「は、速いですね……」
「ええ。遠前高校の風薙さんに匹敵する球威があるわ……」
新越谷の面々は風薙さんとの対戦経験があるので、鐘さんのストレートに戦慄しています。しかし……。
「香港最強投手に相応しい球を投げますが、2つの意味でタイミングが悪かったですね」
「どういう事?」
他の人達はこのタイミングの遅さに気付いていないようですね。それそのものは仕方ないのかも知れません。理由の1つとしてはとある打者が大きな影響をもたらしている事も間違いありません。
「1つ目は登板タイミングの遅さです。これは本来セーフティリードを取ってから、鐘さんを登坂させる予定だったので、仕方のない事でしたが……」
打ち合いに関しては、京都選抜の右に出るチームはないでしょう。なのでここがセーフティリードというのを把握しています。流石、打ち合いを日常としている京都府予選ですね。
「京都選抜が黛さんを登坂させたのと、同じ理由だったって事だよね?」
「そうですね。激しい打ち合いの中、京都選抜は7点という本来ならコールドゲームになる勢いのリードを得る事が出来ました。そしてそれがセーフティリードであると判断し、今回の抑え投手である黛さんを登板させ、黛さんが投げたとっておきに繋がったのでしょう」
黛さんをここまで温存していたのも、絶妙なタイミングでしたね。その点も流石と言えます。
「じゃあ2つ目の理由は……?」
「それに関してはこの打席でわかるでしょう」
そう言って私達は次の打席……非道さんに注目し始めました。
ズバンッ!
『ストライク!バッターアウト!!』
2番のリンゼさんが三振したところで、いよいよ本番ですね。
ズバンッ!
『ストライク!』
投げられたコースは外角低めの、かなりギリギリなコースでした。あの緻密な制球力も香港最強と言われた所以でしょう。
「あの球速でコントロールまで完璧とか、どんな腕力してるんですか!?」
「これは埼玉選抜にとっても決して他人事じゃないのかも……」
新越谷の面々は埼玉選抜の安否を心配していますが、同じ心配でもその対象が間違ってますよ。
「……いえ、この打席は非道さんに軍配が上がるでしょう。尤もこのまま勝負を続ければですが」
正直非道さんは歩かせて、次の和奈さんと勝負するのが正解でしょう。まだ打ち取れる可能性があります。
ズバンッ!
『ストライク!』
(どうやら勝負続行のようですね)
それなら非道さんの勝ちですね。
カキーン!!
打球は大きく伸びます。タイミングも完璧でしたね。
「京都選抜が県対抗総力戦の優勝候補と言われる理由の1つとして私の考察では、少なくとも2年以上の期間あれと同等かそれ以上の豪速球を毎日捕り続けていた捕手……非道さんがいるからだと思っています。非道さんにとっては、あのストレートは見慣れているものと大差はないでしょう。スラッガーとしての質は和奈さんの方が上ではありますが、速球打ちにおいては非道さんの方が上回っています。そんな非道さんは風薙さんの球を捉えるのに尤も近い選手ではないでしょうか?」
説明が終わる頃、打球がホームランと確定しました。
金原いずみの藤和生活……(藤和高校野球部の登場人物は全てオリキャラ及び他作品キャラになります)見たい?
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