「二宮の次は十文字の打席か……。十文字はシニアの都大会でも5本のホームランを打っているのにも関わらず、9番になってるんだな?」
「その理由としては2つ……。1つは渋谷シニアの選手達が全員4番を任せられるレベルの打者だという事、もう1つは相手投手の球筋をじっくりと確認する為……ですかねー?」
「1つ目の理由はわかるが、2つ目の理由は……?」
「下位打線に敢えて座って、相手投手の球筋を確実に把握して対応しやすいようにする……これは瑞希ちゃんもやっている事なんで、多分十文字さんもそうなんじゃないかと思いますよ」
「成程……。そういう考え方もあるのか。ちなみにフロイスもそういう捕手だったりするのか?」
「私の場合はどっちかと言えば、渋谷シニアと同じ立場ですよ。チームメイトの打線が強力過ぎて……」
「必然的に下位打線に落ち着く……という訳か」
「excellent!!」
「何故英語で返す……?」
「私一応アメリカ人ですのでー」
「そういえばそうだったな……。あまりにも日本語が流暢過ぎて忘れていたよ」
「ちなみに純粋なアメリカ人でーす」
「じゃあ相当日本語を勉強したんだな……」
「日本の文化は素晴らしいですから!なんなら移住したいくらいですよー」
(リリ・フロイスが頻繁に日本に出没している……という噂はこうして出来上がったのか……。ジェット機の運転も出来るらしいし、フットワークの軽さが更に噂の信憑性に拍車を掛けているに違いない)
ズバンッ!
『ストライク!』
(あっという間に追い込まれたか……。一ノ瀬が投げる個性的な変化球と、二宮のリードによって悉く打者の裏を欠いたり、読みを確実に通してくる……。この2つは確かに混ざると危険だね)
ズバンッ!
『ボール!』
(そして慎重な捕手は警戒選手を相手に馬鹿正直に3球勝負はしてこない。だからここも振らなかった)
(ここまで十文字さんはスイングなし……)
(いちいち1球外すとかいう面倒くさい事しなければ三振だったのに。はぁ……)
十文字さんの打席になると、バッテリー(主に二宮)はより一層警戒を強めているようにも見える。9番に座ってるけど、間違いなく渋谷シニアで最強の打者だろう。そんな相手の攻め方を二宮なりに模索している……といった感じかな?
ズバンッ!
『ボール!』
これで平行カウント……。状況としてはバッテリーの方が有利な筈なのに、十文字さんも二宮と一緒で何をしでかすかわからないというか読めない部分で、逆に不利になってしまっているという事だ。
(まぁ二宮だから大して不安とかはない訳なんだけど……)
ズバンッ!
『ストライク!バッターアウト!!』
判定はストライク。この打席は無事に十文字さんを打ち取った。
(ふむ?コース的にはややボールゾーンだったと思うけど……?)
(私としては不満ですが、球審に助けられた形になりますね)
あとで知った話だけど、このストライク判定に十文字さんも二宮も不満を抱いていたらしい。十文字さんはともかく、二宮も結構頑固なんだよね……。
(何にせよ最初の山は越えた……)
試合の後半にまた息の詰まるような勝負が行われると思うと、ゾッとするなぁ……。
金原いずみの藤和生活……(藤和高校野球部の登場人物は全てオリキャラ及び他作品キャラになります)見たい?
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