最強のスラッガーを目指して!【本編完結】   作:銅英雄

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番外編 二宮瑞希の白糸台生活 夏大会編 1年目 29

6回の表裏もこれまでのイニング通りにそれぞれが三者三振に抑えます。意地と意地のぶつかり合いですね。

 

「6回が終わって残すは7回のみですね」

 

「ここまで両チームヒットが1本ずつだけだね」

 

「亮子のホームランと中村さんのすっぽ抜けヒットだけで、あとは皆三振だからね~」

 

「……もしかしたらこの試合が事実上の決勝戦になるかも知れませんね」

 

「どういう事?」

 

「埼玉県内でもここまでハイレベルな試合も、三振合戦もありませんからね。他の観客達も朱里さんと亮子さんのピッチングに釘付けです」

 

「確かに決勝戦でこれ以上……っていうのは難しいだろうね」

 

それでも決勝戦になると急に牙を剥く選手もいるでしょうし、一概に言える訳ではありませんが……。 

 

「今日の試合で投手をやっているのはそれぞれ違った天才的な才能を持っているのに加えて血の滲むような努力をした選手達です。どちらが勝ってもプロの世界は2人を注目するでしょう」

 

「あの2人は川越シニアの誇りだね!」

 

「勿論アタシ達も負けてられないよね~」

 

朱里さんと亮子さんを見て和奈さんといずみさんのやる気が上がってますね。この姿勢は私も見習うべきでしょうか。

 

「当然です。それが朱里さんだろうと、亮子さんだろうと、最後に勝つのは私達白糸台ですから」

 

「藤和だって負けないよ~?」

 

「洛山なんて打って打って相手が追い付けないようにするからね!」

 

和奈さんの発言は冗談に聞こえないのが怖いところですね……。

 

 

ズバンッ!

 

 

『ストライク!バッターアウト!!』

 

7回表。朱里さんはこのイニングも三者連続三振です。

 

「この試合だけで朱里さんの奪三振が21、亮子さんの奪三振が18ですか……」

 

「これって高校生だと記録レベルなんじゃ……。完全試合があった試合でもアウトが全部三振なんて聞いた事ないし」

 

リトルでもシニアでも記録レベルですけどね。シニアでは朱里さんがポンポンと三振を取っていたせいで、いまいち記録感が薄れますが……。

 

「変化量の多いカーブとスクリューを打者毎に切り替えて投げる亮子さんと、速いストレートにそれと同速のSFFをコース自在に投げる朱里さん……。県内どころか全国でもこんな試合は中々お目にかかれませんね」

 

(この試合に神童さんも呼んだら良かったですね。投手としてあの2人のピッチングを生で見せたかったです)

 

神童さんはこういう投手戦が大好物ですからね。一応ビデオカメラに納めていますが、生で見た方が興奮する熱戦なのは間違いありません。

 

「1対0で7回裏……。新越谷は亮子ちゃんの球を打てるのかな?」

 

「この最終回は朱里さんからで、雷轟さんにも回ります。もしかしたら劇的な逆転が見られるかも知れませんね」

 

朱里さんが繋ぎ、雷轟さんがサヨナラの一打を放つ……という王道の展開が……。

 

 

ズバンッ!

 

 

『ストライク!』

 

朱里さんはあっさりと追い込まれました。ですが簡単には終わらせない……。そうでしょう朱里さん?

 

「あっ、捕手が落とした!?」

 

「振り逃げですね」

 

「やるね~。流石朱里!転んでもただじゃ起きない!」

 

「あのスクリューを打てないなら……とバットで捕手の視界を遮る事によって振り逃げを狙いましたか……。ビハインドの最終回の状況で賭けに勝ちましたね」

 

打てないなりにも色々ある……という訳ですね。私でも恐らく同等の手段に走るでしょう。

 

「雷轟さんの前にランナーが溜まった……。という事は」

 

「恐らくこの回で決着が着きますね」

 

「うわ……。なんかアタシ緊張してきたよ」

 

「私も……」

 

「恐らく新越谷の最後の勝機ですからね。試合内容的にも思わず唾を呑んでしまう展開になるのは仕方がありません」

 

それは和奈さんやいずみさんだけでなく、他の観客からも緊迫した雰囲気が伝わってきます。

 

(さて、朱里さん達はこの窮地を乗り越える事が出来ますか?)

 

3番の山崎さんが送りバント失敗でキャッチャーフライ。初めて三振以外のアウトになりましたね。そして4番の雷轟さんですが……。

 

 

ズバンッ!

 

 

『ストライク!』

 

あっという間ツーストライク。亮子さんも恐らく3球で決めるつもりでしょう。

 

「あー、全く手が出ずに追い込まれた!」

 

「やっぱり打てないのかな……?」

 

「……あのレベルのカーブは左打者には届きませんからね。それこそ中村さんのように意表を突いた行動にでも出ない限りは打てないでしょう」

 

(それでも雷轟さん程のスラッガーならこの状況でも何かが起こるのではないかと思ってしまいますね。前の打席もスイング1つしないのはこの打席の為の布石なのではないかと……)

 

2打席目の三振からこう思ってしまいます。そして……。

 

 

カキーン!!

 

 

その予感は当たり、雷轟さんが放った打球はポールに直撃。

 

「逆転したね……」

 

「う、打っちゃったよ……」

 

「これまで抑えられ続けても、打者は最後に打てばそれで勝利です。だからこそ2打席目のような見逃しでどのように打つかを模索する事が出来ました」

 

そして3打席目の2球も今のホームランの為の布石なのでしょう。

 

『ゲームセット!!』

 

怒涛の三振合戦でしたが、1対2で新越谷が咲桜を降しました。

金原いずみの藤和生活……(藤和高校野球部の登場人物は全てオリキャラ及び他作品キャラになります)見たい?

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