朱里「どういう事?」
瑞希「そのままの意味です。なので中途半端な時間での投稿です」
1回表の新越谷の攻撃は1点を取って終わりました。果たしてこれが大きくなるかどうか……。
「梁幽館の1番打者って日本人じゃない……よね?」
「はい。陽秋月さんは台湾人ですね。私達の1つ下の年に台湾のシニアで活躍している妹さんもいます」
「えっ?瑞希って家族構成も調べてるの……?」
「何故引いているのかはわかりませんが、陽さんの妹……陽春星のデータを調べたら、偶然知っただけです」
来年の3月にあるシニアリーグの世界大会で当たる相手になるでしょうし、警戒するのは当たり前なのです。そして警戒対象の情報収集は欠かしてはいけません。
「話を戻しますが、陽さんの通算打率は6割越えとなっています」
「3年間で6割なんでしょ?かなり凄くない?」
いずみさんならば、8割くらいは打てそうなものですが……。まだ先の事はわかりませんね。
ズバンッ!
『ストライク!』
「おっ?良いコースだねぇ~。これは迂闊にスイング出来ない?」
「とは言えあれくらいなら打ってきそうなものですけどね。陽さんは初球打ちが多く、苦手なコースでも4割の確率で打ってきます」
「なんかいずみちゃんみたいな打者だね……」
「というか苦手なコース以外はいずみさんそのものだと言っても過言ではありません」
カキーン!!
2球目に投げてきたツーシームを捉えて、その打球はレフトへと飛んでいきました。
『ファール!』
「これはコースに助けられましたね。陽さんの得意コースなら間違いなくホームランでした」
「だ、大丈夫なのかな……?」
和奈さんが心配そうに武田さんを見ていますが……。
「少なくともこの打席は大丈夫でしょう」
「えっ?」
「追い込んだ今なら武田さんの決め球が来ます。『初見なら』まず打てないでしょう」
ズバンッ!
『ストライク!バッターアウト!!』
予想通りに陽さんは空振り三振……。このまま勢いに乗っていきたいところですね。
「先頭打者を三振……。幸先が良いですね」
「あの魔球みたいなカーブは初見じゃバットに当てるのは難しいからね~」
「そうだね。あれはわかっていても簡単には打てそうにないかも……」
逆に対策が出来ていれば、打つのは然程難しくはないでしょう。
「新越谷の応援に来てるけど、あの陽さんには個人的に頑張ってほしいなー」
「……それは陽さんがいずみさんと似たタイプの打者だからですか?」
「そうそう!アタシがバッティングの改良をする時に何かヒントが得られるかも知れないからね♪」
いずみさんは藤和高校のリードオフガールなのに対し、陽さんは梁幽館のリードオフガール……。打撃タイプや成績だけを見れば両者互角ではありますが、重要になってくるのは陽さんが3年生だという事でしょうか?
「そういえばいずみちゃんは初戦どれくらい打てたの?」
「4打数4安打2打点の3盗塁!絶好調だよ♪和奈は?」
「6打数6安打6本塁打の15打点。私も絶好調!」
「うひゃー、流石だね。和奈1人でそんなに点取れるって……」
「加えて和奈さんがいる洛山高校は圧倒的な打撃チームですからね。1回戦は先攻で35対0の3回コールドで試合を終わらせています」
まぁ私に言わせれば、和奈さんもいずみさんも対して変わりませんけどね。
「最近では敬遠球をどう打つかを研究してるよ」
「なんか人間辞めてない……?み、瑞希は?」
「3打数1安打1打点です。貴女達が可笑しいだけで、普通はこんなものですよ。それよりも試合を見ましょう」
これ以上の会話は不毛になりそうですから……。
1回表と同様に、目まぐるしい動きが続きます。2番の白井さんが内野安打、3番の高代さんが送りバントをそれぞれ決めてツーアウト二塁。そして……。
「うわっ!?」
「す、凄い歓声だね……」
「今日の観客は彼女を見る為に来た……という人が多いでしょうね」
梁幽館の4番打者……中田奈緒さん。高校3年間で50本を越えるホームランを打っています。
(一応和奈さんがリトルシニア累計200本塁打を記録していますが、リトルシニアと高校ではそもそも土俵が違いますからね。簡単にホームランは打てないでしょうね)
尤も和奈さんはその想定を軽く覆す能力を持っていそうなので、怖いところではありますね。しかも和奈さんが通う洛山高校は中田さんのような打者が沢山いるという話ですし……。
「でもどうするのかなこの局面……」
「瑞希ちゃんならどうするの?」
「私が山崎さんの立場なら間違いなく歩かせますね。主導権を握り切れていない以上は勝負を避けるべきです」
「あっ、バッテリーも瑞希ちゃんと同じ考えみたいだよ?捕手が立ち上がった……」
「ランナーなしならまだしも、ランナーいるし打たれたら逆転されるから、無理もないよね~」
確実に抑え切れる1度に全てを賭けた方がまだ分が良いでしょう。朱里さんならきっとそうします。それにしても……。
「初回から敬遠かよ!」
「そりゃないよ!」
「折角新越谷を応援しようと思ったのにー!」
「卑怯者!」
「勝負してよ!」
「せこい采配!」
「不祥事!」
「敬遠球打て中田!」
「凄い野次だね……」
全くです。もう少し静かに見れないのでしょうか?
「こんな野次はシニアで和奈が連続で敬遠された時以来だよね~」
そういえばあの時もかなりの罵声が飛んできましたね。相手チームには思わず同情してしまうレベルです。
「観客の中には中田さんの打撃を見に来た……という人も少なくないからでしょうね。それなのに初回から敬遠となると野次が出るのも無理はありません」
「それ込みで中田さんが凄い打者だって事をお客は理解してなさそうだね~」
「私も敬遠される側だから、気持ちはわかるかも……」
そこは大人になるべきですよ?和奈さん。
その後5番打者がタイムリーヒットを打って梁幽館が同点に追い付くものの、後続の打者を抑えて同点止まりで済ませました。これならまだまだ新越谷にも勝機がありそうです。
金原いずみの藤和生活……(藤和高校野球部の登場人物は全てオリキャラ及び他作品キャラになります)見たい?
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