最強のスラッガーを目指して!【本編完結】   作:銅英雄

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番外編 二宮瑞希の白糸台生活 夏大会編 1年目⑲

二宮瑞希です。本日は新越谷の3戦目の試合観戦に来ています。和奈さんといずみさんというイツメンに加えて、梁幽館の中田さん、友理さん、はづきさんの3人が来てくれています。

 

「今日は朱里せんぱいの勇姿をこの一眼レフに焼き付けるよっ!」

 

開幕早々にはづきさんは全快のようです。全壊かも知れませんが……。

 

「しっかしはづきも切り替えが早いね~。試合に負けた時はワンワン泣いてたのに」

 

「それは昨日までの『情けない橘はづき』で、今日からは『New橘はづき』だよ!」

 

どの辺りがNewなのかは皆目見当が付きませんが……。ですがはづきさんの調子がいつも通りに戻ってきたのは間違いないですね。

 

「あっ、そろそろ試合が始まるよ」

 

「今日の新越谷は後攻……。投手陣のローテ的にもここが朱里せんぱいの登坂ポイント……。馬宮高校は今の新越谷よりもランクは落ちるから、朱里せんぱいの無双が見られる筈……!」

 

「な、何やら橘の様子が可笑しいんだが……」

 

「朱里さんが関わるとはづきさんはこうなってしまいます。別に放っておいても大丈夫ですよ」

 

「そ、そうか……」

 

この面子の中では中田さんだけが川越シニア出身ではないので、はづきさんの暴走ぶりに引いてしまうのも無理はありません。今日のはづきさんはなんだか鼻と顎が尖っているように見えて、辺りがザワザワとしていそうですが……。

 

「あれ?マウンドにいるのは朱里ちゃんじゃないよ?」

 

「……ゑ?」

 

和奈さんの言うようにマウンドに朱里さんはおらず、代わりに立っているのは川口さんです。

 

「なんで朱里せんぱいが先発じゃないんですか~!?」

 

「あはは!はづきドンマイ☆」

 

「馬宮高校には特に脅威的な選手はいませんからね。影森戦と同様に川口さんと藤原さんでいくつもりでしょう」

 

ですが2勝している勢いがあるのは間違いありません。朱里さんや武田さんよりも数枚落ちる投手でどこまで通用するのか……。

 

「それにしても大きいカメラ……」

 

「朱里せんぱいの勇姿を納める為に買った一眼レフなのに、朱里せんぱいが撮れないんじゃ意味がありませんよ!」

 

「落ち着いてくださいはづきさん。友理さんと中田さんに迷惑ですよ」

 

もう高校生になったのですから、少しは落ち着きを見せてほしいです。

 

「あはは……。気にしないでください……」

 

「それより私達も一緒で良かったのか?」

 

「新越谷の応援に来ているのでしょう?梁幽館の貴女達は秋大会以降も当たる可能性があるからその偵察も兼ねているとはいえ」

 

「ああ、後輩達の為にもうちを破った新越谷の野球は見ておきたいからな」

 

「それなら何も問題はありませんね。秋に向けての情報収集はとても大切な事ですから」

 

「瑞希さんが言うと、言葉の重みが違いますね……」

 

友理さんの言うように、私にとって情報は全てと言っても過言ではありません。あの時の悲劇をもう2度と繰り返さない為にも、日々の情報収集は欠かせません。

 

『プレイボール!!』

 

……今は試合観戦に集中しましょう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

試合は3回表まで進み、新越谷は一気に3点を取りました。

 

「一気に3点か……」

 

「結果論ですが、バントしてたら無得点でしたね。相変わらず良い攻撃です!」

 

「一巡目でも様子見しつつも先制点を取る……というのが新越谷の流れですからね。これまでの新越谷も影森戦以外は全て先制点を取っています」

 

如何に対策が実行されているかがよくわかりますね。

 

「流石朱里せんぱいのチームですね!」

 

「こらこらはづき、新越谷はもうワンマンチームじゃないよ」

 

「そうだな。攻撃と言い、守備と言い、新越谷はもう充分あの頃の強豪校に戻っているだろう」

 

むしろ今が新越谷の全盛期なのかも知れませんね。

 

「う~ん……」

 

「どうしたの和奈?」

 

「雷轟さんのバッティングを見たかったなって思って……」

 

「ああ、歩かされたからね」

 

「雷轟さんは私の決め球を打った人ですから!警戒されるのは当たり前ですよ!」

 

「何故はづきさんがそんなに自信満々なんですか……?」

 

(しかし格下相手とはいえ2勝している相手に朱里さんと武田さんを温存……。窮地に立たされている人とは思えませんね。朱里さんの思い切りも大したものです)

 

自信満々のはづきさんは置いておいて、こういう思い切りの良さも新越谷の強みなのかも知れませんね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『ゲームセット!!』

 

「試合が終わってみれば、新越谷の4回コールドですか……」

 

「馬宮は雷轟さんを歩かせた方が良かったでしょう。満塁敬遠の方がダメージは少なかった筈です」

 

「まぁどうにも満塁で敬遠するのは躊躇いがちなるのは仕方のない事だがな……」

 

「新越谷は破竹の勢いで勝ち進んでいくね~!」

 

「うん。もしかしたらこのまま優勝するかも……!」

 

「まぁ私達梁幽館に勝ったんだから?優勝くらいはしてもらわないとね~!」

 

いずみさん、和奈さん、はづきさんの3人の会話を聞きながら、私は先日山崎さんに話した内容を思い出す。

 

(今の新越谷が勝つにはあと1つ……何かしらの切欠が必要になってきます。誰がそれを握っているのか……)

 

「瑞希さん?どうかしました?」

 

「……なんでもありません」

 

私にはこうして見守る事しか出来ません。どうなるかは新越谷次第でしょう。

金原いずみの藤和生活……(藤和高校野球部の登場人物は全てオリキャラ及び他作品キャラになります)見たい?

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