くじ引き、開会式が終わり、私達は宿舎に戻ってミーティングを行っている。
「初戦の相手は尾張シニアだよ!」
「愛知の超名門シニアですね……」
尾張シニアは10年連続で全国出場を決めている強豪シニア。その知名度は『愛知のシニアと言えば尾張シニア。それ以外のチームは二流』とも言われるレベルの実力者揃いのチーム……。
「初っぱなから当たって良いチームじゃないよね~……」
「で、でもいつかは当たる相手なんだし、早いに越した事はないんじゃないかな……」
金原の言うように初戦で当たるにはキツい相手だし、清本の言うように対策の少ない内に当たっておきたい相手でもある。特に渋谷シニアなんかは……。
(夏と同じ。渋谷シニアと当たるのは決勝戦か……)
「それで初戦のオーダーなんだけど……」
私が色々と考えている間、六道監督は……。
「先発投手ははづきちゃんで行くからねっ!!」
「へ?」
橘本人にとって爆弾発言。橘を中心とした周りの空気が凍った。
「い、いやいやいや!な、なんで私が先発なんですか!?相手は愛知の超名門ですよ!?」
「えっ?だってはづきちゃんはここ3ヶ月で1番伸びてるし、早めに全国の舞台を経験してほしいから……」
「私じゃ荷が重いと思うんですけど……。朱里せんぱいとか羽矢先輩で良いじゃないですか!」
「確かに朱里ちゃんや羽矢ちゃんなら尾張シニアを相手に勝てると思うよ。でも……」
一息置いてから、六道さんは……。
「はづきちゃんはきっと尾張シニアを相手に通用するよ。私はそう信じてる」
「監督……」
そう断言した。橘の背番号は20番。ベンチ入りギリギリのラインだけど、六道監督によると『はづきちゃんの成長スピードは凄いよ。もしかしたらシニアで1番かも……』との事らしい。急遽20番に置いておく事にし、橘の成長を見ていこう……というのが六道監督の方針だそうだ。そして今回の試合で橘を先発投手に選んだのはその方針の一環だそうだ。荒療治が過ぎる気がするけど……。
「……わかりました。そこまで期待されてるんじゃ、応えなきゃ女が廃るってもんですよ!」
「ありがとう!じゃあよろしくね!」
「はいっ!!」
橘のピッチングは若干豪快なものだけど、リードするのが二宮なら、なんとかなるのかも知れないね。
「それでは試合前に配球の確認をしましょうか」
「うん!この間に新規習得した私の決め球でバシッと抑えちゃうよ!」
「これまで投げてこなかった変化球を決め球にするのは些か危険ですが、はづきさんのその絶対的な自信を見ると、その決め球を中心に配球を組むのも悪くはありませんね」
「やった!」
「ですがサインには極力応えてくださいね?はづきさんはこれまでサイン無視が続いていましたので……」
「うっ……!ぜ、善処するよ!」
このような橘と二宮のやりとりに少し不安を感じるけど、監督の指示だし、間違い……という事はないと思う。
まずは初戦突破で勢いを掴んでいきたいところだね……。
金原いずみの藤和生活……(藤和高校野球部の登場人物は全てオリキャラ及び他作品キャラになります)見たい?
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