二宮瑞希です。新宮寺さんの実力を目の当たりにした私達1軍の選手達は強力なライバルが出現したと焦る人も出始めています。
「あれから100球程投げさせてみたが、一考に疲れる様子が見えないな……」
「無尽蔵のスタミナを有しているようですね。制球も乱れてなければ、球威も衰えていません」
この時点で斎藤さんよりも高い実力を持っているのは確定でしょう。本当に新宮寺さんを採れたのは幸運です。
「今年の新入生の大当たりは新宮寺で決まりか?これは二宮と同等レベルの掘り出し物だぞ」
何故私の話を持ち出したのかは知りませんが、それを決めるのはまだ早いですね。
「……そうでもないでしょう。斎藤さんも一発病を治せば主戦力になりますし、渡邉さんも捕手としてのセンスを発揮しています」
「そういえばあの3人のスカウトを担当したのは二宮だったな。関東区域にはとんでもない怪物が眠ってたものだ……」
斎藤さんと渡邉さんは埼玉、新宮寺さんは東京から引っ張って来ました。この3人が優秀なのは間違いないのですが……。
「……1つ、気掛かりな事があります」
「気掛かり?」
「紗菜さんと風音さんから訊いた話なのですが、その人は一般入試でこの白糸台に入ったにも関わらず、既に3軍の中心選手となり、先日に2軍へと昇格しました」
「おいおい……。まだ新入生が入って10日程だぞ?今年から昇降格が週に1度に発表されるようになったとはいえ、流石に早過ぎる」
「しかもそれがスカウトではなく、一般入試でです。野球経験も学校の授業程度とほぼ未経験と言っても良いでしょう」
何が恐ろしいのかというと、次の昇降格でその人は確実に1軍へと昇格する事でしょう。しかも2軍の中心選手になった上で……。
「成程な。新宮寺が怪物である事は間違いないが、本当の怪物はドンドンこちらに侵食していく訳か……」
「次の昇降格の直後に練習試合があります。そこで彼女の実力を、進化を見極めるチャンスになるでしょう」
「オーダーは1年生中心で良いのか?」
「そうですね。彼女達4人が今後白糸台の中核を担っていけるかが試される事になるでしょう」
それに今度の相手は色々な意味で1年生の進化を計っていける良い機会になります。残りの5人をどうするべきか、試合までに新井さんと監督に相談する必要がありますね。
そして練習試合直前。私の予想通り、2軍から最短で1軍へと登り詰めた1人の選手が私達の前に立ち、自己紹介を始めます。
「鍋墨綾子です!よろしくお願いします!」
(経歴によりますと小中と新宮寺さんと同じですか。この白糸台に一般入試で入学したのは新宮寺さんと同じ高校に行きたかったのか、それとも……)
いえ、それを考えるのは後にしましょうか。
「……本当に件の1年生が1軍に上がってきたな。人当たりも良いし、3軍と2軍の連中もこれに釣られたのだと考えれば納得もいく」
「そうですね。ひとまず鍋墨さんを希望通りのポジションに添えて、試合に向かいましょうか」
「ああ。練習試合の相手は……」
「清澄高校……。去年の夏大会で全国準優勝を果たしたダークホースとして名高いチームです。鍋墨さんと新宮寺さんの実力を計る第1歩として最適な相手になります」
鏑木さん、刀条さん、片岡さん、そして宮永さん……。中心になってるのは間違いなくあの4人でしょう。手強いチームを作っているのは想像に容易いですね。
金原いずみの藤和生活……(藤和高校野球部の登場人物は全てオリキャラ及び他作品キャラになります)見たい?
-
見たい
-
見たくない