ワンアウト一塁。打席にはアメリカ育ちのスミス・アンナさんが入り、渡辺さんは初球を低めに投げますが……。
カンッ!
『ファール!』
「初球から対応してきたね」
「過去のデータによりますとスミスさんはストレートのような速い球に対する打率は低めのようですが、流石に対応力が上がってきていますね」
データ通りにいく方が少ないので、私は更に予測範囲を増やします。そうして増やし続けてきた結果、今のように対抗策を高橋さんに伝える事も出来ます。
カンッ!
4球目に投げられた低めのストレートを捉えられましたが、その打球はセカンド正面……。余程の事がない限りは併殺が取れるでしょう。
「よしきた!」
セカンドを守る雷さんが素早い動きで打球を処理。そのまま併殺を取るのに成功しました。
(しかし嫌な予感がしますね……)
その予感が杞憂ならばどれ程良かったでしょう。試合が進むとその予感が正しくなってくるでしょう。
「よし!先制点取りに行こう!」
ともあれ次はこちらの攻撃。いずみさんが張り切って打席へと向かいます。
「うわっ!何あれ!?」
誰が叫んだのか、釣られて声の方向見ると……。
「外野前進し過ぎでしょ……。内野後退の位置よりも前じゃない」
遥か前へと前進している外野陣がそこにいました。まぁオーストラリア代表の野球は常にこれですからね。
「あれがオーストラリアの野球名物。『二重内野守備』ですね」
「に、二重内野守備……?」
世界大会初参加の人達には馴染みのない陣形でしょう。
「オーストラリアの野球選手は足の速さを活かした守備を見せる為に、外野手があのような前進守備をするんです」
「で、でもそれなら外野の頭を越せば長打のチャンスだよね?」
理屈の上ではそうですが、それが簡単にいかないからあの陣形です。当然今打席に立っているいずみさんも長打狙いですからね。
カキーン!!
「初球から行った!」
「フェンス直撃が狙えるんじゃない!?」
打球方向はセンターフェンスに勢い良く飛んでいます。本来ならこれで三塁打は狙えるでしょう。
(や~、普通ならランニングホームランいけそうなんだけどね~)
バシッ!
『アウト!』
当然の如く、センターは打球に追い付きます。
「う、嘘!?あそこからフェンスまで追い付けるの!?」
「これがオーストラリアの野球です」
今打球を取ったのは王さんですが、外野全員が静華さんや三森3姉妹並の守備範囲を取ったのは誇っています。そして範囲なら内野陣も負けてはいないと思われます。
「この野球をするようになった切欠が2年前のシニアリーグの世界大会で1人の選手がある偉業を成し遂げた事……。そこからオーストラリアの野球は外野手があのように前進守備をするようになったのよ」
「確かその人は今でもメジャーリーグで活躍していますね」
2年間継続している守備……。伝統に従っているとはいえ、あのような選手を次々と育成が出来るオーストラリアの野球環境は侮れませんね……。
金原いずみの藤和生活……(藤和高校野球部の登場人物は全てオリキャラ及び他作品キャラになります)見たい?
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