尾張シニアとの試合が終わった後、私と二宮は話をしたいと言っていたフロイスさんと話をする事に……。
「初戦突破おめでとー!」
「ありがとうございます」
「あ、ありがとうございます……?」
なんか祝われた……。なんで?二宮はともかく、私は何もやってないよ?
「……ってのはまぁただのお世辞だよ。朱里ちゃんも一ノ瀬さん?も投げてないあのチームに負けるなんて、愛知県最強ってのも大した事ないねー」
「…………!」
あっけらかんに言ってのけるフロイスさんに寒気を覚える。結構大変な試合だったのに……。
「でもあの橘ちゃんは伸びるねー。ありゃ朱里ちゃんや瑞希ちゃんと同じ領域に立てる逸材だ……」
「……フロイスさんにもわかりますか?はづきさんの才能を」
フロイスさんと二宮は橘の才能について話している。しかし私がそんな逸材とは思えないけどねぇ……?
「あの橘ちゃんの才能は成長速度……。見たところ1年にも満たないでしょ?あの子の野球経験」
「そうですね4月17日で丁度1年です」
4月17日は川越シニアの入団式。この日程は毎年入団式を行っている。橘もその時に入団式した訳だけど……。
(六道監督も言ってた。橘の浅い野球経験の中で突出した成長速度……。そして愛知県最強と言われた尾張シニアが橘の成長の為の通過点とも……。監督は一体どこまで先を見てるんですか?)
多分二宮ならその行方がわかるんだろうけど……。
「でも良いよねー。日本は相変わらず楽しそうだ」
「アメリカの方が試合のレベルは高いんじゃないですか?」
「そうでもないよー。瑞希ちゃんならもう知ってると思うけど、アメリカのシニアは今ちょーっと物足りないんだよね。私にとっては……」
「……それでも私は日本よりもアメリカの方が選手レベルが高いんと思いますが?」
「総合的に見ればそうだろうね。でも私がいるシニアには彼方を始めとする強者が集まり過ぎた……。だから相対的に他のチームのレベルが低くなるんだよ。私は正直物足りなく感じるんだ。彼方の球を受けるのは楽しいんだけどね」
つまらなさそうに呟くフロイスさん。彼女は一体何を求めてるんだろう……?
「だからシニアの試合があっても私は参加しない。私1人が抜けても何の支障もないしね。強いて言うなら、彼方が全力で投げられないくらい?」
「それは結構致命的なんじゃ……?」
二宮の情報によると、アメリカのシニアの試合日程は日本とほぼ同じ。つまりフロイスさんのところも本来はアメリカ国内の大会がある筈なんだけど……?
「多少彼方の力がセーブされてる程度じゃ、あのチームはヒビ1つ入らないよ。1番がチャンスメイクして、後続が広げて、4番がお掃除……。この流れが鉄板過ぎて、私はつまらないんだよー」
「それだから貴女は制御の効かない自由人……と呼ばれるのではありませんか?」
「手厳しいねー瑞希ちゃんは。尤もその通りだし、私はそれについて反論は何1つないよ。本来ならチームから除名されてる筈だしね」
確かに……。こんな自由奔放な人間をシニアでやっていける訳がない。つまり必要とされてるんだ。リリ・フロイスという人間は……。
「まぁその点日本の選手達は面白いよね。モノクロだった私の視界に色が付いた感じがする。良い感じにバランスが保たれてるよ」
バランス……?
「だから何かとつまらないアメリカとは中学いっぱいでサヨナラさせてもらうよ。高校からは日本に拠点を作る」
な、なんかとんでもない事を言い始めたぞこの人……。
「日本に移住するのですか?」
「まぁそんなとこー。張り合いのある相手を見付けるんだよ」
フロイスさんの張り合いとなる相手……。そんな人が日本にいるのかな……?
金原いずみの藤和生活……(藤和高校野球部の登場人物は全てオリキャラ及び他作品キャラになります)見たい?
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