二宮瑞希です。本日から県対抗総力戦……西東京選抜の試合が始まります。
「諸君。今日までの練習ご苦労だった。今日から私達の試合が終わるまでの間はそれぞれ自主練習にする」
監督の一言で辺りが騒然としています。監督とマネージャーが私達の練習を見ないと言っているようなものなので、仕方ない事なのかも知れません。そう思っていると、マネージャーの堀内さんが補足のように説明します。
「私達が見ていないからと言って、何をして良い訳ではありません。自身のポジションの練習はもちろんの事次の対戦相手の対策だったり、他の試合の観戦だったりと……。やる事はいくらでもありますので」
それはそうですね。私は試合観戦に赴く事が多いので、この自主練習とやらを利用しましょうか。
「それで私達西東京選抜の初戦の相手だが……。大阪選抜に決まったよ」
再び騒然としました。風薙さんのいる群馬選抜で埋もれていますが、大阪選抜も優勝候補の筆頭。第1回県対抗総力戦の準優勝都道府県でもあります。
(しかし大阪選抜ですか……。大阪と訊くと、彼女の存在が脳裏をチラつきますね)
今も大阪にいるのなら、間違いなく大阪代表の選手として出場している事でしょう。あの人には色々と為になる話を聞かせてもらいましたから、そのお礼も試合で返していきましょう。
「大阪選抜の特色としては、大阪府内でも屈指の変化球投手として名を馳せた選手が中心になってくると思いますが、皆さんならきっと勝つ事が出来ると私達は信じています」
「逆に負けるようでは、君達がその程度の存在だった……というだけだがね」
マネージャーと監督のそれぞれの発言が飴と鞭になっている気がしますね。
(まずは大阪選抜の選手の確認ですね。まだ全員把握し切れていません)
そして見た中ではあの人の名前はまだ確認出来ていませんが果たして……?
「じゃあ大阪選抜の注目選手のピックアップから始めていこうか」
「そうですね」
宿泊施設に戻り、私は十文字さんとデータの確認をしています。ちなみに詩織さんも一緒ですね。
「ちなみに渡邊や二宮から見て、大阪選抜の選手20人の中で警戒した方が良いって選手はいる?」
切り出しは十文字さん。私だけでなく、詩織さんからも意見を訊こうとしているのは強かですね。
「そうですね……。私でも名前を聞いた事があるのは、諸星選手でしょうか」
「諸星か……。大阪府内でトップの本塁打数を誇るスラッガーだな。無論大阪選抜でも4番を打つ事になるだろう」
諸星さんは1試合で4本のホームランを3試合連続で打つという、他で出来そうなのは和奈さんくらいの記録を保持していますね。詩織さんの言うように、警戒を怠らない方が良いのは間違いありません。
「二宮はどう?」
「私は……」
1人、また1人と選手を見ていきます。下を見続けていると、1人の選手の名前に目が行きました。
(やはりいましたか……。表舞台で姿を見せなくなりましたが、県対抗総力戦のような催しには必ず出て来ると思いましたよ)
「……1番下に名前がある、阿畑保美投手ですね」
「阿畑……?」
「……聞いた事のある選手だが、長年表舞台に出てない選手だね」
「だからこそ警戒が必要だと思います。あの大阪選抜にしっかりと名前が登録されているのですから……」
「……それも間違いないか」
直に会うのは小学生以来ですが、試合となれば手加減無用ですよ?保美さん。
金原いずみの藤和生活……(藤和高校野球部の登場人物は全てオリキャラ及び他作品キャラになります)見たい?
-
見たい
-
見たくない