6回裏。渋谷シニアの攻撃は7番から始まる。
ズバンッ!
『ストライク!バッターアウト!!』
まずは先頭打者を三振。初見という事もあって、偽ストレートは通用している。
(このまま抑え切って、絶対に逆転まで繋ぐ……!)
例え十文字さんに回ってこようとも、絶対に抑えてみせる!
「これで7連続三振か……。一ノ瀬とはまた違うタイプの投手だが、早川の方は取り付く島もないな……」
「朱里ちゃんが投げてるのは元々私の友人が投げてた球なんですけど、手数の多さは圧倒的に朱里ちゃんが上ですね」
「手数の多さ……か。フロイスの発言から察するに早川が投げている球は……」
「まぁお察しの通りの球ですよ」
「成程な。球の種がわかっていても、簡単に打てる代物じゃない……。本当に厄介な球だな」
「朱里ちゃん自身はちょっと誤解してるんですよねー。種がわかれば、攻略は容易い……って」
「あれはとにかく応用の効く球なんですよ。様々な球種に化け、速度も付いたら本当に手の付けようがない……。朱里ちゃんが投げてるのはそういう球です」
(まぁあれをどう活かすかは朱里ちゃん次第だけどね……。まぁ今のままでも十文字さん以外には充分に通用する。逆に言えば、十文字さんには今の段階でもワンチャン攻略される可能性すらあるってところかな)
「では私はそろそろ……」
「帰るのか?」
「私が見たいものは見れましたしねー。明日が向こうのシニアの決勝戦で、私がいないと駄目……みたいな事を言われまして……」
「そうか……。忙しい中、私の練習に付き合ってもらって悪かったな」
「いえいえ。私がやりたい事ですんでー。じゃあまた会う日までー♪」
「また会う日……か。果たしてそれはいつになるのやら……」
ズバンッ!
『ストライク!バッターアウト!!』
8番打者も抑えてツーアウト。ここまでは順調だ……。
(そして問題はこのあと……)
脅威の9番打者……十文字園香さんだ。
(さて、こちらとしては1点でも多くリードしておきたいところだけど……)
(例え十文字さんが相手でも、私は全力で投げるだけだ……!)
他の投手だったら二宮のリードを信じれば、抑える事が出来る……って言いたいところを、私と組む時の二宮はノーサインだからねぇ……。
「…………」
こうして二宮の構えているコースに向かって投げるしかない。
ズバンッ!
『ストライク!』
「…………」
(確かに端から見てもただのストレートにしか見えない。こうして間近で見てもストレートとの違いがわからない……)
ズバンッ!
『ストライク!』
(そしてこうして振っても、バットには当たらない……。ただのストレートじゃないのは確定だけど、これって1打席やそこいらで打てる球なのかな……?)
ツーナッシング。二宮の構えているコースは内角のストライクゾーン。3球で決めるつもりだね。
(これで三振……。まずは勢いをウチに呼び寄せる!)
ズバンッ!
(やれやれ……。もしもこの試合の先発投手が早川だったら、私達が負けてたね)
『ストライク!バッターアウト!!』
『アウト!ゲームセット!!』
試合終了。結果は1対4で、私達は渋谷シニアに敗北してしまった……。
(勝敗そのものは夏と同じ……。むしろ夏に比べると、チームとしては強くなった筈)
でも悔しいよ……。このままでは終われない。この借りは絶対に夏で返す!!
金原いずみの藤和生活……(藤和高校野球部の登場人物は全てオリキャラ及び他作品キャラになります)見たい?
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