試合は最終7回まで進んだ。
一ノ瀬さんと久方さんの両投手がピンチを作りつつも、無失点に抑えるを繰り返して、0対1のまま最終回まで進んでしまったのだ。
「まさかあの押し出しが決勝点になろうとするなんて……」
「一ノ瀬さんと久方さんの今日のピッチングを見れば一目瞭然だったのかも知れませんね。尤もあの時和奈さんと勝負をしていれば、ほぼ確定で3点以上は取れていたでしょう」
二宮の発言は恐らく事実で、西武シニアからしてみれば英断でありながらも、致命的な満塁敬遠だった訳か……。正直そんなのどうしようもないよね。清本が味方で良かったよ……。二宮共々敵に回したくない。
「ま、まぁ何にせよこの回凌いだらアタシ達の勝ちだし、3人で切ってこーよ☆」
「い、いずみちゃんの言う通りだよ。この1点を守ってこ?」
金原の発言に同調する清本だけど、清本的にも複雑な心境なんだろうね。自分が打って得た点ならまだしも、押し出しで得た1点で私達が勝ちそうなんだから……。
「はぁ……。もう投げたくないよ。どうせこのイニングで逆転されるって。野球漫画のお約束、最終回に打線爆発だよ……」
「このまま抑えれば完封ですし、交代はないですね。スタミナの限界ならまた話は変わってきますが……」
「そ、そう。私、体力の、限界……」
「それもまだまだ心配ありませんね。この回どころか、もう3、4イニングは投げられるでしょう」
「解せぬ……」
まぁ一ノ瀬さんがエースなのは唯一無二の独特な変化球を投げる事と、投手陣の中で1番スタミナがあるからだしね。
「今日のロードショーは『名探偵の苦難』の劇場版だから、無事に抑えられたら、映画館のような内装を準備するんだ……」
「な、なんか一ノ瀬さんが立てちゃいけないものを立てているような……」
「相手チームを待たせる訳にもいきませんし、早くマウンドに行きますよ」
「解せぬ……」
二宮に引き摺られている一ノ瀬さんを見ていると不安なんだけど、二宮が手綱を握っているなら……大丈夫だよね?
ズバンッ!
『ストライク!バッターアウト!!』
一ノ瀬さんの言う野球漫画のお約束というのはなく、無事に3人で終わらせる事が出来た。
『ゲームセット!!』
途中一ノ瀬さんがフラグを立てていた気がするけど、それも杞憂に終わって何よりだ。
『ありがとうございました!!』
整列が終わり、私達川越シニアはベンチ内に集合した。
「今日の試合はお疲れ様!夏に続いて、秋の大会も無事に全国出場が決まったね!全国大会は3月に行われるから、それまでの期間も準備を怠らず、なるべくベストコンディションで試合に臨んでね!!」
『はいっ!!』
「それじゃあ今日は解散!」
『お疲れ様でした!!』
六道監督の解散の合図と同時に一ノ瀬さんが普段の練習では見ない俊敏さでこの場を去って行った。どれだけ今日のロードショーが楽しみだったんだよ……。
金原いずみの藤和生活……(藤和高校野球部の登場人物は全てオリキャラ及び他作品キャラになります)見たい?
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