和奈さんを打ち取ったにも関わらず、ウィラードさんはマウンドにいるまま……。それはワンポイントの終わりを意味します。
「それにしても思ったよりも早いね?早くても次のイニングくらいからだと思ってたよ」
「私も同意見です……が、リードを許してしまっている以上、予定よりも早めてのウィラードさん投入……という訳ですね」
予定が前倒しになったくらいなので、まだまだ想定の範囲内ですね。
ズバンッ!
『ストライク!バッターアウト!!』
5番の夕香さんは三振に。先程までアルヴィンさんの球とはレベルが違う故に、この打席は致し方ないでしょう。
「アンダースローだからなのかな……?感じる球速がアルヴィンの時の比じゃないわ」
「データを見る限りアルヴィンさんとウィラードさんの最大球速に差はほとんどありません。それでもウィラードさんの方が速く感じるのには2つの理由があります」
最大球速そのものは差がほとんどありません。しかしアンダースローであそこまでの球速を出せる投手……しかも高校生にそう多くはいないでしょう。
「2つの理由?」
「1つ目は夕香さんが先程言っていたように、ウィラードさんがアンダースローの速球派投手だから……。アンダースローは基本的に速球派の投手はかなり稀少で、ウィラードさんの場合はそれに加えてオーバースローの投手並の球速を持っています」
尤も夕香さんが空振りする理由の7割くらいは次の理由が当てはまるでしょう。
「2つ目は手元で伸びてくるストレートですね。これに関しては朱里さんも得意としていますが、ウィラードさんの投げるストレートは打者の手元で伸びていき、更に下から上にホップする印象なので、高めボール球3つ分のコースを予測してスイングしないと、当てるのがほぼ不可能になります」
「高めのボール球3つ分なら、見ていけば四球を狙えるんじゃないの?」
「それは無理でしょうね。ボールの軌道はストライクゾーンを確実に通っていく上に、ウィラードさんの投げるコースは絶妙に打者が手を出しやすいコースを突いて来るのですから……」
本当に厄介なのは打者が手を出しやすい……という部分です。元よりストライクゾーンを通ってくるコースなので、多少コースやフレーミングがずれたとしても、打者はほぼ確実に振って来るのです。
ズバンッ!
『ストライク!バッターアウト!!』
これで三者連続三振ですか……。流れを完全に持って行かれましたね。
「……早川さん、少し早いけれど、裏の回から投げてもらっても大丈夫かしら?」
「……わかりました。残りの4イニング、精一杯頑張ります」
こちらも朱里さんを投入ですね。向こうに流れを渡し切らないように頑張りましょう。
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