最強のスラッガーを目指して!【本編完結】   作:銅英雄

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番外編 二宮瑞希の白糸台生活 2年目春②

二宮瑞希です。スカウト組が入ってから3日……。今日は練習試合が行われます。

 

「今日は練習試合を行う。先日にも言ったが、大切なのは自身の役割を全うする事だ……。それを忘れずに試合に臨め!」

 

『はいっ!!』

 

新1年生20人による試合……。紅白戦ではなくいきなり対外試合なのは気掛かりではありますが、こうして一足早く白糸台野球部の練習に参加が出来るその実力を信じましょう。

 

「な、なんだか自分の事でもないのに緊張しちゃうね……」

 

「私達の仕事は彼女達の役割の採点……。しっかりと見定める必要がありますね」

 

「これまでの練習で気になる部分は余りありませんでした。何かが起こるとしたら、試合の最中でしょう」

 

練習と試合は別物……。悪いようにならなければ、良しとしましょう。

 

(斎藤さんと渡邉さんのバッテリーは先発して出場……。渡邉さんはともかく、斎藤さんはこの試合ではボロボロになる事は確定でしょうね)

 

試合開始……。白糸台は後攻になりますね。

 

「斎藤さん……。練習ではかなり良い球を投げてたよね?」

 

「そうですね。ストレートも速いですし、変化球も特にSFFには光るものがあります。ですが……」

 

 

カキーン!!

 

 

「えっ!?」

 

初球から大きい当たりを打たれました。ホームランですね。

 

「……このように格上を相手には、失投率がかなり高いですね」

 

「そういえば陽奈さんがいた古谷ガールズは彼女……斎藤さんとの対戦経験がありましたね?」

 

「はい。その当時も私達がいたガールズチームの4番にはど真ん中をよく投げていました」

 

「そ、そうなんだ……」

 

対戦経験がある陽奈さんもご存知のように、斎藤さんには斎藤さんが格上だと判断した相手に対して球がど真ん中へと抜けてしまいます。

 

「しかし先頭からいきなりホームランとは……」

 

「先程ホームランを打った打者はシニアでも打率6割をキープしていて、本塁打数も40本を越えています。仕方がないでしょう」

 

斎藤さんが打たれるのは仕方がない事です。しかし私達にとって大切なのは……。

 

 

カキーン!!

 

 

「2番と3番はなんとか抑えたのに……」

 

「4番打者が再びホームラン……」

 

「あの打者は名門ガールズで4番を任されていました。パワーだけなら先程打った1番打者以上でしょう」

 

ホームラン2本で2点取られたものの、後続の打者はなんとか抑える事に成功しました。

 

「…………」

 

『…………』

 

新1年生の雰囲気が打たれた斎藤さんを始め暗いですね。まぁいきなり2点を取られては仕方がありません。

 

「……とにかく点を取り返さない以上は仕方がない。早めに追い付いて、リードを奪えるようにしよう。先頭、頼むぞ渡邉」

 

「はい」

 

こちらの1番打者は渡邉さんです。中学時代の打率も3割前後と悪くありません。

 

「……それと二宮、ちょっと訊きたい事があるんだが」

 

「なんでしょうか?」

 

「ここではなんだし、場所を変えるか」

 

新井さんから大切なお話があるようです。場所を変えてベンチ裏……。

 

(まぁ内容は大方察せますが……)

 

新井さんが話を切り出します。

 

「斎藤の癖……というかなんというか……。それを事前に知っていたんだよな?そして恐らく陽奈も……」

 

(やはり斎藤さんについてでしたか……)

 

「そうですね。斎藤さんには格上の打者に対してど真ん中へと失投してしまう確率が実に9割以上になります。陽奈さんはガールズ時代に対戦経験があって、それで知ったのでしょう」

 

厳密にはほぼ10割ですが、まぁここで訂正する必要はないでしょう。

 

「対強打者限定の一発病か……。斎藤のその癖は最早染み付いてるレベルだし、治るのにはかなりの時間を有しそうだ」

 

「そうですね」

 

最悪荒療治も視野に入れておきましょう。出来れば夏前までには1軍で戦力になってもらいたいところです。

 

「……まぁ今は別に良い。二宮の事だから決して無策ではないだろうしな。それよりも気になるのは、こうなるのがわかっていて斎藤を先発させた事だ。相手は私達と同じように早めに高校野球を体験させているスカウトされた新1年生……。もしかして斎藤の一発病を見てもらう為か?」

 

「それだけが理由ではありません。他に述べると、斎藤さんの一発病を試合を通して完治してほしい事が1つ、そして私からして1番大きな理由は……」

 

「な、なんだ……?」

 

「斎藤さんの一発病を利用する事です。そこには先程言った一発病の完治も理由に含まれていますが斎藤さんの一発病が発動してしまうのは、斎藤さんが強打者と認定した打者……。斎藤さんのそのセンサーが正しいものならば、きっと私達に立ちはだかるレベルの強打者となるでしょう。早ければこの夏から……」

 

今相手にしているのは他県の高校ですが、全国大会になれば私達にとって無関係ではなくなります。その打者に当たる可能性が高くなりますから……。

 

「ま、まさか斎藤が一発病を発動させてしまう事で、その打者のレベルがわかるって事か……?」

 

「凡そは判断が付くでしょう。現に斎藤さんからホームランを打った打者は中学時代にシニア、ガールズチームとそれぞれ好成績を修めています」

 

(こ、こいつ、マジで高校生とは思えないな……)

 

斎藤さんには申し訳ないですが、貴女の一発病を利用してこれから行われる練習試合で対戦相手の打者のレベルを計らせてもらいますよ?

 

(無論多少の荒療治をしてでも、一発病の完治もしてもらいますが……)

 

とりあえず現状大切なのは全国でも通用する打者を調べあげる事ですね。

金原いずみの藤和生活……(藤和高校野球部の登場人物は全てオリキャラ及び他作品キャラになります)見たい?

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