先頭の陽さんを三振に切って取った後、2番打者に内野安打、3番打者に送りバントを決められて、ツーアウト二塁。梁幽館の4番打者が打席へと向かった瞬間……。
「うわっ!?」
大きな歓声が響き渡った。凄く注目されてる人なんだね……。
「す、凄い歓声だね……」
「今日の観客は彼女を見る為に来た……という人が多いでしょうね」
4番の中田さんは高校通算50本塁打を打っているらしい。瑞希ちゃんの話によると、その上エース投手としても活躍してるんだから凄いよね。
「でもどうするのかなこの局面……」
新越谷のリードは1点だし、下手に勝負すると逆転されかねないよね……。
「瑞希ちゃんならどうするの?」
「私が山崎さんの立場なら間違いなく歩かせますね。主導権を握り切れていない以上は勝負を避けるべきです」
「あっ、バッテリーも瑞希ちゃんと同じ考えみたいだよ?捕手が立ち上がった……」
「ランナーなしならまだしも、ランナーいるし打たれたら逆転されるから、無理もないよね~」
野球をやってるものとして、逆転されるリスクは可能な限りは潰しておきたい。でも野球を観るものとしてはまた話が別な訳で……。
「初回から敬遠かよ!」
「そりゃないよ!」
「折角新越谷を応援しようと思ったのにー!」
「卑怯者!」
「勝負してよ!」
「せこい采配!」
「不祥事!」
「敬遠球打て中田!」
飛んでくるのは大量の野次。中田さんのホームランを観に来た人だって少なくないんだろうね。でも新越谷側からしたら、無理な勝負はしない方針で行くんだろう。徹底しなきゃ勝てる場面も勝てなくなっちゃうし……。
「それにしても凄い野次だね……」
「こんな野次はシニアで和奈が連続で敬遠された時以来だよね~」
「観客の中には中田さんの打撃を見に来た……という人も少なくないからでしょうね。それなのに初回から敬遠となると野次が出るのも無理はありません」
「それ込みで中田さんが凄い打者だって事をお客は理解してなさそうだね~」
「私も敬遠される側だから、気持ちはわかるかも……」
実際に勝負してくれないのは寂しいよ。京都予選の対戦相手は皆勝負してくれるんだけど、それは1年生で4番の私に興味を持ってくれているからなんだね……。
『ボール!フォアボール!!』
4番との勝負は避けたけど、ピンチには変わりない。ランナー2人だと最悪逆転される事も視野に入れなきゃだし……。
カンッ!
5番打者が2球見送った後に左中間を抜けるタイムリーヒット。新越谷はこれで同点に追い付かれたけど、センターの送球で三塁をアウトにしてチェンジ。まだまだ試合は始まったばかりだね。
金原いずみの藤和生活……(藤和高校野球部の登場人物は全てオリキャラ及び他作品キャラになります)見たい?
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