4回裏。ここまで両チーム0点で、武田さんに至っては未だにパーフェクトです。
「武田の方はここまでパーフェクトを決めている訳だが、柳大川越も二巡目に入る。1打席目のようにはいけないだろうな」
「そうですね。それにパーフェクトとはいえ、ここまでの球数は54球……。かなり投げさせられています」
藤原さんや川口さんも成長していますが、それでも柳大川越の打線を抑えるのは難しいでしょう。そうなってくると、武田さんの球数管理を慎重にやらないといけません。
カンッ!
1番の大島さんが武田さんのストレートを捉え、ショート方向へ深いゴロになりました。
「大島の走力を見る限りはギリギリの内野安打……って感じだが……」
「川崎さんの送球が逸れましたね」
逸れた送球をファーストが捕球出来ず、後ろへ飛んでいき、大島さんはその間に二塁へと辿り着きました。
「結果はヒットとエラーか。ギリギリアウトに出来そうだと焦った結果生まれたものだな」
「大島さん的にも間に合うかは微妙なラインだったのでしょう。それが川崎さんの悪送球に繋がりました」
「川崎にしろ、大島にしろ、まだ1年生らしい初々しい部分が見えているな」
(まぁ逆にここにいる二宮は1年生とは到底思えない貫禄を醸し出している訳だが……。同じ年に産まれているとは思えないな)
その後は2番が凡退、3番が進塁打でツーアウト三塁。
「4番の浅井だな。前に新越谷と練習試合では三振3つだった……。そろそろ意地を見せてくる頃合いだろう」
「意地……ですか」
「奴とて強豪の3年生だ。同じ相手に三振続き……しかも1年生が相手だとプライドが許さないんだろうな。だから……」
カンッ!
「ここは何がなんでも打ってくるのさ。まぁ詰まらせてはいるがな……」
「右中間へのフライですね」
朱里さんが打球の処理に入りますが……」
「お?」
「足を縺らせましたね」
バシッ!
『アウト!』
しかしそれを誤魔化すようかの捕球……。そう簡単には弱みを見せずに、スリーアウトとなりました。
「このイニングも無得点か……。投手戦が続くな。私好みの展開になってきた」
神童さんは投手戦が大好きです。大豪月さんと凌ぎを削り合っている仲らしいですし、その影響も多少はあるのでしょうか?
「武田さんのあのストレートも完全に攻略された訳ではないですし、他の球と上手く混ぜればそう簡単には痛打されません」
「しかしさっきの守備は……。天才の早川にも弱点はあるんだな」
「朱里さんはスタミナが他の先発投手よりもありません。シニアの時も完投した試合は私が徹底的に球数管理をさせていますので、全力で投球していません」
全力投球は恐らく50球も持ちません。だから朱里さんはストレートに見せた変化球を編み出した訳です。しかし……。
(朱里さんが梁幽館戦で見せたストレートもそう多くは投げられない筈。朱里さん達がこのまま全国まで勝ち上がったとしてもそれでは私達には通用しませんよ……?)
「早川がエースじゃないのは体力面が原因でもある……という事か?」
「恐らくそうでしょう。朱里さん本人もそれを理解して普段は外野の練習で足腰とスタミナを鍛えていると言っていました」
(そう考えるとリトル時代も朱里さんを酷使しすぎていましたね。それが故障の原因に繋がった可能性も……)
故障そのものは朱里さんの自業自得ではありますが、酷使の影響でガタが来ていた可能性も……?
「二宮?」
「……いえ、なんでもありません」
(まぁその辺りの事を今更気にしても仕方ありませんね。今は武田さんの攻略の為に試合を見ておきましょう)
今はこの熱戦を観るのに集中しましょうか……!
金原いずみの藤和生活……(藤和高校野球部の登場人物は全てオリキャラ及び他作品キャラになります)見たい?
-
見たい
-
見たくない