最強のスラッガーを目指して!【本編完結】   作:銅英雄

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番外編 清本和奈の洛山生活32

5回表。先発投手の球威が落ち始めたのが見え、ワンアウト二塁のピンチに陥る。

 

「影森の打線はほぼ初球打ちなのに、ガス欠が早いね~」

 

「藤原さんは本来抑え投手としての方が適任でしょうね。それにあの感じ……。試合に慣れていないのも原因の1つでしょう」

 

「勝ち投手になれないのは残念だけど、内容だけ見ると悪くなかったと思う」

 

「そうですね。慣れない試合の中でよく投げた方でしょう」

 

そんな藤原さんはマウンドを降りて、レフトにいた川口さんがマウンドに上がる。それに伴って守備位置も藤原さんがサード、サードにいた武田さんがファースト、ファーストにいた中村さんがレフト……と、人員を割かない交代をしていた。

 

「こういう多種多様なポジションを守れるようになるのは、部員数の少ないチームのメリットですね」

 

「名門校で部員数も多いと、そのポジションの一点に集中しがちだもんね」

 

「アタシが大体そんな感じかな~。藤和だとレフト一択って感じ」

 

いずみちゃんはシニアでは時々ライトやセンター、ファーストも守ってたけど、名門校の藤和は例外なくいずみちゃんの1番得意なレフト一辺倒になるみたい。私はファーストとサードを守るけど、洛山ではその2ポジションを抑えてくと良いって非道さんが言ってたから、そうしてるけど……?

 

 

ズバンッ!

 

 

『ストライク!』

 

「初めてストライクを見送った……?」

 

「球威は先発投手の方が上だし、影森からしたら見送るようなコースでもなさそうなのに……」

 

いきなりストライクを見送った影森の打者は何か困惑してるように見えた。

 

「……理由として挙げられるのはあの投手のフォームですね」

 

「フォーム……アンダースローだよね?」

 

「そのアンダースローですが、影森のエース……中山さんのフォームと寸分違いません」

 

「コピーしたって事……?見たところ急増の投手でしょ?」

 

「急増の投手には違いないでしょうが、フォームそのものはしっかりとしています。恐らく幼少期から長い積み重ねをしたのでしょう」

 

「それはあのアンダースローを?それともフォームコピーの方?」

 

「恐らく後者でしょうね。そしてそれに加えて彼女の野球センスも相まって、ここまでのフォームに仕上がっていると見て良さそうです」

 

『アウト!チェンジ!!』

 

ワンアウト二塁のピンチを川口さんは見事に切り抜けた。

 

「しかし中山さんのコピーなら、逆に打てそうな感じするけどね~?」

 

「動揺していたようにも見えるので、中山さんのフォームには今の影森の野球が完成した理由の1つなのでしょう。影森にとって長い積み重ねを重ねた結果のあのアンダースローを、急に出て来た投手に寸分違わないコピーを見せられれば、培ってきた努力が無に帰されるようなもの……。動揺してしまうのも無理はありません」

 

頑張って得たフォームが簡単にコピーされると、それまでの野球が否定されてる感じがするもんね……。そう考えると、川口さんは厄介な投手なのかも?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

6回表。先頭打者にヒットを打たれて、ノーアウト一塁。

 

「ヒットは打たれたものの、テンポの良い投球してるね~」

 

「コピーの精度の良さもあの捕手が実現してるみたいなものだよね。返球速度も完璧だし……」

 

「捕手の山崎さんは全国区のガールズチームで正捕手を務めていた経歴があります。あれくらいはするでしょう」

 

そんな凄い捕手なんだ……。瑞希ちゃんや非道さん、あとはシニアで苦戦した十文字さんみたいな特別なものを持ってるのかな?

 

ツーナッシングから3球目……ってあれは!?

 

 

ズバンッ!

 

 

『ストライク!バッターアウト!!』

 

「い、今のって朱里ちゃんの……」

 

「……はい。球速は遅いですが、あの変化量とキレは間違いありません」

 

「えっ?今の球がどうかしたの?」

 

「あれは朱里さんがリトル時代の決め球に使っていたシンカーです」

 

だ、だよね?まさか朱里ちゃんの決め球までコピーするなんて……。

 

「朱里ちゃんが右肩を故障してからはもう見られないと思ったのに……」

 

「これは思わぬ伏兵ですね。もしも球速まで朱里さんの球そのものになったら、そう簡単には打てません」

 

「アタシはシニアから朱里と知り合ったから、リトル時代の事はあんまりわからない……。でも確かにあのシンカーは凄かったね。これは勝負の機会が楽しみだ♪」

 

「川口息吹……。その名前、覚えましたよ」

 

川口さんは将来私達に立ちはだかる投手……。そんな予感が脳内を過ったよ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして6回裏。新越谷の猛攻の末に、そのままコールドゲームとなった。

 

「6回コールドですか……」

 

「やー、前に戦った時よりも新越谷はレベルが上がってるね。再戦出来たら良いねぇ♪」

 

結果としては大体私と瑞希ちゃんの予想通りだったね。慣れてしまえば打てない投手じゃない……って感じだったし。

 

もしも中山さんが、影森の野球が今の意識を変えるなら、かなり手強いチームになると思う……。それが私の感想かな。

 

「あとは朱里ちゃんに挨拶するだけだね」

 

「勿論です。その為に来たようなものですから」

 

朱里ちゃんに会うのも久々だし、楽しみだな……。

金原いずみの藤和生活……(藤和高校野球部の登場人物は全てオリキャラ及び他作品キャラになります)見たい?

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