最強のスラッガーを目指して!【本編完結】   作:銅英雄

370 / 1797
番外編 二宮瑞希の白糸台生活 2年目夏の都大会⑰

6回表。新越谷の打順的にも、そして梁幽館にとってもここが勝負所でしょう。

 

 

ズバンッ!

 

 

『ストライク!』

 

初球は低めを見送り……。互いにかなり慎重ですね。

 

「始まったな。この試合の分岐点である秋の妹と橘の対決が……」

 

「姉としては春星に頑張ってほしいけど、梁幽館のOGとしてははづきにも勝ってほしい」

 

「身内としては複雑そうですね」

 

片や妹である春星さんが新越谷に入学し、今現在その春星さんの打席、片や梁幽館のOGとして吉川さんは踏ん張りを見せている……。思い入れは梁幽館の方があるとはいえ、妹の活躍を願わない姉はいないでしょう。特殊な環境で育ってきた場合を除きますが……。

 

「君から見て陽春星はどう映る?シニアリーグの世界大会では対決したそうだが……」

 

「私が直接彼女を見たのは1打席きりですが、その中で思ったのが怖さが足りない……の一言に尽きますね」

 

「怖さ?」

 

「彼女はスラッガーにはほぼ必須と思われる威圧感がないのが1番の理由でしょうか。その部分では和奈さんや雷轟さんよりも劣っています」

 

それに加えて格上との経験が少ないように見えます。リトルシニアでこれでもかとホームランを売っていた和奈さんと、初心者が故に格上としかぶつからずメキメキと成長を見せた雷轟さん……。この2人に比べると甘い部分があるのは仕方ない事でしょう。そもそもあの2人が可笑しいだけですが……。

 

「威圧感……か」

 

「奈緒も時々放っているやつ」

 

「私はそこまで自覚はなかったが……。雷轟のような打者の場合は何かしらの切欠で威圧が出来るようになったんだろうな」

 

「だと思いますよ。ですが雷轟さんの場合はまだ始めて数ヶ月の段階でその域に到達しています。それこそ常人が何年もの月日を費やしてやっと習得が出来るものなのですが……」

 

(風薙さんの妹が故の野球センスと集中力……。この2つが雷轟さんの野球人生を捧げてきたんでしょうね)

 

「成程、納得した。春星の今後の課題がわかった気がする。……でもそう考えるとやはり雷轟は規格外の存在」

 

私の知っているスラッガーは規格の外の存在な気もしますけどね。和奈さんやら雷轟さんやら……。

 

「その代わり……と言うべきか、捕球率が並の初心者よりも低いから、それでバランスが取れているのか……」

 

「それで守備まで上手かったら、色々な人が放っておかないと思う」

 

「そうだな」

 

(今2人が言った条件が当てはまる人に数人は心当たりがありますが、一応彼女達は一定以上の年月は野球をしていますし、この場で口にする事ではありませんね)

 

 

カキーン!!

 

 

『ファール!』

 

試合に戻って、ツーナッシング

 

「橘も良い当たりを打たれているが、上手く追い込んだな」

 

「多分次の1球で勝負が決まる……」

 

「この打席がこの試合の行方を握っている感じがしますし、お互い確実に仕留めたいところでしょう」

 

そして最後の1球……。はづきさんはきっと最高の球を投げてくるでしょう。そんな3球目……。

 

「えっ……?」

 

「スイングのタイミングが早過ぎる。あれじゃ空振りする……」

 

確かに早過ぎるスイング。普通なら空振りするでしょう。しかし……。

 

「回転した!?」

 

「成程……。彼女はそういう工夫で対策としましたか」

 

恐らく朱里さんの投げるストレートに見せた変化球に対応する為に身に付けたのでしょう。回転する事で遠心力とパワーを上げて、一回転が終わる頃に最適のタイミングでスイングをする……。それがあのスイングですね。

 

 

カキーン!!

 

 

タイミングは完璧……。そのまま勝ち越しのホームランとなりました。

金原いずみの藤和生活……(藤和高校野球部の登場人物は全てオリキャラ及び他作品キャラになります)見たい?

  • 見たい
  • 見たくない
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。