二宮とバッテリー練をする事になって1週間が過ぎた。
全体練習とは別に個別の練習を私の為にしてくれるのだから、二宮には頭が上がらないなぁ……。
「今日は私用があって行けませんので、朱里さんの自由に練習していてください」
しかし二宮からそんな連絡が来たので、私は河川敷の壁に向かって投げ込みをする事に。でも今日は『あの人』が来るんだよね……。
「あっ、やってるやってる!」
数球投げ込んでいると、私に左投げを形にする為のレクチャーをしてくれた人が私の元に駆け寄ってきた。初めて会った時もここの河川敷だったなぁ……。
「遅れちゃってごめんね?」
「まだ数球しか投げてないので大丈夫ですよ」
「じゃあ早速見ていくね!」
「はい……」
私の練習を時々見てくれる風薙彼方さんは先月の末くらいから私の事を気に掛けてくれている。しかも風薙さんが投げている球種を決め球に……と提案してくれて、そこから1週間が経過した。
まだ形にはなってないけど、風薙さんは良い感じだと言ってくれてるし、もう少しなんだよね……。
ズバンッ!
「よし!とりあえずは形になってきてるよ!ストレートの球速が変化球の球速に合ってきてる!」
「ありがとうございます」
風薙さんが教えてくれているのは、風薙さんみたいに速いストレートでも、派手変化球でもなく、変化量の小さい球をストレートに見せる球……私が後に偽ストレートと名付ける球だ。
(正直風薙さんからこの球の理論を聞いた時は滅茶苦茶だと思ったけど、もしもこれを物にする事が出来たら……私は大きく成長するんじゃないの!?)
二宮にもまだ明かしていないこの球……絶対に投げられるようにしてやる!
「あとは打者役なんだけど……」
風薙さんの話によると、この球の完成は打者が上手く錯覚して、初めての必殺技となるそうだ。そして風薙さんはその打者役を誰にするかを考えている。すると……。
「あれ?もしかして彼方?」
風薙さんを呼ぶ声が……。
「やっぱり彼方だ」
「リリ!?どうして日本に……?」
「それはお互い様だよね?まぁ私は観光だよ。週1で日本を渡り歩いているのさ」
風薙さんがリリと呼ぶ彼女は、風薙さんのいるアメリカのチームメイトなんだろうか?週1で日本を渡り歩いているってかなり行動力があるなぁ……。そして日本語がとても上手。
「私はこの子……朱里ちゃんに私の投げる球を1つ教えてて、そのピッチングを見てるんだけど……」
「成程ね。彼方の後継者って訳か……」
後継者って言う程大袈裟なものじゃないと思うんですが……?
「……っと、名乗り遅れたね。私はリリ・フロイス。彼方とはアメリカでバッテリーを組んでるよ」
「は、早川朱里です……」
緊張しながらも、フロイスさんに自己紹介を済ませた。そして風薙さんがフロイスさんに事の顛末を話す。
「ほうほう。中々面白い事をしてるね?私も協力しようじゃないか」
「えっ?良いの?リリは観光の途中なんじゃ……」
「確かにこの埼玉をまだ見回れてないけど、観光よりも面白い事が目の前にあるからね。朱里ちゃんはどう?私が参加しても大丈夫?」
わっ!?急に私に尋ねないでください!
「わ、私は大丈夫です……」
「じゃあ朱里ちゃんの了承を得れたところで……私は何をすれば良い?打者役?それとも捕手役?」
「う~ん……」
フロイスさんの質問に風薙さんは考える。そしてその結果……。
「……よし!じゃあ私が打席に立つから、リリは捕手役をお願い!」
「了解。よろしくね?朱里ちゃん」
「は、はい。よろしくお願いします……」
こうしてフロイスさんと即席バッテリーを組む事になり、風薙さんと1打席勝負をする事になりました……。
遥「朱里ちゃんがお姉ちゃんと話してる……」
朱里「そんなに羨ましそうにされても……」
遥「羨ましい!!」
朱里「口に出しちゃったよ……。そもそもこの時系列時点だと雷轟と風薙さんは絶賛すれ違い中じゃん」
金原いずみの藤和生活……(藤和高校野球部の登場人物は全てオリキャラ及び他作品キャラになります)見たい?
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