二宮瑞希です。今日のデータ解析も一通り終わりましたので、小休憩を挟みます。
「そういえば……。二宮先輩は早川さんと同じチーム出身でしたよね?」
「そうですね。一応メインの捕手を張らせてもらいました」
あのチームは六道さんが監督だった事によって、私の捕手としての能力も大幅に上がりました。リトル時代から合わせて約6年も見てもらって、今この白糸台にいると実感が湧きます。
「早川さんはやはりシニアでも凄かったんですか?」
渡邉さんはあくまでも新越谷のデータでしか朱里さんを知らないので、こういった質問が飛んできます。
(まぁ隠す必要もありませんね。正直に私の感想を答えましょう)
「朱里さんが凄かったのはリトル時代からずっとですが、特に実績を出したのはシニア時代で初めて登坂した時でしょう」
「初めて登坂した時……ですか?」
「はい。朱里さんのシニアでの初登板は世界大会という大舞台でしたが、何の問題もなしに相手を完封しました」
「それは……凄いですね。初めての登坂が世界大会というだけでも凄いのに、その試合で相手打線を完封するなんて……」
実際朱里さんはそこから成り上がりましたからね。リトル時代で騒がれ、途中で失墜し、そこから世界レベルにまで成長するのは決して簡単な事ではありません。
「二宮先輩はそんな早川さんと組む時はどのような配球を組み立てているんですか?」
(早川さんレベルの投手でも、世界大会を勝ち抜くのは難しい筈……。それなら一緒に組んでいた二宮先輩の尽力もかなり大きいと思うんだよね)
「私は朱里さんと組む時は基本的にノーサインですね」
「ノ、ノーサインですか?」
「はい。実際それで朱里さんは結果を出していましたし、私はミットを構えているだけです」
他の投手と組む時は大なり小なり配球やサインを決めるのですが、朱里さんと組む時はそれが全くありませんでした。朱里さんのレベルの高さがよくわかります。
「そ、それが本当なら、早川さんはまさに完全無欠の投手じゃないですか?」
「そうでもありません。朱里さんには明確な欠点があります。それも投手をやる上で致命的な……」
「欠点……?」
「それはスタミナがない事です。故に粘り強く対応していけば、7イニングも持たないでしょう」
これこそが朱里さんの唯一にして最大の欠点ですね。新しい球種の開発ばかりをしていて、スタミナ増強の兆しが一切見えません。故に付け入る隙があるのです。
「で、でも早川さんは完投している事が多いですよね?」
「朱里さんは省エネピッチングで相手打者を三振させていますからね。全力ではあっても全開ではありません」
それがシニア時代の朱里さんの最大の特徴でしょう。
(新越谷に入った朱里さんは良くも悪くも変わりつつあります。特に洛山主宰の合宿で大きく成長しました)
そしてそれは他の選手全員に言える事……。新越谷にはまだ武田さんという2人目のエースがいますし、次はそちらのデータを改めてチェックしておきましょうか。
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