最強のスラッガーを目指して!【本編完結】   作:銅英雄

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番外編 二宮瑞希の白糸台生活 夏大会編 1年目⑮

イニングは5回裏。梁幽館の攻撃は2番から始まりますが……。

 

 

ズバンッ!

 

 

『ストライク!バッターアウト!!』

 

武田さんが三振に切って取ります。

 

「こんな良い試合滅多に見られないよ!」

 

「確かに双方譲らずの同点だもんね~!」

 

和奈さんといずみさんが興奮した様子で試合を見ています。接戦を滅多に見られないのは、恐らく所属チームが一方的な展開を押し付けているからでしょうね。私も同じです。

 

「……ただ少し梁幽館が有利に傾いていますね。先程のファインプレーが響いています」

 

「あのセカンドの守備によってチャンスに点を取れなくしてるもんね……」

 

「しかし新越谷も武田さんの好投によって決して流れを完全には渡さない……。恐らく次の中田さんの打席で試合は動き始めるでしょう」

 

『アウト!』

 

「おっ、3番も打ち取った!」

 

「ツーアウトランナーなしで4番だね……。歩かせるのかな?」

 

「確実に梁幽館を詰ませるなら、歩かせた方が懸命でしょう。ですが……」

 

「外野は長打警戒!」

 

山崎さんが指示を出している姿が……。今の武田さんなら抑えられると踏んでの判断でしょうね。

 

「新越谷は勝負のつもりですね」

 

「じゃあ遂に見られるんだ……!」

 

「和奈は目を光らせてるね。でもアタシもこの勝負、楽しみかも☆」

 

2人と同様に私も楽しみにしています。果たして成果を持ち帰れるのか……。

 

 

ズバンッ!

 

 

『ストライク!』

 

初球に内角高めのストレートを空振り。良い球ですね。

 

「良いコースだねぇ」

 

「うん。あれは下手に手を出そうとすると、打ち取られちゃうよ」

 

いずみさんや和奈さん程の打者でも、あのコースに投げられたストレートは打ち取られる……と思わせる1球でした。

 

『ファール!』

 

しかし次の球を捉えて、その打球はライト線へ切れてファール。

 

『ファール!』

 

その次の球はボールコースにも関わらず、中田さんは強引にカットしました。 

 

「明らかなボール球もカットしてるね~」

 

「カウントが悪くなると歩かされるのを中田さん自身もわかっているからでしょうね」

 

「でもその気持ちはよくわかるかも……。私もシニアの時はくさいところ突かせてあわよくば凡打っていうピッチングを多くされてたから……」

 

「まぁ和奈のあのバッティングを見るとね~」

 

しかしその事に気付いた人はシニア時代には数人しかいませんでした。やはり中学生なので、深くは考えないのでしょうか?

 

「そういえば和奈さんのところは大会や練習試合では勝負してもらってるんですか?」

 

「うん。1回戦の相手投手は全員相手してくれたよ。1年生で4番なのが珍しかったからかな……?」

 

和奈さんは1年生ながらも打点数と本塁打数が全国で1番多い洛山高校で4番を任されています。ちなみにいずみさんは藤和高校で1番に抜擢されています。2人共1年生にして大躍進ですね。 

 

「洛山高校の去年と一昨年の4番は大豪月さんでしたからね。大豪月さんは有名ですから、彼女を越える打者なのか見てみたかった……という可能性はあるでしょう」

 

「そんなにその……大豪月さんは凄いの?」

 

「私も神童さんに聞いた話なので詳しい事は知りませんが、大豪月さんは通算ホームランの数が中田さんを越える75本のスラッガーで、バットに当てたらホームラン確実とまで言われていました。それに加えて……」

 

「大豪月さんって投手なんだよね」 

 

「中田さんも確か本職は投手だったよね?はー、エースで4番って本当にいるもんだね~」

 

投手を務めながらも、4番を任される圧倒的な長打力……。稀有な存在なのは間違いないですね。 

 

「更に洛山高校はここ2年間で全国でホームランの数が1番多く、2位との差が圧倒的なんだそうです」

 

「でも逆に走塁や守備は並くらいかそれ以下だって大豪月さんが言ってた……」 

 

「なんとも極端なチームだね……」

 

「洛山高校は野球スタイルが打撃に全振りですからね。埼玉にも熊谷実業というこれまた野球スタイルを打撃に極振りしているチームがあるのですが、洛山は打撃もそれ以外もその比ではありません」

 

なんて話をしている内に、フルカウント。次で9球目となりますが……。

 

 

カキーン!!

 

 

「初球と同じコースだね……」

 

「ですが初球とは違う渾身の球だったでしょう。単純に中田さんが武田さんの渾身を上回った……というだけの話です」

 

 

カキーン!!

 

 

「あれ?またホームランを打たれたよ?」

 

「……今のは余計な1本ですね。ですが梁幽館にとってはかなり大きいでしょう」

 

「と言うと?」

 

「今の武田さんは恐らく調子が最高潮に達しています。引き金になったのが、中田さんとの勝負を経たものだと思っていますが……」

 

そういう意味では先程ホームランを打ったのは梁幽館的には運が良かったとしか言い様がありませんね。後続の打者も完璧に抑えました。

 

(あと2イニング……。ここから新越谷は逆転するでしょうか?)

 

出来なければそれまで。朱里さんは……。

金原いずみの藤和生活……(藤和高校野球部の登場人物は全てオリキャラ及び他作品キャラになります)見たい?

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