7回表。新越谷の攻撃は1番からですが、武田さんの勢いに乗せられたのか1番、2番と連続出塁でノーアウト一塁・二塁のチャンスを迎えました。
「ありゃりゃ……。梁幽館はそろそろ投手の代え時なんじゃない?」
「事はそう簡単ではないと思いますよいずみさん。梁幽館程の強豪校ともなると、セーブを確実に決めるべくリリーフのタイミングはかなり慎重になりますからね」
「で、でも吉川さんピンチだよ?あの状態で中軸を抑えられるかどうか……」
「それも一理ありますね。だから代え時が難しいのです」
ここで代えるとなると、新越谷の強力打線を確実に抑えられるストッパーになりますが……。
「……どうやら投手を代えるようですね」
「まぁ展開厳しいからね~」
「誰に代わるんだろ……?」
梁幽館の投手陣は豊富ですが、今の新越谷を抑えられる投手となると……。
「あっ、はづきちゃんが出て来た!」
和奈さんの言葉でグラウンドを見てみると、そこにはマウンドに上がるはづきさんの姿が……。
「そういえば1回戦でもはづきはリリーフで投げてたね~」
「その試合の映像を見ましたが、彼女のスクリューはシニアの時よりも進化していました」
はづきさんの成長速度は目を見張るものがありますね。新越谷で言うと雷轟さんが当てはまりますが……
「はづきを打てたら新越谷の勝ち、はづきが抑えたら梁幽館の勝ち……。胸が熱くなる展開だねぇ!」
いずみさんの興奮とは裏腹に、打席に立っている中村さんからはこの展開を打破しようとする雰囲気を感じますね。
カキーン!!
「打った!?」
「うわー。入るかなこれ!?」
中村さんが放った打球はライト方面にグングンと伸びていき……。
「は、入った……」
「逆転した……」
「やりましたね」
しかしはづきさんと元チームメイトの私達としては少し複雑ではありますね。ですが劇的な展開に対する興奮の方が強そうですね。
『ボール!フォアボール』
次の朱里さんは四球で出塁。なんだかんだはづきさんも先程のスリーランのダメージがありそうですね。そして……。
「おっ!」
「来ましたね……」
雷轟遥……。朱里さんが気に掛けている方であり、和奈さんのようなスラッガーの素質があり、何より野球を本格的に始めてまだ3ヶ月という脅威的な成長速度を見せています。
「あの子がさっき2人が言ってた?」
「彼女のバッティングだけなら和奈さん、貴女にも負けませんよ」
誇張表現ではなく事実です。彼女は将来プロ野球の世界で活躍する可能性がありそうですね。
「本当に!?どんなバッティングをするんだろ……?」
ズバンッ!
『ストライク!』
雷轟さんは2球見逃し。ツーナッシングです。
「見逃しかぁ……」
「あれは打つタイミング……絶好球を待ってるんだよ」
「和奈はわかるんだ?」
「同じスラッガーとしての感覚かも知れませんね」
「そういうものなのかなぁ……」
いずみさんが困惑している様子ですが、私もイマイチ要領を得ていません。
カキーン!!
3球目。はづきさんの大きく曲がるスクリューを雷轟さんは態勢を崩しながらも、スコアボードまで飛ばすホームランにしました。
「うひゃー、あの体勢でよくあそこまで飛ばすね~」
「それにはづきさんの投げたスクリューは決して悪くありませんでした。むしろ雷轟さんに投げた最後の球は本来右打者には手が届かないスクリューです」
それを雷轟さんは強引に届かせた……。雷轟さんの野球センスがかなりのものだと理解させられますね。
「私も1打席だけだと打てないかも。はづきちゃんがあんなに良い球を投げるなんて。それにそれを打ち抜いた雷轟さん……」
「おっ、和奈にもライバル出現?」
「うん……。彼女とは1回話してみたいかも」
和奈さんやいずみさんのような選手には同世代のライバルは多いに越した事はありません。更なる成長に繋がりますからね。私はそこまでの選手ではないので、少なくても問題はありません。
『アウト!ゲームセット!!』
雷轟さんの打ったホームランが駄目押しでしたね。いくら梁幽館でも、調子の上がった武田さんは打ち切れませんでした。白糸台でもあの武田さんを打てるのは何人いるのか……。これから成長する事を考えると、相当厳しいかも知れませんね。
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