全国大会決勝戦もいよいよ7回。この回が最後の攻防になるだろうね。
『新越谷はまたも投手交代。背番号18番の早川選手です』
『早川選手は昨年のシニア大会で全国優勝を果たした川越シニアのエース投手ですね』
そして遂に朱里ちゃんが登板。この回は恐らく宮永さんに回ってくるだろうイニング……。朱里ちゃん的にリベンジとか考えてるのかな?
『そんな選手がレギュラーをもらっていないみたいですが……』
『高校レベルともなると男女問わずにハイレベルですからね。全国優勝したチームのエースだったとしても中学と高校はまた別……という事でしょう』
「出ましたよ!朱里せんぱいです!!」
「な、何もないところから一眼レフが出て来ただと……!」
朱里ちゃんの登坂で張り切り出したのは、どこからともなく一眼レフを取り出して構えているはづきちゃん。チームメイトの中田さんが困惑してるよ……?
「はづきちゃんって相変わらず朱里ちゃんの事が好きだね……」
「何を当たり前の事を言ってるの!?私にとって朱里せんぱいは……!」
あっ。地雷踏んじゃった……。
「まーた始まった……」
「こうなると長くなるので、はづきさんの戯れ言は聞き流して良いですよ」
「元チームメイトに対して随分冷たいな……」
よ、余計な事を言わなきゃ良かったよ……。
ズバンッ!
『ストライク!バッターアウト!!』
1番から始まる打順を二者連続三振。この辺りは流石だよね。
「遂にきましたね。この試合の最大の見所が……」
「朱里ちゃんと宮永咲さんの対決……だね」
リトル時代からリベンジしたくて仕方がなかったと思う宮永さん。シニアでは野球を取り出してしてなかったみたいで、何の心境の変化か高校でまた野球をやっているみたいなんだよね……。
「リトル時代の朱里が完敗したのがあの宮永咲という打者か……」
「朱里なら勝てる……って言いたいところだけど、宮永咲さんは打つ時は急だから、いつだって不安なんだよね……」
「そういえばいずみちゃんは宮永咲さんのいる清澄と戦ったんだよね?」
「……あんまりその事は思い出したくないかな~?先輩の決め球が容赦なく打たれたから」
相手の自信のある球を完璧に打つ……。リトル時代だと朱里ちゃんのシンカーを容赦なく打たれたんだよね。
(今となっては、複数の決め球を操る朱里ちゃん。ピンポイントで狙われなきゃ、朱里ちゃんは絶対に打たれないよ……!)
「早川にとってここが正念場だろう。宮永咲相手に抑えるか、打たれるか……」
「さっきの大村ちゃんと刀条ちゃんの勝負よりも緊張しますね~」
「むしろ元剣道部の2人の対決であれ程の緊張感が生まれるのが可笑しいと思うな……」
た、確かに……。でもあれはどっちかというと、剣道での緊張があった気がするよね。
(咲……!)
宮永選手が急に食い入るように観始めた。やっぱり妹さんの本気の打席に興味があるんだろうね。
ズバンッ!
『ストライク!』
あっという間にツーナッシングに追い込んだ。追い込んだけど……。
(この状況は朱里ちゃんにとっては良くないんじゃないのかな……)
「朱里ちゃん……!」
(和奈さんも気付いたようですね。朱里さんがかつてリトルの試合で宮永咲さんと対峙した時の事を……)
きっと瑞希ちゃんも気付いてる。リトル時代と状況が同じな事に……。
『タイム!』
タイムが入っちゃった……。
「瑞希ちゃん、これって……」
「そうですね」
「な、何々?今から何が起ころうとしてるの!?」
私と瑞希ちゃんの会話が気になるのか、いずみちゃんが食い付く。
「……朱里さんが宮永咲さんを追い込んだこの状況下はリトルの時と同じです。カウントは有利に運んでいるのにも関わらずタイムを取って内野陣が集まり、その後に投げる朱里さんの球は今日1番の球を投げるんです」
「凄いじゃん!」
そう。それでリトル時代に朱里ちゃんは渾身のシンカーを投げた。
「ま、待ってよ……。リトル時代の朱里せんぱいはそれで宮永咲さんに完敗してるんだよね?それじゃあ……」
はづきちゃんは答えに辿り着いちゃったみたい。そう……なんだよね……。
「察しの通りですはづきさん。朱里さんの全力を込めた1球を……」
カキーン!!
「一切の容赦がなく、無慈悲に打ち砕くのが宮永咲……という打者です」
朱里ちゃんの投げたのは今日1番のストレート。それを完璧に打つなんて惨すぎるよ……。
金原いずみの藤和生活……(藤和高校野球部の登場人物は全てオリキャラ及び他作品キャラになります)見たい?
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