二宮瑞希です。色々あった埼玉県大会初戦から3日後。今日は新越谷と梁幽館との試合ですが、いずみさんと和奈さんの都合が合わず、渡邉さんもいないので私1人です。
(まぁ渡邉さんの方は武田さんが投げるから……というのが少なからず理由にありそうですね)
中学時代の後輩なら、尚更武田さんの勇姿を見たいところでしょうが……。よくわかりませんね。渡邉さんの真意は。
「すまない。隣、良いだろうか?」
右方から声が掛かったので振り返ると、元梁幽館の中田さんと陽さんがいました。
「別にそれは構いませんが、非常に既視感を感じますね」
具体的には去年の秋頃に似たような声掛けをされた覚えがあります。
「事実私と奈緒は去年の関東大会で新越谷と梁幽館の試合を観戦する時、二宮に同席を求めている」
「あの時とは2人の状況が違うと思いますけどね。ここで油を売ってて良いんですか?」
2人共プロに指名されて、既に1軍昇格を果たしていると人伝で訊いたのですが……。
「昨日は私が所属しているチームの移動日でな。今日の試合はナイターだが、梁幽館と新越谷の試合となれば是非とも見ておきたいと思ったから、足を運んだんだ」
中田さんの所属するチームはナイトゲームのようですね。昼間はフリーという事で、こちらに来たのでしょう。これは気分転換も兼ねていそうです。
「私はオフ。母校の梁幽館と、可愛い妹がいる新越谷の試合は絶対に見逃せない」
こちらはシスターコンプレックスが7割以上を占めていそうですね。
「……そうですか」
中田さんと陽さんで理由の差を大きく感じるのはきっと私の気のせいなのでしょう。下手に藪をつつくと蛇が出そうですので、これ以上は踏み込みませんが。決して面倒な気がするとかは思っていませんよ?
『プレイボール!』
「始まった……!」
「新越谷が先攻……。去年の夏と同じだな」
「しかし両チーム共に大きく戦力が変わっています」
一見去年の秋とそこまで変わらないように見えますが、新越谷には歩美さんと彼女がいます。
カンッ!
『ファール!』
中村さんは初球打ちでしたが、ファール。若干差し込まれていますね。
カンッ!
「また打った」
「吉川がシュートを公式戦で投げるのは恐らく初めての筈だが、中村は上手く合わせたな」
「タイミングも完璧ですね」
打球は三遊間に飛びましたが……。
バシッ!
『アウト!』
ショートが打球を捕りました。
「今の打球を捕りましたか……。やはり梁幽館は守備のレベルがかなり高いですね」
埼玉の野球部でもトップクラス……。全国でもかなり上の方でしょうね。
「多分それも監督の指導の賜物だろうな」
「私と奈緒もある程度は自由にやれていたけど、守備練習に対しては監督に叩き込まれた」
打撃方面では自由にやっていた2人ですが、守備に関しては梁幽館の監督に叩き込まれたようですね。
「白糸台の2軍の練習と似た雰囲気を感じますね」
白糸台の2軍の練習と類似しています。
「2軍……?1軍はどんな練習をしてるんだ?」
「1軍選手は私も含めて自主トレですね。なので私はこのように情報収集に勤しんでいます」
「1軍なのにか……?」
「1軍の監督曰く、『必要なものは既に2軍までで培っている筈だ。あとは1軍でそれ等を自由に活かせ……』との事です」
胡散臭い話ではありますが、実際1軍の選手達は2軍の選手達よりも大きく優れている部分があります。同じようにやるのは難しいでしょう。
「成程な……。そういう考えもある訳か」
(尤も私は1軍へのフリーパスをもらった直後にそれを知りましたが……。あの監督の思惑がいまいち掴めませんね)
『アウト!』
「新越谷は二者凡退……。打線も去年に比べて数段強力になっているだろうが、梁幽館も負けてはいない……か」
「この試合も投手戦になりそうですね」
深谷東方の松岡さんと今投げている吉川さんでは投手のタイプがまるで違いますが……。
「それよりも次の3番……」
(元台湾一のスラッガーであり、陽秋月の妹である陽春星……。今日新越谷の試合を観に来た目的の1つがここで達成出来そうですね)
いずみさんと和奈さんはもったいなかったですね。恐らく陽春星さんのデータはシニアリーグの世界大会の時とはまるで別人だと思いますよ?
金原いずみの藤和生活……(藤和高校野球部の登場人物は全てオリキャラ及び他作品キャラになります)見たい?
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