7回裏。この試合最後の見所だと思うはづきちゃんと遥ちゃんの3打席目の対決……。この試合1番の緊張感が辺りを包むよ。
「さーて。遥とはづきはどう出るか……」
カキーン!!
「……って初球打ち!?」
「いきなり場外まで飛んで行きましたね」
はづきちゃんのボルテージは最大まで溜まっている筈なのに、遥ちゃんはそれに完璧に対応してる……。多分遥ちゃんもボルテージが最大まで溜まってるんだろうな……。
カキーン!!
『ファール!』
「2球続けて大ファール……。遥も凄いね~!」
「遥ちゃんも凄いけど、ファールで踏み止まらせているはづきちゃんも凄いよ。私も……あの中に混ざりたい!」
2人の対決を見てると、私まで気分が高まっちゃうよ……!
「この試合に混ざるのは無理だけど、この後にやる新越谷と梁幽館の合同練習にアタシ達も混ざっちゃう?」
「そ、それが出来たら良いな……!」
ま、まぁ流石に試合に混ざるのは無理だろうけど?合同練習に混ざるくらいはしても良いよね……?
「そんな簡単に事が運ぶとは思いませんが……。試合が終わり次第交渉してみましょう」
「やった♪流石瑞希、話がわかるね~!」
「付き合いが長くなれば、その分性格もわかってきますよ。和奈さんに至っては幼い頃から接点がありますからね」
そう。私と瑞希ちゃんは幼稚園くらいからの幼馴染。初めて会った時から私は瑞希ちゃん守られっぱなし……なんだよね。
「そうなんだ。ねね、瑞希って昔っからこんな感じなの?」
「そ、そうだね……。少なくともリトルに入った時点で瑞希ちゃんは瑞希ちゃんだったよ」
(言える訳がないよ……。『あの時』から瑞希ちゃんは豹変して、今の瑞希ちゃんになっちゃったって……。その原因だって私のせいなのに……)
あの時に起こった事件のせいで、瑞希ちゃんは豹変してしまった……。今みたいに感情を消して、情報を求めるようになってしまった……。全部全部私のせいだよね……。
「……和奈さん、顔に出ていますよ」
「あっ……。ごめんね……」
瑞希ちゃんに指摘される。だって気にしないのは無理なんだよ……。
「別に気にしていません。それに『あの時』に起きた出来事がなければ私はここにはいなかったでしょうから」
「……?『あの時』ってなに?」
「別に隠すような事ではありませんが、少なくとも話す必要もないのも事実です」
「ええ~!?気になるな~!」
「い、いずみちゃん……」
いずみちゃんは『あの時』が凄く気になってるみたいだけど、こんなところでおいそれと話せないよ……。
「……まぁ無理して聞いても良い内容じゃないっていうのはわかったよ。ごめんね瑞希、和奈」
「私は気にしていません。それよりもこの試合の行く末を見届けましょう」
いずみちゃんは持ち前の察しの良さでわかってくれたみたい。よ、良かったぁ……。
カキーン!!
『ファール!』
「ま、またファール!?」
次で20球目だよ……。どれだけ2人は集中してるんだろう?
「雷轟さんもはづきさんも執念で野球をしていますね。普段ならこういった泥臭い野球を梁幽館は許さないでしょうが、練習試合と言う名目で、尚且つはづきさんを信用していないと出来ない事です」
「一瞬たりとも目が離せないね……!」
「そうですね。その一瞬が大切です」
「……しっかし学校の外には何個場外に飛んだボールが転がってるんだろ?」
「そこは気になるところですか?」
いずみちゃんは変なところを気にしてるみたいだけど、私はこの対決を見るのに全神経を注ぐ。
カキーン!!
「打っ……た」
「打ったね~☆」
「打ちましたね」
文句なしのホームランだった。これで同点だけど、はづきちゃんも満足そうだよね。試合はこのまま引き分けに終わったよ。
金原いずみの藤和生活……(藤和高校野球部の登場人物は全てオリキャラ及び他作品キャラになります)見たい?
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