『ゲームセット!!』
二宮瑞希です。練習試合の方は4対9で無事に勝利する事が出来ました。
「試合は無事に勝利で終わったか。個人の成績の良し悪しはあるが、総合的には悪くない結果に終わった……。次の試合ではまだ出てない奴を中心に回していくから、心の準備をしっかりとしておけ!」
『はいっ!!』
ちなみに取られた点は斎藤さんの一発病によるホームランのみですので、実質完封勝利になります。
(そんな斎藤さんは5イニング投げて奪三振6、被安打6、失点4、四死球1、被本塁打2……。失点全てがホームランによるものなのは気掛かりですが、全体で見るとそこまで悲観する程ではありません)
「…………」
当の斎藤さん本人はなにやら複雑そうな表情をしていますね。折角なので訊いてみましょうか。
「斎藤さんは自身の投球についてどう思っていますか?」
「二宮、先輩……?」
「相手チームの1番打者と4番打者……。あの2人と2打席勝負して、2打席連続でホームランを打たれた事について、貴女はどう思っていますか……?」
斎藤さんの気持ち次第で色々変わってきます。これから斎藤さんをどうするべきか、どんな投手に育てていくべきかを……。
「……ヤバい奴を相手にすると、真ん中に吸い込まれていくんです」
「そうですか……。それで斎藤さんはそれについてどう思っていますか?斎藤さんの言うヤバい奴に対して、ど真ん中に吸い込まれていく事について……」
「先、輩……」
(この人は優秀だ。控えめな物腰とは裏腹に打者としても、捕手としても……。でもそれ以上に怖くもある。全てを見透かされているような、暗い闇のような眼に、私の全てを見破られているみたいに……)
少し俯いて、斎藤さんは答えました。
「……私は、ヤバい奴との勝負に向かっていきたい、です。ヤバくない奴以上に、私の全身全霊をぶつけたい。でも、どうしても真ん中に吸い込まれていくんです」
「……成程」
斎藤さん本人は一発病を克服したい気持ちはある訳ですね。要は強打者との勝負を楽しみにしているジャンキーという事です。
「話はわかりました。斎藤さん」
「……なんでしょうか?」
「本入部のタイミングと同時に、貴女を1軍に昇格させます」
この場にいる私や香菜さん、陽奈さんは新1年生が何軍に所属させるかを決定する権利を持ち合わせています。監督や新井さんにも承認済みです。
「……私が?」
「はい。1軍の練習にて貴女の一発病の克服を試みます。ですのでそのつもりでいてくださいね?」
「……はい!」
とりあえずは斎藤さんを1軍に昇格させて、強引に一発病を治す荒療治プランでいきましょう。一発病さえなんとかなれば、斎藤さんは全国でも通用する投手ですからね。
「……良かったのか?」
話を終えたタイミングで、新井さんが声を掛けてきました。
「私は斎藤さんを1軍に所属させるつもりです。新井さんは反対ですか?」
「いや、二宮の慧眼を信用しているさ。だが斎藤の一発病の克服って具体的にどうするつもりなんだ?」
「それについては……」
私は新井さんに斎藤さんの一発病完治についてのプランを話しました。
「……本気でやるつもりなのか?下手をすれば、一生のトラウマになりかねんぞ」
「そこは斎藤さん次第ですね。物にならないようならば、斎藤さんは3軍にすらいられないでしょう」
「そこまでか……。二宮は斎藤の実力を評価してる訳じゃないのか?」
「ちゃんと評価していますよ?評価した上での判断です」
「そ、そうか……。なら私から言う事は何もないな。斎藤の安否を祈るばかりだ」
新井さんは不安そうにしていますが、もしも斎藤さんが一発病を克服する事が出来れば……。
(1軍の選手達に揉まれた事もあり、エース級の投手に育つのは間違いないでしょう)
そうなるように期待しておきましょう。
「……新井さんは20人の中で1軍昇格は誰が当てはまりますか?」
「例えばそうだな……。打撃能力だけで見ても、渡邉はほぼ確定だろう。配球も過去の白糸台の物を中心に徹底的に研究して来ているしな」
(マネージャーが言ってたように、二宮の後釜として成長しそうだしな……。流石、二宮が気に掛けてただけの実力はある)
「渡邉さんについては私も賛成ですね。捕手として起用するかは、試合経験を重ねてから決めましょう」
……と言っても、渡邉さんを捕手として起用するのは確定ですがね。
「あと何人かは候補がいるし、監督に報告して1軍争奪戦を行う事にしよう。二宮なら心配いらないだろうが、くれぐれも2軍に落ちないように気を付けろよ?」
「はい」
私にとっても他人事ではありませんね。2軍に落ちないように、頑張らなくてはなりません。
金原いずみの藤和生活……(藤和高校野球部の登場人物は全てオリキャラ及び他作品キャラになります)見たい?
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