二宮瑞希です。朱里さんの事を尋ねられたので、今度は私が渡邉さんに武田さんの事を訊いてみましょうか。
「今の新越谷のエースは朱里さんと……。そしてそんな朱里さんからエースナンバーを奪取した武田さんのWエースですね」
「ヨミ先輩が……!」
渡邉さんは大層驚いた表情をしていました。武田さんの中学時代を知っているからでしょうか?
「そんな武田さんは私が知っている限りでは決め球のナックルスライダーを中心に、ツーシーム、カットボール、そして強ストレートと呼ばれる武田さん本来のストレートを組み立てて相手打線を抑えていました」
「…………」
(新越谷の……特にヨミ先輩が投げる時の配球はくまなく調べた。コース、球種、配球……。その場でヨミ先輩の球を受けていたのが私だったら……というイメージトレーニングを繰り返してきたくらいだから……!)
「更に武田さんは新越谷ではムードメーカー的な役割も担っていますね」
あとは雷轟さんもムードメーカーに当てはまるでしょう。新越谷のエースと4番でそれぞれのムードメーカーを兼任出来るのは中々の難易度です。
「そうなんですね……」
(ヨミ先輩ってもっと暗い人だと思ってた……)
武田さんのデータは一応中学時代から遡って調べてきましたが、その当時のデータですら捕手さえちゃんとしていれば、1回戦敗退はなかったと言えるレベルでしょう。県ベスト8は固いです。
「そんなに武田さんのピッチングを、合宿内では見られませんでしたね……」
「……そういえば洛山が主宰した合宿にヨミ先輩も参加していたんですか?」
「そうですね。他にも朱里さん、雷轟さん、川原さん、そして今の武田さんの球を受けている正捕手の山崎さんが合宿に参加していました」
「成程……」
(ヨミ先輩が明るくなったのも、きっと捕手の山崎さんの尽力が大きいんだろうな……。あとは早川さんの存在もヨミ先輩の刺激になっているのかも)
合宿内で武田さんの近くにいた時も、薪割りをしているシーンしか見られませんでした。
(あの時の川原さんと同様、もしくはそれ以上の成果が武田さんに宿っていても可笑しくはないですね。なるべく白糸台と当たるまでには武田さんの最新のデータを集めておきたいところですが……)
「武田さんの高校1年生終了時点と、今の武田さんは比較にならないレベルの成長を遂げているでしょうね」
「……まだ5月ですよね?そんなに変わっているんですか?」
「断言しますよ。あの時投げていた川原さんや朱里さんも、年度末に比べて大きく成長していましたから……」
「ど、どれだけ洛山主宰の合宿は凄かったんですか……」
実際にそれくらいの成果を出していましたからね。それに言及していませんが、間違いなく野手陣も大幅な成長をしているでしょう。合宿に行く前よりも……。
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