9回表。リードは1点しかありませんが、極力抑えていきたいですね。
カンッ!
……と言った側から、先頭打者に出塁されましたね。香菜さんの球威が落ちてきた事もありますが、この最終回こそ慎重に立ち回らねばなりませんでした。
『代打で出た松井選手、初球からいった!打球はセンター前に落ちてヒット!埼玉選抜、同点のランナーが出ました!!』
「先程打たれた1球……構えたコースに球が来ませんでしたが、疲れましたか?」
雷轟さんの打席辺りから思うように球が行っていない事もありましたし、不安要素は大きいです。
「う、ううん。ま、まだ……まだいけるよ?」
「前のイニングで雷轟さんにホームランを打たれた球も真ん中に行った挙げ句、変化しない棒球だった訳ですが……」
「大丈夫……大丈夫だから、最後まで投げさせてほしいの。お願い、瑞希ちゃん……!」
香菜さんは懇願するような、縋り付くような、弱々しくも力強い発言でした。
「…………」
(今の香菜さんはリトル時代の朱里さんと同じですね。何を言っても曲げないでしょうし、かといって無理矢理降板させても逆効果……。こうなってくると、香菜さんが壊れないように管理するしかありません)
「……わかりました。ですが無理のないピッチングでお願いします。今の鋼さんは破滅の1歩手前に来ていますので」
「うん……。ありがとう瑞希ちゃん。私、頑張るね……!」
私はもう香菜さんが壊れないように、心身共にケアするしかありません。まだ2年生なのですから、無理はしないでくださいね?
コンッ。
送りバントを決められて、ワンアウト二塁。
カンッ!
「ショート!」
次の打者はショート正面のライナー。かなり打球が速いですね。
バシッ!
『アウト!』
(尤も陽奈さんなら、その心配もなさそうですが……)
「ランナー飛び出してる!」
若干飛び出しているランナーを刺して、この試合を終わらせたいものです。
「えっ?ちょっ……!」
『セーフ!』
「あ、危な……」
刺せませんでしたか……。しかしこれでツーアウト二塁ですね。
(次は3番の番堂さん……。もしも彼女が出塁してしまうと、雷轟さんに回ってきてしまいます。そうなると投手を交代する必要があるでしょう)
前の打席で打たれた事も加味しないとなりませんからね。逆に言えば、風薙さんに通用し得る力量が今の雷轟さんにあるのかも興味ありますが……。
「瑞希ちゃん……。この打者で決めよ?」
「……そうですね」
(まぁ無理矢理雷轟さんに回す必要は皆無ですね。今目の前にいる打者に全身全霊をぶつけてもらいましょう)
最後の大勝負ですね。
金原いずみの藤和生活……(藤和高校野球部の登場人物は全てオリキャラ及び他作品キャラになります)見たい?
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