最強のスラッガーを目指して!【本編完結】   作:銅英雄

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番外編 二宮瑞希の白糸台生活 2年目地獄の合宿37

ノーアウト一塁・二塁で4番の雷轟さん……。この打席が恐らく最後のチャンスでしょう。

 

「ふぅ……」

 

当の雷轟さん本人は目を瞑って深呼吸をしていました。今の状態に多少なりとも緊張しているのでしょうか?

 

「雷轟、調子はどう?」

 

「凄く充実してるよ!チャンスの場面で回ってくるし、黛さんも勝負してくれるし、何より真深ちゃんとバンガードちゃんが私に託してくれた事が嬉しいんだ!」

 

しかしそれ以上に嬉しそうに、楽しそうにしています。託された想いはかなり大きいですが、彼女は堂々としています。こういう人間が将来プロの世界で結果を残すのでしょうね。

 

「じゃあ行ってくるね!」

 

「遥ちゃん、ファイト~!」

 

「勝ち越し点を得るホームランを期待してるわ」

 

「うんっ!!」

 

雷轟さんは剃刀カーブを攻略する為に右打席へ立ちました。通常なら歩かせる場面ですが、これは合宿の一貫……。特別練習メニューの成果を発揮させる為に、必ず勝負するでしょう。

 

(ここで雷轟ちゃんか~。この空気を読まない采配なら歩かせるんだけど、これは目的のある試合だからね~)

 

(その目的は、各々が合宿で頑張った成果をあげる事……。どちらのチームもそれは惜しみ無く発揮された。あとは……)

 

「…………!」

 

(雷轟さんの、覇竹のスイングがどこまでの完成度か……という事)

 

(剃刀カーブは覇竹向けじゃないから、余り投げるつもりはなかったけど、雷轟ちゃん達クリーンアップの3人は大体剃刀カーブを目当てにしてるっぽかったんだよね~)

 

(それだけに、先程の上杉さんのセーフティバントは、予想外でした……)

 

(まぁ今は雷轟ちゃんとの勝負に集中だね~。全球剃刀カーブで来ちゃってよ~)

 

(はい……)

 

この試合の命運を分ける試合……。恐らく徹底して剃刀カーブで雷轟さんを相手取る事になりそうです。

 

 

ズバンッ!

 

 

『ストライク!』

 

かなりの球数を投げている筈ですが、球のキレが増しましたね。この試合1番です。

 

 

ズバンッ!

 

 

『ストライク!』

 

2球目もストライク……。3球勝負で決めるつもりですね。

 

「お、追い込まれちゃった……」

 

「遥ちゃん、大丈夫かな……?」

 

ベンチでは雷轟さんを心配する声が……。スイングの気配すらないので仕方がありません。

 

「……大丈夫だよ」

 

「朱里ちゃん?」

 

「今の私達に出来るのは雷轟を信じる事だけ……。それなら心配するよりも、期待しておいた方が良いんじゃない?」

 

朱里さんの言う通りですね。雷轟さんに全てを委ねられている状況なら、心配というマイナス感情よりも、期待というプラス感情の方がお得です。

 

「……そうだね。遥ちゃんならきっとやってくれるよ!」

 

「うん……!」

 

ベンチ周りでもそれが伝わった為、雷轟さんの打席に視線が集中します。

 

(どう転ぶか……。見せてもらいますよ?)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(2球共、見逃しましたね……)

 

(バンガードちゃんと同じやり方を取りそうだね~。それなら全力の剃刀カーブを投げようか~)

 

(はい……!)

 

「…………」

 

雷轟さんの狙いはバンガードさんと同じように、変化の直前でしょうが、それでは決定打になりません。

 

(バンガードちゃんはあの剃刀カーブに対して、2段目の変化直前で打ってきた……。でも私はそれじゃあ足りない。私が狙うのは……!)

 

だとすると変化の軌道を読む為に変化先を予測して叩くか、変化直後が狙いでしょうか?

 

(この……2段目の変化直後を叩く!)

 

 

カキーン!!

 

 

『打った!!』

 

雷轟さんの狙いは2段変化目の直後でした。結構難しいと思いますが、雷轟さんのセンスならきっと良い結果となるでしょう。

 

(成程ね~。これが雷轟ちゃんなりの覇竹って訳か~)

 

(清本さんが得た覇竹とは、また違うスイングでしたが、勢いはまさに覇竹そのもの……。会得、おめでとうございます)

 

打球は球場を大きく越えたホームラン。体勢を大きく崩しながら打てたのも、雷轟さんのパワーありきでしょう。何にせよ逆転に成功しました。

 

「ナイバッチ~!!」

 

「ありがとう!」

 

雷轟さんはベンチで手荒い祝福を受けていました。

 

「特別練習メニューの成果が出たようね」

 

「うんっ!いつもよりかなり速くスイングが出来た気がする。球の見極めもギリギリまで出来そうだよ!」

 

「ナイスswingデース!」

 

スラッガー3人は特にベンチからの祝福が大きいです。

 

(しかし喜んでばかりもいられませんね)

 

問題はこの裏のイニングにもありますから……。

金原いずみの藤和生活……(藤和高校野球部の登場人物は全てオリキャラ及び他作品キャラになります)見たい?

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