『さぁ、2対1のまま遂にラストイニングを迎えました!』
『埼玉選抜はかなりギリギリの状況に立っています。このまま延長戦に入ればジリ貧になる可能性が高いので、是非ともこの回でサヨナラ勝ちを決めたいところでしょう』
『埼玉選抜、最後の攻撃の前に円陣を組みます!気合い充分です!!』
球場全体が声援で包まれる……。この県対抗総力戦もいよいよ終わりが近付いてきたよ。
「い、いよいよ最終イニングだね……」
「同点止まりだと埼玉選抜の方が苦しくなりますし、決めるのならこのイニングしかありません」
「でもバットをすり抜けるボールなんてどうやって打てば良いのか、皆目見当も付かないよ……」
いずみちゃんが言うようにバットをボールが貫通するなんて事例は過去にないから、攻略がほぼ無理だと思っていたよ。
「7回に雷轟さんがバントで当てたところを見ると……そこが攻略のヒントに繋がりのかも知れませんね」
そして瑞希ちゃんの言う通り、遥ちゃんのバントが大きなヒントになってくる……。当てられない訳じゃないってわかったのは大きな収穫だよね。
「朱里ちゃんまででなんとかしないと、遥ちゃんに回らず終いになっちゃうし、なんとか頑張ってほしいね……」
「どうなるかは埼玉選抜の打線に全て掛かっています」
この回は1番からだから、全然チャンスはあるよ!
ズバンッ!
『ストライク!』
「あのお化けみたいなボールを探ろうとしてる意図が伝わってくるよね」
「埼玉選抜は先程円陣を組んでいたので、恐らく攻略の糸口について話していたのでしょう」
ズバンッ!
『ストライク!バッターアウト!!』
先頭打者が三振。でも前の打席に比べて大きく前進したよ。
「あんなお化けボールの攻略って言っても、ここからじゃなんもわかんないけどね……。瑞希ならどう攻略するの?」
「そうですね……。観客視点だと曖昧ですが雷轟さんのバントから考えられるのは、球がすり抜けているのは恐らく幻なのかも知れない……という事でしょうか?」
「幻……?」
ズバンッ!
『ストライク!バッターアウト!!』
2番の亮子ちゃんが三振。全ては朱里ちゃんに託されたね。
「打者視点で捉えようとしてる球が幻なら、本体の方は視点よりも更に前に進んでいる……と考えるのが妥当でしょうね」
「それが本当だったら、物凄い球投げてない?どういう原理なのさ?」
「実際に風薙さんがこうして投げられている以上、現実で投げられる範疇だという事でしょう。5年前の魔球に比べれば……」
「だからバットを貫通させるだの、幻だのも充分可笑しいんだってば。魔球なんだってば……」
瑞希ちゃんといずみちゃんの会話を聞きながら、私はこの打席に集中する。朱里ちゃんと、その次に回ってくるであろう遥ちゃんの打席に……!
金原いずみの藤和生活……(藤和高校野球部の登場人物は全てオリキャラ及び他作品キャラになります)見たい?
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