9回裏。埼玉選抜のリリーフははづきちゃんが務めるみたい。
ズバンッ!
『ストライク!』
「はづきのスクリュー、またキレが上がった?」
「そうだね……。あんなスクリューを3段階の変化に使い分けるなんて凄いよね」
はづきちゃんの投げるスクリューは小、中、大と変化を分けていて、1番大きい変化のスクリューは相手打者の空振りを誘う為に、変化が1番小さなスクリューはカットボールやツーシームの要領で詰まらせるのが目的、そしてその2種の中間の変化量のスクリューはその2種の虚を突いたものになってるんだよね……。
(それに加えてスライダーとかカーブとかの他の変化球も疎かにしてないのが凄いよね。変化球を豊富に使い分けるピッチングはなんだか朱里ちゃんみたい)
はづきちゃんは朱里ちゃんに憧れているから、そのリスペクト精神が今のはづきちゃんがいるんだよね。朱里ちゃんが与えた影響って大きいなぁ……。
カンッ!
打球はショートへ……。
バシッ!
『アウト!』
「ショート正面!」
「打ち焦っちゃったのかな?はづきちゃん凄い球投げるから……」」
はづきちゃんの投手としての伸びは私達の中でも1番だから、朱里ちゃんもシニア時代から警戒してたし。
カキーン!!
3番はライト方向に大きな当たり。フェンスに当たるかな?
「ライト!!」
ライトにはさっきショートから代わった夕香ちゃんが三森姉妹なら、外野前からでも追い付くかも。
「任せなさい!元々三森3姉妹はそれぞれ外野手がメインだったのよ!」
バシッ!
『アウト!』
三森姉妹の俊敏さを活かした守備は私には真似が出来ないよね。
「相変わらず三森姉妹の足はデタラメだよね~。あの走力を上回るのって、静華くらいじゃん」
「静華ちゃんは静華ちゃんで色々可笑しいけどね……」
そういえば静華ちゃんも埼玉選抜の一員なんだよね。表立って試合に出てるところはあんまり見た事ないけど……。
ブンッ!ブンッ!ブンッ!
「うわっ……。凄い素振りの音」
「西東京選抜の4番のバンガードさんはアメリカにあるエクスリーグチームの出身なんだって」
「エクスリーグって確か小6から入れるちょっと変わった規則の野球チームだっけ?」
「うん。瑞希ちゃんから訊いたくらいの知識しかないけど、そんな感じだったと思うよ」
しかもバンガードさんはエクスリーグで結果を出しただけでなく、白糸台へと留学し、更には地獄の合宿もクリアしたんだよね。しかも覇竹を覚えた状態で……。
ズバンッ!
『ストライク!』
そんな打者を相手にはづきちゃんは向かっていっている。物怖じしない部分ははづきちゃんの美徳だよね。
カキーン!!
「わっ!?やっぱ大きい当たり!」
打球はそのままレフト方向に切れて……。
『ファール!』
「ファールかぁ。心臓に悪いよ……」
いずみちゃんはこんな状況にドキドキしてる。まるで他人事じゃないかのように……。
カキーン!!
『ファール!』
もうかれこれ15球くらい続いてる。しかもフルカウントだから、はづきちゃんには逃げ場がないよ……。
「もう15球くらい続いてるよね……」
「はづき側はもうストライクゾーンに投げるしかないからね~。決め球のスクリューも変化量を間違えれば歩かせてしまうし、そうなると、最悪サヨナラ負けの可能性すら出てきちゃうし……」
だからはづきちゃん側は歩かせるって選択はないと思うんだよね。
「だからはづきちゃんも歩かせるような真似はしてないんだと思うな。そして多分……次の1球で決めに行くと思う」
「おっ?その心は?」
「バンガードさんは臭いコースを全部カットしていってるし、段々と投げられるコースがなくなってるから、取り返しの付く内に決めると思う。はづきちゃんのウイニングショットで……」
「はづきのウイニングショット……?スクリューの事かな?」
「何がはづきちゃんにとってのウイニングショットなのかはわからないけど、次の1球は……恐らくそれを投げるよ」
運命を分ける15球目……。
「えっ!?」
「オーバースロー!?」
前までのはづきちゃんはスリークォーターでそのスリークォーターも高校に入ってからで、シニア時代はアンダースローだったのに……。
カキーン!!
「嘘っ!?あのフォームから投げられる球に合わせられるの!?」
「バンガードさんも凄い打者だよね……」
(でも……。今の1球ははづきちゃんの魂が籠ってると思うんだ)
だから……!
バシッ!
『アウト!』
打球はセンターフライ。はづきちゃんは無事にバンガードさんを打ち取り……。
『ゲームセット!!』
埼玉選抜が西東京選抜を下し、決勝戦進出を決めたよ。
金原いずみの藤和生活……(藤和高校野球部の登場人物は全てオリキャラ及び他作品キャラになります)見たい?
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