気を取り直して、新越谷の守備。マウンドに上がったのは、見た事のない投手だった。
「あれ……?新越谷の先発は19番?いつの間にそんな人数になったんだろ」
「えっと、電光掲示板には……猪狩って書かれていてるね」
猪狩って、もしかしてあの猪狩なのかな……?
「えっ?猪狩ってあの『猪狩コンツェルン』!?しかも大ベテラン投手の猪狩守さんの親族って事!?」
いずみちゃんも同じ事を思ってたみたい。猪狩なんて苗字はそうそうない上に、野球をやってるとその辺り勘繰っちゃうよね。
「……その可能性は大いにありますね。詳しい家族構成まではわかりませんが、ほぼ確定かと」
「でも今まであんな投手見た事ないなぁ。本当にあの猪狩選手の親族なら、どこかで野球をやらせていると思ってたから……」
大ベテラン投手の猪狩守さんは高校時代からずっと絶対的な投手だったんだよね。今で言う大豪月さんや神童さんみたいな感じかな?私達が生まれる前からプロでも活躍してて、今でも尚最前線で競い合ってるんだって。四捨五入すると50歳にもなるのに凄いよね。
ズバンッ!
『ストライク!』
「その血はキチンと受け継いでいるみたいですね」
「は、速くない!?」
「あの速さは全盛期の猪狩選手に匹敵しますね。あれより上の球速となると、大豪月さんか、風薙さんくらいでしょう」
そんな投手がエースナンバーじゃないのが不思議なくらいだよ。でも新越谷には朱里ちゃんや武田さんがいるし、川原さんや藤原さん、川口さんと投手陣の層が厚いのもその要因なのかも知れないね……。
「それにもしかしたら……」
ズバンッ!
『ストライク!』
「嘘……」
投げられたのは、猪狩守さんの決め球と言われるライジングと呼ばれるストレート。そこまで再現されてるなんて……。
「ライジング……と呼ばれた猪狩守さん独自のホップするストレート……。彼女の存在がこの高校野球界に革命を起こすのかも知れませんね」
「み、瑞希ちゃんが言うと冗談に聞こえないよね……」
「だね……。アタシ達も他人事じゃないね」
今この段階から、来年の夏に掛けて高校生投手の序列が大きく変わる革命が起きそうな予感がするよ……。
(それはそうとあのライジングは間近で見ないと、球の威力が計れなさそうなのが厄介だよね。『覇竹』でも多分ギリギリ当てられるかどうか……)
猪狩さんと勝負する機会があるかはわからないけど、その時に備えて対策はしておくに越した事はないよね。非道さんへ報告する事が増えたかも。
金原いずみの藤和生活……(藤和高校野球部の登場人物は全てオリキャラ及び他作品キャラになります)見たい?
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