二宮瑞希です。夏の大会が開幕しました。尤も私達の試合日は3日目な訳ですが……。
「今日も出掛けるのか?」
「はい。新越谷の試合を観てきます」
神童さんに軽く挨拶しておいて、埼玉に向かいます。帰りに川越シニアへ寄るのも良いですね。
(それに和奈さんといずみさんに会うのも久し振りですし、今日は良い日になりそうですね)
あの2人との会話からも得られるものはきっとあるでしょう。少しでも多くの情報を持って帰ってくるのが今の私の役割です。全寮制で自由練習(1軍のみ)を実地している白糸台だからこそ出来る芸当です。
新越谷が試合を行う球場前で待ち合わせ……といずみさんが言っていました。この辺りの筈ですが……?
「お~い、こっちこっち!」
いましたね。しかも反対側から和奈さんも来ました。
「お待たせしてすみません」
「ま、迷っちゃった……」
どうやら和奈さんは迷った先にここに着いたみたいですね。京都の地に慣れ過ぎたからでしょうか……?
「アタシが誘っといてなんだけど、2人共よく来れたね?」
今日の新越谷の試合を観よう……というのはいずみさんからの提案です。いずみさんや和奈さんとはチャットで話しており、話を弾ませている内に今日の試合観戦のお誘いが来ました。
「私は今日は試合ではありませんので、学校の方を休んで来ました」
「わ、私も……!」
「やっぱ考える事は一緒か~」
まぁ仮にいずみさんからのお誘いがなくとも、私1人で試合を観に行っていたでしょうが……。
「朱里さん率いる新越谷高校の試合はなんとしても抑えなくてはいけません。自分の試合をブッチしてでも見に行きます」
「それはやり過ぎだと思うな~……」
そうですか?1番の障害となる可能性がある以上は何かを犠牲にしてでも、観るべき試合だと思いますよ?
「と、とりあえず中に入ろう?」
「そうですね」
球場に入り、試合が観やすい席へ……。
「初戦だからなのか、人がまばらにしかいないね……」
「対戦カードは2校共名があるチームではないですからね。明日にある梁幽館と宗陣の試合が本命でしょう」
シード校の試合……というだけでも人気の理由なのに、その梁幽館の相手をする宗陣高校はノーシードながらも全国区の実力があると前評判でも聞いています。もしかすると今大会で1番注目のカードになるかも知れませんね。
『プレイボール!!』
「おっ?試合始まったね!」
「先攻は新越谷の対戦相手……影森高校ですね」
「め、滅茶苦茶素早い動きで打席に入ったね……」
試合の意識が高いのか、それとも……。
カンッ!
「初球打ち!?」
「しかもボール球だよ……」
事前に調べてきた影森高校野球部のデータによると早打ちを仕掛けてきたり、常にクイックモーションで投げてきたりと、とにかく相手にプレッシャーを与えているみたいですね。
カンッ!
「また初球打ち……」
カンッ!
「これも初球から打ってきましたね」
エラーとヒットの末に影森高校が先制点を獲得。幸先が良くないですね。
「あちゃー、新越谷が先制されちゃったか……」
「新越谷が先制されるのは今年度に入って初めてですね」
「そうなの?」
「これまでの新越谷の試合では全て先制点を取ってきました」
「はぇー。じゃあそんな新越谷を相手に先制点取った影森は紛れもない強豪って訳か……」
「どちらかと言えばダークホースの側面が強そうですが……」
それでも柳大川越なんかを相手にローゲームを決めている辺りは強豪と言っても差し支えないのでしょう。
「それにしても影森ってところはこれまで全部初球打ちだね」
「なんか急いでるようにも見えるね~」
「ですが今の3番はよく打ったと思います。あのコースの球はそう簡単には手が出ませんから」
「う~ん……」
「いずみちゃん、どうしたの?」
「なんか違和感あるんだよね~」
「影森ですか?」
いずみさんが影森高校の何かに気付いたようです。こういう勘が鋭いのもいずみさんの特徴でしょうか?
「何て言うか……。もったいないって言うか……」
「もったいない?」
「野球楽しそうに見えないんだよねー。それがもったいないっていうか……。野球を嫌いにすら見えるよ」
その考えは強ち間違ってないのかも知れませんね。しかし1つ1つの動きはとても洗練されています。試合よりも練習の方が好き……というタイプでしょうか?
(何にせよここで躓いているようでは、新越谷が全国に行くのは夢のまた夢……ですよ)
ここからの立ち回りが重要です。頑張ってくださいね?
金原いずみの藤和生活……(藤和高校野球部の登場人物は全てオリキャラ及び他作品キャラになります)見たい?
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