最強のスラッガーを目指して!【本編完結】   作:銅英雄

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番外編 二宮瑞希の白糸台生活 2年目地獄の合宿29

同点にされ、更にはノーアウト一塁のピンチです。

 

「あの2番打者……中々の走力を持ってる」

 

そう呟いたのは夜子さんですが、貴女が言うと嫌味に聞こえますよ?

 

「やられたわね……」

 

「でもあのイレギュラーは仕方なくない?ついてなかったとしか言い様がないよ」

 

「いいえ、リンゼ・シルエスカはあのイレギュラーバウンドを狙って起こしたのよ」

 

『ええっ!?』

 

確かにリンゼさんは打席に立つ前に、グラウンドの土を見ていましたね。以前彼女について調べた時に確か……。

 

「……聞いた事があります。リンゼ・シルエスカはグラウンドのコンディションを調べ、土の固さ、凹凸、弾み、風向き……全て把握した状態で、絶妙なバントを行い、ボールをそのスポットへと送る事が出来ます」

 

「そ、そんな事……本当に出来るの!?」

 

(それを可能にしているのがリンゼちゃんなんだよね~。本当はもう1つ『2番セカンド』という役職をずっと守ってきた理由があるんだけど……それは盗塁して、わからせてあげようかな~)

 

(……了解です)

 

実際に起こっているのですから、リンゼさんはそれを実現させる力があるのでしょう。加えて洛山に入った事によってホームランを狙える程のパワーを身に付けた訳ですから、ある意味で和奈さんよりも厄介な打者ですね。

 

「さて、得点をあげた者は相手チームの封鎖箇所と、封鎖する奴を選べ!!」

 

得点を挙げたリンゼさんが封じたのは、朝海さんの足となりました。この封鎖は色々な意味を孕んでいそうですね……。

 

(リードは大きめ……。盗塁警戒でお願いします!)

 

(うん……!)

 

初球からリンゼさんが盗塁スタート。タイミングも完璧ですね。

 

「走った!?」

 

 

ズバンッ!

 

 

『ボール!』

 

(よし、刺せる……!)

 

(……って思ってそうだけど、リンゼちゃんがグラウンドのコンディションを見てたのは走塁、盗塁も関係あるんだよね~)

 

山崎さんの送球もかなり良く、リンゼさんを刺せそうな状況になりました。

 

「これでタッチアウトだよ~!」

 

「それは……どうでしょうか?」

 

日葵さんがタッチアウトを狙う中、リンゼさんはタッチを掻い潜りました。フックスライディングですか……。

 

『セーフ!』

 

「な、なに今のスライディング……。タッチを避けてたよ」

 

「しかもスライディングの際に地面を抉ってたよ……」

 

「あれはフックスライディングですね。内野手のタッチを掻い潜る為にランナーが触塁する時に、膝をくの字に曲げた状態でベースにフックをかけるように滑り込み、野手の隙を突いて曲げた足先をベースにタッチする……というものです」

 

バントから走塁、盗塁までかなりレベルが高いですね。これがアメリカ代表の2番打者……ですか。

 

(……盗塁を決められたのは痛いですが、ここは腹を括って攻めましょう!)

 

(そうだね)

 

 

ズバンッ!

 

 

『ストライク!』

 

打席に戻って、カウントは平行ですが、打者は非道さんですからね。カウントによる有利不利はないものと見ても良いでしょう。

 

(見送られた……)

 

(……相変わらず何を考えているか予測が出来ない。でも打たれるイメージも染み付いていっている。これは不味いかも)

 

(今のは良いチェンジUPだったね~。1球目に投げたストレートと合わせて攻めるのが、川原ちゃんのピッチングってところかな~?)

 

非道さんは攻め方がかなり難しい打者です。曲者……という言葉を体現している選手だと思います。

 

(次はここにお願いします!)

 

(同じコースにストレート……だね?了解)

 

3球目は低めにストレート。非道さんがローボールヒッターなのをわかっての攻めでしょうか?

 

(また低めに攻めて来たね~。それなら私の得意分野だよ~)

 

 

カキーン!!

 

 

非道さんは低めの球を掬い上げるアッパースイングでボールを捉え、その打球はフェンスに直撃しました。

 

「逆転の一撃を打たせてもらったよ~。まだ1回だけど~」

 

川原さんの投げた球が渾身のストレートでなければ、きっとホームランを打たれていたでしょう。そう考えると、まだ安い方ですね。

 

「じゃあとりあえず三森ちゃんの……長女ちゃんの足を封鎖しようかな~」

 

得点による封鎖箇所は再び朝海さんの足。もしやこの封鎖野球の目的は……。

 

(この重り……走塁の妨げになるのは確実ね。この封鎖野球……互いのチームを潰し合いたいのかしら?)

 

(今の封鎖でこの試合の目的に気付こうとしている奴がいるな。だが封鎖野球の恐ろしさはまだまだこれからだ)

 

「1つだけ言っておこう。選手の交代は自由だが、交代する選手封鎖されている箇所がある場合、交代先の選手に封鎖が適用される。例えば今ライトに2つ目の重りセットが足に装着され、合計足に2セット分の重りが装着されている状態だ……。仮にそいつを別の選手に交代させると、交代した奴が足の重りを引き継ぐ事になる。よく覚えておけ!」

 

交代で逃げる事も出来ない……というのが、封鎖野球の真髄でしょう。迂闊に交代すれば、交代先の負担が尋常じゃないですからね。乱打線を覚悟しなければならない以上は地獄絵図確定です。

金原いずみの藤和生活……(藤和高校野球部の登場人物は全てオリキャラ及び他作品キャラになります)見たい?

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