新越谷は初回で1点を先制。幸先は良いんだけど、このままペースを維持出来るかが問題だね。そして1回裏。梁幽館の先頭打者は……。
「梁幽館の1番打者って日本人じゃない……よね?」
「はい。陽秋月さんは台湾人ですね。私達の1つ下の年に台湾のシニアで活躍している妹さんもいます」
私も聞いた事がある……。その妹の名前は陽春星。台湾で1番のスラッガーだと名を馳せている実力者。ショートとしての守備も一級品で、肩もかなり強い……。今は中3だけど、そのままプロでも通用しちゃうレベルの選手だ。
「えっ?み、瑞希って家族構成も調べてるの……?」
「何故引いているのかはわかりませんが、陽さんの妹……陽春星のデータを調べたら、偶然知っただけです」
ま、まぁそうだよね。でもなんで姉妹で別々の国に在住してるんだろ……?
「話を戻しますが、陽さんの通算打率は6割越えとなっています」
「3年間で6割なんでしょ?かなり凄くない?」
そう言ってるいずみちゃんなら8割くらい打ちそうだけど……。シニア野球と高校野球はまた別物……と考えても良いのかな?
ズバンッ!
『ストライク!』
「おっ?良いコースだねぇ~。これは迂闊にスイング出来ない?」
「とは言えあれくらいなら打ってきそうなものですけどね。陽さんは初球打ちが多く、苦手なコースでも4割の確率で打ってきます」
「なんかいずみちゃんみたいな打者だね……」
「というか苦手なコース以外はいずみさんそのものだと言っても過言ではありません」
確かいずみちゃんは内角の球を苦手としてたっけ……?じゃああの陽さんは外角の球が苦手なのかな?
カキーン!!
同じコースだからか、もう対応してきた……。この対応力もいずみちゃんみたい。
『ファール!』
打球はレフト線切れてファール。結構スレスレだったよ……。
「これはコースに助けられましたね。陽さんの得意コースなら間違いなくホームランでした」
「だ、大丈夫なのかな……?」
あの対応力なら次はホームランだろうし、苦手なコースでも絶対に打ってくるよ……。
「少なくともこの打席は大丈夫でしょう」
「えっ?」
「追い込んだ今なら武田さんの決め球が来ます。『初見なら』まず打てないでしょう」
武田さんの決め球……。多分それがいずみちゃんを2度も抑えた要因を作った球なんだろうけど……。
ズバンッ!
『ストライク!バッターアウト!!』
真ん中から大きく曲がるカーブ……いや、どちらかと言うとスライダーかな?それがキャッチャーミットに突き刺さった。
「先頭打者を三振……。幸先が良いですね」
「あの魔球みたいなカーブは初見じゃバットに当てるのは難しいからね~」
「そうだね。あれはわかっていても簡単には打てそうにないかも……」
(いずみちゃんもあの球に上手くやられたんだね。こうして陽さんを三振に仕留めたのもきっと……)
「新越谷の応援に来てるけど、あの陽さんには個人的に頑張ってほしいなー」
「……それは陽さんがいずみさんと似たタイプの打者だからですか?」
似たっていうか、ほぼ同じだよね。
「そうそう!アタシがバッティングの改良をする時に何かヒントが得られるかも知れないからね♪」
いずみちゃんはきっと凄い打者になる……。その為にも今日の試合……特に陽さんの打席は1回も目を離せないんじゃないかな?
「そういえばいずみちゃんは初戦どれくらい打てたの?」
「4打数4安打2打点の3盗塁!絶好調だよ♪和奈は?」
「6打数6安打6本塁打の15打点。私も絶好調!」
まさか3イニングで6回も打順が回ってくるとは思わなかったけどね……。
「うひゃー、流石だね。和奈1人でそんなに点取れるって……」
「加えて和奈さんがいる洛山高校は圧倒的な打撃チームですからね。1回戦は先攻で35対0の3回コールドで試合を終わらせています」
「なにそれエグい」
あっ。やっぱり可笑しいんだよね?最近その辺りの感覚が麻痺し始めてきたから、わからなかったよ。いずみちゃんの反応が普通なんだよね?
「最近では敬遠球をどう打つかを研究してるよ」
「なんか人間辞めてない……?み、瑞希は?」
「3打数1安打1打点です。貴女達が可笑しいだけで、普通はこんなものですよ。それよりも試合を見ましょう」
なんか酷い事を言われた気がするけど、折角の試合観戦(全国大会に向けた偵察も兼ねてる)を楽しもう!
金原いずみの藤和生活……(藤和高校野球部の登場人物は全てオリキャラ及び他作品キャラになります)見たい?
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