんなにも充実した、気持ち良いピッチングが出来るんだね)

 

 

ズバンッ!

 

 

『ストライク!』

 

「あの陽春星さんをあっさりと追い込んだ!」

 

「流石、早川朱里……。私達を翻弄した投手」

 

カウントはツーナッシング。このまま3球で決めてしまいましょうか。

 

(陽春星……。台湾のシニアでその打撃力を買われて、台湾一のスラッガーまで登り詰めた訳ですが……)

 

 

ズバンッ!

 

 

「……っ!?」

 

『ストライク!バッターアウト!!』

 

世の中上には上がいます。今の朱里さんを打てる打者は片手で数え切れるくらいしかいないでしょう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ズバンッ!

 

 

『ストライク!バッターアウト!!』

 

そして最後に5番打者を3球三振。

 

『ゲームセット!!』

 

5対6で私達日本代表が勝利しました。

 

「やった―っ!」

 

「まずは初戦突破だね!」

 

「この調子で世界一を目指していこーっ☆」

 

『おーっ!!』

 

いずみさんを中心にチームが団結していますね。この光景だけを見ると朱里さんよりもいずみさんが日本代表のキャプテンに見えますが……。

 

(チームを纏める存在=キャプテン……という訳ではありません。圧倒的な実力を見せ付ける事もまたキャプテンの資質という事です)

 

私はそんな朱里さんを支えていきましょう。

 

(……メールですね)

 

相手は……。

 

「…………」

 

「二宮?どうしたの?」

 

「……いえ。なんでもありません」

 

私はメールの返信を済ませ、朱里さん達の所へ戻りました。

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