「う~ん……」
川越シニアが全国大会出場を決めた翌日。私は学校のパソコンで他県のシニアのデータを調べていた。
「見付かりましたか?」
「いや、少なくとも千曲シニアにはいなかったよ。それと千曲と同じ県内のシニアにも……」
二宮が学校のパソコンを使って調べたい事があると言ったので、私はそれに付き添うついでに、私自身にもある程度の余裕が出来たのでこうしてある事について調べていたんだけど……。
「そうなると他県のシニアに入っているのでしょうか?」
「その可能性は低そうだけど……。でもあれ程の実力者だし、一応有力なシニアだけでも調べてみようかな」
ここまで探してもいなかったら、恐らく『あの人』はシニアで野球をやっていないだろう。
(リトル時代に私は『あの人』を相手にたったの1度たりとも勝てなかった……。あそこまで完膚なきまでに叩きのめされたのは生まれて初めてだったよ)
リトル当時と今とではピッチングスタイルは全然違うけど、それでも私は多くの三振を取ってきた……。
(最初の対決は確か『あの人』が代打で出た時だっただろうか……)
その時から異質な雰囲気を感じていた。そしてそれは間違いじゃなく、私はその雰囲気に負けずに投げていったものの、『あの人』にホームランを打たれた。
2度目に千曲リトルと対戦した時に『あの人』は頭から出ていた。その結果は3打数3安打と私は1度もアウトにする事が出来なかった。
そして3度目……。この試合も私は『あの人』を抑える事が出来ず、私は合計で7打席勝負して、全て打たれたのだ。
(そんな強敵に負けないように無茶な練習をして、右肩を壊し、痛めた右肩を療養しつつ、幸いにも両利きで遊び感覚で左投げの練習をしていた私は約8ヶ月の練習と風薙さんの助力の末に今の私になった……)
リベンジの意味合いも兼ねて、長野県内のシニアをくまなく探したけど、『あの人』はいなかった……。
(『あの人』がシニアで野球をやっていないのはほぼ確定だろうね。そうなるとリベンジの機会は最低でも高校野球になる……)
若しくは野球を辞めてしまっている可能性すらも頭に過ったけど、そんな事がないのを信じるしか私には出来ないね。
ちなみに後で知った事だけど、『あの人』は打率を5割丁度に調整する打撃をしているらしい。それは私と対戦した時も含めた全ての試合で……。
(まぁいないならいないで良いよ。私はシニアで力を付けて、きっと貴女にリベンジしてみせる……!)
『あの人』……宮永咲さんに。でもいざ対面したら私は震えるんだろうなぁ……。
「朱里さん。私の調べものは終わりましたが……」
「……私も良いかな」
「ではシニアの方に行きましょうか」
「そうだね」
全国に最大のライバルがいない事にホッとしつつ、少し残念に思うけど、私は私の野球を続けるだけなんだ。
金原いずみの藤和生活……(藤和高校野球部の登場人物は全てオリキャラ及び他作品キャラになります)見たい?
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