最強のスラッガーを目指して!【本編完結】   作:銅英雄

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番外編 清本和奈の洛山生活55

5回表。0対1で新越谷が負けているけど、そんな新越谷にとって最大と言っても良いレベルのチャンスが訪れる。

 

「ノーアウト二塁・三塁……。ヒット1本で逆転出来るんじゃない?」

 

普通なら短打でも2点取れそうな状況。でもそれは普通なら、普通の相手なら……って話だよね。

 

「それだけではありませんよ。見てください」

 

『ボール!フォアボール!!』

 

それだけじゃなく、次の打者を敬遠。これでノーアウト満塁になった。 

 

「け、敬遠!?」

 

「一塁が空いているからか……。三森達は守備範囲がかなり広いし、三重殺狙いと見て良いな」

 

三森3姉妹が得意とする三重殺狙いのシフトは私達も見覚えがある。センターラインの3人が大きく前進して、ファーストとサードがそれぞれ外野寄りに守る……。これによって内野3人、外野4人という状況が作り出せる三森3姉妹がいるチームだけが出来る唯一無二の守備シフトだよね。

 

「うわえっぐ……。あんなの内野に飛ばしたらトリプルプレーになるんじゃないの?」

 

「セカンドとショートが実質的にファーストとサードも守ってるようなものだから、本来のファーストとサードは少し外野寄りに守れるね……」

 

改めて聞くとよく出来てるよね。あの姉妹が考えたのかな?

 

「こういったシフトの利便性を唱えるのは守備方面の知識が豊富でないと不可能でしょう」

 

「それを監督に通せるなんて、膨大なリスクも承知だろうに……」

 

「リトルシニア時代にも三森3姉妹がいるチームで度々このシフトが見受けられました。このシフトのお陰で取れた二重殺が通算150回、三重殺が通算75回ですね」

 

あ、改めて聞くと、凄い事をやってるよね。リスク以上のリターンがあのシフトにあるみたい……。

 

「フン!あのような小賢しいシフト等ホームランを打てば解決するぞ!」

 

「まぁそれが簡単に出来ないから新越谷の川崎ちゃんは苦労してるんでしょうね~」

 

洛山と新越谷じゃ地力の差が違い過ぎるから……。雷轟さんには及ばないまでも、それに近いレベルのスラッガーが量産されてるのが洛山だから、大豪月さんの発言で解決が出来る訳で……。

 

 

ズバンッ!

 

 

『ストライク!』

 

スクイズ狙いも空振りに終わる。しかも……。

 

「えっ?嘘!?」

 

「ま、まだ前に出て来るの!?」

 

今のスクイズ空振りを見て、二遊間が更に前進。ち、近過ぎるよ。打者との距離が3メートルくらいしかないよ。

 

「あれ打撃妨害になるんじゃないのか……?」

 

「審判も戸惑っていますが、続行されているという事は特に問題ない……という事でしょう」

 

今までの野球史上にない光景だから、誰だって戸惑うよ……。

 

 

コンッ!

 

 

「プッシュバント!?」

 

「内野の頭を越えた!」

 

強引に取ったシフトはプッシュバントによって、越えられた。ひとまずこれで同点だね。

 

「だがセンターのカバーも早いな。予めこうなる事は予測していた……という訳か」

 

冷静に考えると、センターのカバーありきのシフトだよね。でも相当な練習をしてなきゃ、あんな極端なシフトは出来ないよ……。

 

 

カツーン!

 

 

打者が放り投げたバットにセンターの送球が当たる。ま、また滅多にないアクシデントが……。

 

「あちゃー。これは同情しちゃうね……」

 

「一応センターの送球ミス……で良いんだよな?」

 

「彼女も必死だったのでしょうね」

 

なんだかわちゃわちゃしてる間に、新越谷は逆転に成功していた。

 

「それにしても予想外の展開だったね……」

 

「三森3姉妹がバントを警戒して前に出過ぎた事と、川崎さんが慣れていないであろうプッシュバントに対応しきれなかった事……。これ等が上手く守備のリズムを崩しましたね」

 

た、確かに予想外の出来事が続き過ぎた結末なのかも……。

 

「でも2点目のやつは完全にアクシデントじゃん。これはちょっと美園学院の投手が可哀想かもね~」

 

「私達ならバント等という姑息な真似は絶対にさせないがな!」

 

「だ、大豪月さん……。バントは立派な野球の戦術ですよ」

 

バントを始めとする小技は日本野球の代名詞と言っても良いよ。スラッガータイプになりつつある私が言っても説得力がないけど……。

 

「諦めなよ清本ちゃん~。大豪月さんの……というか今の洛山の野球は今大豪月さんが言った野球が基本なんだからね~」

 

(まぁ大豪月さん達が引退した後はそれなりにマシになってるだろうけどね~)

 

「うひゃー、洛山相手に小技とか仕掛けたら怒鳴られそう……」

 

いずみちゃんは長打力もあるけど、小技重視の打者だからね。1番打者なだけあって、出塁が最大の目的みたい。

 

「まぁ大豪月がいる限りはそうなりそうだな……。だが小技は日本野球の代名詞でもあるんだぞ?」

 

「野球はホームランか三振だ!!」

 

「……最早この人は末期かも知れませんね」

 

そ、そんな大豪月さんだからこそ、色々な人が着いて来るんだよ?私もなんだかんだ大豪月さんの人柄は好きだし、尊敬出来るよ?

金原いずみの藤和生活……(藤和高校野球部の登場人物は全てオリキャラ及び他作品キャラになります)見たい?

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