はづきちゃんのいる梁幽館の試合がいよいよ始まろうとしている。
「さて、いよいよですね……」
「そうだね~。正直アタシ達はこれをメインに来たようなものだし☆」
「梁幽館高校VS熊谷実業……。埼玉県大会屈指の見所よね」
「どっちが勝ち上がってくるかわからないけど、間違いなく両方手強いね……」
私達だけじゃなくて、この場にいる観客もこの試合を楽しみにしている節が強いと思うんだよね。盛り上がりも凄くなってるし。
「今日の試合は確かはづきちゃんが投げるんだよね?」
「大事な一戦を任されるなんてはづきも成長してるね~」
「最後にはづきさんの投球を見たのは7月末……。あれからも更に成長しているに違いありません」
そう……。今日の試合を投げるのは、はづきちゃん……。こんな重要な試合を任されるって、よっぽど信用されてるんだね。
「あっ、試合始まるよ!」
試合開始。はづきちゃんは1番打者で、打撃方面でも信用されているのがわかるね。
カンッ!
はづきちゃんは初球から打っていき、その打球は内野の頭を越えた。
「今の球は簡単に打てるコースじゃないような……」
「それを初球で完璧に捉えてヒットにする橘さん……」
(今の橘のバッティングは私自身が課題としてるもの……。それを簡単にやってのけるなんて……!)
新越谷の3人は驚いていた。私も正直ビックリしてるよ。はづきちゃんは打撃の才能もあるんだね……。
『アウト!』
「これでスリーアウトですね」
確かにチェンジにはなったけど、初回から4点かぁ……。
「埼玉随一の打撃チーム相手にはづきちゃんがどんなピッチングをするのかな?」
(はづきちゃんにとってこの4点はかなり大きいと思う。でもあの熊谷実業を相手にはづきちゃんがどこまで通用するんだろ……)
「……なんかそれ以上の打撃チームである洛山で4番を打っている和奈がそれを言うと煽ってるようにしか聞こえないな~」
そんなに事ないよ!?ただ純粋にそう思ってるだけだよ!?
ズバンッ!
『ストライク!バッターアウト!!』
はづきちゃんは先頭打者を三振。幸先良いよね。
「相変わらずはづきの投げるスクリューはエグいねぇ。アタシは左打ちだから、あの手元をに来る感じがどうも苦手だな~」
「それにそのスクリューを三段階に分けて投げてるから、狙いを絞るのも難しいよね……」
「スクリューそのものにフォーム等の違いはありませんからね。はづきさん曰く握りを少し変えている……という話ですが、余程の視力がない限りは違いがわかる事はないでしょう」
今のはづきちゃんは朱里ちゃんに並ぶ投手になってるかも。これなら簡単には打たれないよね!
……って話をしたのが数十分前。
ズバンッ!
『ストライク!バッターアウト!!』
「え、えっと……。確か今は最終回だよね?今ので何個目の三振だっけ?」
「……今ので丁度20個目です。それどころか熊谷実業の選手は誰1人としてはづきさんの球に当てられていません。加えてはづきさんは全ての打者を3球で抑えています。四死球も一切ありませんね」
も、もしかしてこれって……。
ズバンッ!
『ストライク!バッターアウト!!』
と、とんでもない場面に出くわしちゃった……。
「はづきさんの持つ変化球を駆使して熊谷実業相手に63球で決めて、アウトは全て三振の完全試合ですか……」
「わ、私達なんかとんでもない場に居合わせてない!?」
「あ、あのスクリュー打てるかな……?」
前に見た時とは比べ物にならないはづきちゃんのピッチング……。打撃チーム相手に全打者3球三振の完全試合を決めるはづきちゃんは、私達が知ってるはづきちゃんではなくなっているみたい。
(でも……。そんなはづきちゃんと勝負するのも楽しみかも)
私のそんな思いは思ったよりもずっと早い段階で叶えられる事を、今の私はまだ知らない……。
金原いずみの藤和生活……(藤和高校野球部の登場人物は全てオリキャラ及び他作品キャラになります)見たい?
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