二宮瑞希です。新越谷と洛山の試合を観終えて、神童さんと宿舎に戻ろうとしているのですが……。
「ム?そこにいるのは神童ではないか!」
「二宮ちゃんもいますね~」
「…………」
洛山の大豪月さん、非道さん、そして和奈さんと鉢合わせしました。
「……新越谷に負けたみたいだな。試合見てたよ」
「そうか……。私は全力を出したし、黛の実力も確認したかったから、何の悔いもない!」
「黛ちゃんの球種や相性なんかも新越谷戦である程度把握出来ましたしね~」
今日の試合は黛さんの試運転も兼ねていたみたいです。貴重な公式戦で中々の胆力を持ち合わせていますね。これが洛山高校の選手……という事でしょうか?
「雷轟には結局勝てていなかったようだが?」
「確かに今日は負けたが、野球を続けている限りはまたどこかで再戦するだろう。その時に勝てば良いのだ!」
「……そういう考え方もあるのか」
どこか……。大豪月さんは3年生で既に引退となります。そうなるとプロの舞台になりそうですね。
「和奈さんは今日もホームランを量産していましたね」
「……今日はホームラン3本と5打点しか取ってないよ」
「充分じゃないですか……」
ホームランはそんなポンポンと打てるものではありません。和奈さんや洛山の人達が異常なだけです。
「それに雷轟さんの方が打ってたし……」
「雷轟さんの方はホームラン4本と8打点でしたか……」
もう1人異常な人がいましたね。しかも雷轟さんに至っては本格的に野球を始めたのが今年から……。
「うん、大豪月さんのSFFも完璧に捉えていたし……。あのSFFは私もまだスタンドまで飛ばした事がないんだ。それを雷轟さんはわかっていたように……」
神童さんと話していましたが、もしかすると大豪月さんが投げる球には何かしら癖があり、雷轟さんはそれを……。
「……スタンドからでしか見てないので確証は持てませんが、大豪月さんの投げるボールには何か癖があるのかも知れませんね」
「癖……?」
「それを雷轟さんは見抜いて打ったのでしょう」
(尤も雷轟さんがホームランを打ったあのストレートには癖はないようにも見えましたが……)
そうなると純粋に力量で雷轟さんは大豪月さんを凌駕した事になります。今年から野球を始めたとは到底思えない野球センスの持ち主ですね……。
「……もしも本当に大豪月さんの癖を見抜いて打ったのなら、雷轟さんはもう既に私を越えるスラッガーだね」
「和奈さん自身がそう思っている……というのは意外ですね」
和奈さんが並々ならぬ努力を重ねていたのは私も知っています。小柄な体躯でパワーが出るように精一杯の筋トレと、鋭いスイングが出来るようにバットも常人の何十倍、何百倍も振って、それでいながらも走塁や守備の練習も怠らない……。
「うん……。雷轟さんはきっと私にはないものを持ってるんだと思う。それが何かはまだわからないけど……」
「その何かがわかったら……その時はまた私が全国で最強のスラッガーになるんだよ!」
(和奈さんはいきなり現れたに等しい雷轟さんの実力を認めていますね。ライバルの存在を認め、更なる高みを目指そうとするギラギラとした執念もある……。洛山に入って和奈さんは変わりましたね)
私の知っていた臆病で人見知りの和奈さんはもういませんね。今いるのは野球を楽しんでいるスラッガーです。
「……私には縁のない単語ですが、頑張ってください」
私ももう少しパワーを付けるべきですかね……。
「それよりも大豪月、おまえはこれからどうするつもりだ?」
「私はもう既にやるべき事は決まっている!」
「やるべき事?」
「ウム、それはな……。大学に進学して、箔を付けるのだ!」
「……進学するのか。プロには行かないのか?」
「私の最終的な行き先は既に決まっている!なので私がプロの世界に入る事はないだろう」
どうやら大豪月さんはプロ野球入りをしないようです。
「……そうなると雷轟と再戦するのは難しいんじゃないか?」
「そうでもない。雷轟遥がどこに行くのかは知らぬが、野球を続けていれば何れは相見える!ベーフェスもあるしな!!」
ベーフェス……。『ベースボールフェスティバル』は高校野球、プロ野球、大学野球、社会人野球等々様々な野球チームが参加する一種のお祭りですね。進路は違えど、最終的にそこで対戦する訳ですか。
「……本気か?」
「無論私は何時でも本気だ。神童も一緒に来るか?」
「……面白そうだし、考えておこう」
まさか神童さんまで大学進学を決意させようとするとは……。大豪月さんと神童さんの付き合いは普通ではなさそうですね。
「他にはその計画に入ろうとする奴はいるのか?」
「我が洛山では非道と清本が計画に乗ってくれるぞ!」
「私は大豪月さんの行く道に着いて行きますよ~」
そして非道さんと和奈さんを大学進学のようです。非道さんはともかく、和奈さんまでもが……。余程大豪月さんのお世話になったみたいですね。
「……まぁ私も白糸台の連中に何人か声を掛けておく。だが期待はするなよ?」
「心配せずとも私と神童が手を組めば敵などいない!」
その発言が全く冗談に思えないのが怖いところですね。少なくとも大学野球界隈ではあの2人が在学中の大学が連覇するのは間違いないでしょう。
「……では私達は宿舎に戻るとしよう」
「京都に帰るのか?」
「他の連中はそうするだろうが、私達3人は全国大会を最後まで見届けるつもりだぞ!」
「私達を破った新越谷がどこまで進むのか見物ですしね~」
自分達に勝ったからなのか、新越谷の試合観戦をするようです。私もよく観戦していますが、新越谷の野球にはどこか惹かれる部分があるんですよね。不思議です。
「そういう事だ。神童よ、新越谷は手強いぞ?」
「わかっているさ。新越谷の強さは私と二宮が最初に新越谷の練習試合を観戦したあの時から……」
新越谷と柳大川越の試合を観戦した時から、警戒していたんですよね。あの頃はここまでの力は付けていませんでした。何切欠で成長するのかわからないものですね。
「瑞希ちゃん、準決勝見に行くから頑張ってね!」
「私はいつも通り試合に臨むだけです。例え相手が朱里さん達でも……」
対新越谷戦で私に出来る事を1つずつやっていきましょう。
金原いずみの藤和生活……(藤和高校野球部の登場人物は全てオリキャラ及び他作品キャラになります)見たい?
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