最強のスラッガーを目指して!【本編完結】   作:銅英雄

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番外編 二宮瑞希の白糸台生活 夏大会編 1年目 28

4回表。咲桜の攻撃は4番の亮子さんからになります。

 

「朱里的にはリベンジしたいところだよね~」

 

「朱里さん特有の手数の多さを駆使すれば、まだ亮子さんを抑えられると思いますよ」

 

実際に朱里さんが亮子さんからもぎ取った4割の勝率はまさしく手数の多さを利用したもの……。この打席ではそれが見られる事でしょう。

 

 

ズバンッ!

 

 

『ストライク!』

 

「あれ、梁幽館戦で中田さんに投げたストレートだよね……」

 

「相変わらず速いね~!」

 

朱里さんの投げたストレートはかなり速く見えます。高校生女子選手の中では確かに速い部類です。しかしもっと球の速い球を投げる選手は全国には沢山います。

 

(それでも、あのストレートはかなり速く見える……。恐らくはこれまで投げてきた球を遅く投げる事によって、あのストレートを速く見せているのでしょう)

 

 

ズバンッ!

 

 

『ストライク!』

 

見せる事については朱里さんの上を行く選手はかなり少ないでしょうね。少なくとも埼玉にはいなさそうです。

 

「このまま3球で仕留めるのかな……?」

 

「どうだろうね~?朱里って結構慎重に投げるし、1、2球は外してくるんじゃない?」

 

「でも亮子ちゃんに球数稼ぐのは危険だよ……」

 

和奈さんの言うように、亮子さんは今の2球の時点で朱里さんを打つイメージを整えているでしょう。余計な球数は亮子さんに打たれる可能性をより高くするだけです。

 

 

ズバンッ!

 

 

「えっ……」

 

『ストライク!バッターアウト!!』

 

「今の……球は……」

 

亮子さんが見逃し三振とは珍しい事もあるものですね。

 

「い、今朱里は何を投げたの?凄い落ちたんだけど……」

 

「……恐らくSFFですね。それもフォークのような落差のある球です」

 

あれ程落ちるSFFはそうそう見られません。プロ選手でも有数でしょう。

 

「あんな球、シニアでも投げていなかったよね?2人は見た事ある?」

 

「アタシは少なくとも見た事ないかな~」

 

「……私もありませんね」

 

やはり知らないというのは恐怖です。この試合を観ていなければ、どうなっていた事やら……。

 

(SFF自体はストレートに見せる球として投げた事はありましたが、まさかSFFそのものがここまでの球に成長しているとは……。恐らくあのSFFは先程投げた速いストレートと混ぜて使う朱里さんが新たに編み出した戦術でしょう。ストレートに見せた変化球を複数操り打者を翻弄させるピッチング、何か秘密があるであろう速いストレートで打者を打ち取るピッチング、そして速いストレートと同速で変化量があるSFFを混ぜたピッチング……。どれも脅威的です。更にそこから配球を混ぜる事も可能……という事ですか)

 

「……やはり同学年で朱里さんを越える投手はいないのかも知れませんね」

 

「チームメイトとしては頼もしいけど、敵になると厄介だねぇ。梁幽館戦で見た速いストレートと言い、今のSFFと言い、朱里がなんか遠くに行った気分だよ……」

 

「でも今日はあのSFFを見られて良かったね」

 

「亮子さんのカーブとスクリューにせよ、朱里さんのSFFにせよ、どちらかが勝ち上がった時に何れは目の当たりにする球でしょう。早めに見れて対策を立てられる……というのはとてもありがたいですね」

 

今日得た収穫はとても大きいですね。映像に残すのは直前の試合にしますが、肉眼で見られるだけ見ておきます。今後の為に……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

4回裏。新越谷は未だにノーヒットなので、この辺りで突破口を作っておきたいですが……。

 

 

カッ……!

 

 

なんという事でしょう。中村さんがバットを手から放した事によって亮子さんのカーブに届かせました。

 

「あのカーブに左打者がバットを届かせるのは不可能かと思いましたが……」

 

「と、届いたね。それもとんでもない方法で……」

 

「……アタシも真似したら同じように出来るかな?」

 

「普通は出来ないよあんな事……。たまにバットがすっぽ抜けてそれが偶然ボールに当たるっていうのはあるかもだけど、それがヒットになるなんて無理だもん」

 

「球が力のないカーブだった事と、適したタイミングで捉えたからこそ、内野の頭を越してヒットになったのでしょう」

 

これが球の速いスクリューだとしたら、良いところ内野フライだったでしょう。左打者の中村さんだからこそ、投げられたカーブに対応した……という事でしょうか?

 

「人間業じゃないよね~」

 

「多分偶然だとは思いますが……」

 

意図的にやったとなれば、中村さんはかなり優れた打者です。打つ事に貪欲でなければ、あのような行為は成立しないでしょうから……。

 

その後亮子さんは後続の打者を全員三振に仕留める。やはり生半可で打てる球ではないですね。

 

「雷轟さん、大丈夫かな……?」

 

特に4番の雷轟さんは1球もバットを振っていません。打つ気がないようにも見えました。

 

「3球全て見逃しでしたからね。打つ気がないと諦めていないと良いのですが……」

 

「う~ん……」

 

「いずみちゃんどうしたの?」

 

「いや、アタシならどうやって亮子のカーブを打とうかなって考えてて……」

 

「……迷惑行為になりますので、中村さんがやったようにバットを投げる真似は止めてくださいね?」

 

ないとは思いますが、万が一を考えていずみさんを制止しておきましょう。

 

「やらないよ!アタシの事をなんだと思ってるのさ!?」

 

「今時ギャル……でしょうか?」

 

「いずみちゃんって見た目がどう見てもギャルだもんね……」

 

髪を金色に染めており、アクセサリーやバッグ等の買い物を趣味し、コミュニケーション能力が高い……。まさに典型的ギャルですね。まぁ野球に打ち込んでいる事と、意外と成績が良いのが普通のギャルとは違うところなのでしょうが……。

 

「まぁ自覚はあるけどさぁ……」

 

どうやらいずみさんも自覚はあるようですね。ギャルに憧れでも抱いていたのでしょうか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

試合はいよいよ終盤戦を迎えました。

金原いずみの藤和生活……(藤和高校野球部の登場人物は全てオリキャラ及び他作品キャラになります)見たい?

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