新越谷との試合から2日後。今日は新越谷と白糸台の試合観戦に行く日だ。
「良い席が空いてましたよ~」
「ご苦労!」
非道さんが指した席はセンタースタンドの真ん中付近。全体が滅茶苦茶見えるとても良い席なんだけど、どうやってこの席を取ったんだろう……?
「丁度試合が始まったところですね~」
「白糸台の先発は神童ではないな。余程慎重に立ち回りたいのだと伺える……」
「まぁ今日投げる新井ちゃんも実質エースみたいなところはありますし、新越谷にとって苦戦するのは必至じゃないですかね~」
新越谷は瑞希ちゃんに負けないレベルの分析力を持ってるから、上手く新井さんの隙を突きそう……。新越谷側もそれを狙っているだろうけど、そうさせないのが瑞希ちゃんのリードだから、投手戦に持ち込むしか勝ち筋がなさそうだよね……。
「対する新越谷の先発は早川か」
「背番号上では2番手対決ですね~」
朱里ちゃんなら白糸台でも攻略に時間が掛かりそう……。朱里ちゃんの多種多様な球種を瑞希ちゃんに悟られないように立ち回る事が朱里ちゃんには必要とされるね。
『さぁ間もなく始まります。新越谷高校対白糸台高校。試合の実況は七瀬が、解説には白糸台のOGである宮永照プロに来てもらっています』
『よろしくお願いします』
『宮永プロ、今日の試合の見所はどこになるでしょうか?』
『この試合は新越谷も白糸台も投手に注目したいですね』
『……と言いますと?』
『先発の新井選手は今年度に入って大きく成長した投手の1人ですし、新越谷の先発である早川選手は昨年のシニア全国大会で優勝まで登り詰めた川越シニアのエースです。まずは序盤の投げ合いでどちらが主導権を握るか……楽しみです』
解説の言うように、主導権を握れるかがとても重要になりそう……。これは新越谷と白糸台の試合でもあるけど、朱里ちゃんと瑞希ちゃんの対決でもあるよね。実際に勝利の鍵はあの2人が握ってる訳だし……。
『プレイボールです!』
先攻は白糸台。最初の一巡は朱里ちゃんの球を見極めるのかな?
ズバンッ!
『ストライク!』
朱里ちゃんのストレートに見せた変化球を白糸台の打線がどう捉えるかで色々と変わってきそうだね。朱里ちゃんもなるべく悟られないように投げると思うけど……。
ズバンッ!
『ストライク!バッターアウト!!』
「おお~。先頭打者を三振に抑えたね~」
「今日の朱里ちゃんは絶好調みたいですから、余程の相手じゃない限りは打たれないと思います」
「まぁ早川朱里も一流の投手だからな。神童みたいな奴が相手でもない限りは小細工である程度は誤魔化せるだろう。現に亦野は振り遅れている」
(それもこの打席限り……だろうがな)
大豪月さんの言う小細工が通用しない4、5、9番打者に対してが朱里ちゃんにとっての本番……。朱里ちゃん、このペースでいくと多分完投出来なさそうだよね。
1、2番を三振に抑えた朱里ちゃん。3番の新井さんに投げた1球は……。
ズバンッ!
『ストライク!』
朱里ちゃんの速いストレートに新井さんは手が出なかった。緩急の差が結構えげつないから、無理もないよね……。
「今のストレートは中々良い感じですね~」
「ウム、その辺の奴等では決して打てない球だな!」
「あれが朱里ちゃんの決め球とも言えるストレートです」
正確には今年に入って出来た決め球だけど……。私もいずみちゃんも瑞希ちゃんも面食らったよね。
「確かに初見だと手が止まりそうだね~」
「球速自体は私や新井の方が圧倒的に速いが、あのストレートは速度ではなく勢いが違う。ただ速いだけで打てないのなら、埼玉の熊谷実業にいた久保田という投手がもっと騒がれている筈だ」
それはそうなんだろうけど……。1番速い球を投げるのって、現状大豪月さんじゃないのかな……?
(……でも今1番速い球を投げるのは大豪月さんなんですよね~)
ズバンッ!
『ストライク!バッターアウト!!』
『早川選手、白糸台の打線を連続三振で切り抜けました』
『1打席目は様子見……。それを白糸台の選手達も、早川さん自身もそう思っているでしょう』
『そうなると白糸台が動き始めるのは2打席目以降になる……という事ですか?』
『恐らくですが……』
(気になるのは二宮さんの打順……。裕菜の話によると二宮さんは情報収集に長けている。だとしたら本当に始動するのは二宮さんの打席からである可能性が高い)
瑞希ちゃんの打順くらいから白糸台が本格始動しそう……。捕まり始めたら連打を食らうだろうし、朱里ちゃんには頑張ってほしい。
金原いずみの藤和生活……(藤和高校野球部の登場人物は全てオリキャラ及び他作品キャラになります)見たい?
-
見たい
-
見たくない