夏のシニア全国大会……。私達川越シニアは準優勝で終わった。
春の全国大会と同じ結果で、同じ相手に私達は負けてしまった……。
「はぁ……」
「は、羽矢さん。羽矢さんの投球内容そのものはかなり良かったですよ!そんな落ち込む事ないですって!」
「別に……。私の球が格上相手に通じなかったってだけだし、それは私の変化球を強化すれば良いだけだし……」
ふと金原が一ノ瀬さんを慰めている光景を目にした。
(一ノ瀬さんは十文字さんに満塁弾を打たれたけど、投球内容自体は金原の言う通り悪くはなかった……)
一ノ瀬さんの成績は失点4、被安打3、四死球2と良い訳ではないけど、渋谷シニア相手には大健闘だ。渋谷シニアは他のチーム相手だと倍以上の点を取る事も容易いし。
「問題は渋谷シニアの先発投手を崩し切れなかった事でしょう」
「そうだね……」
渋谷シニアの先発投手は私達と同じ1年生女子選手でありながらも、1番の背番号をもらっていた。これそのものはとても凄い事だけど、渋谷シニアのエースは捕手を兼任している十文字さん。
(捕手としてのスキルも一流でありながらも、渋谷シニアのエース投手も務める実力者……。私達との試合ではマウンドに上がる事はなかったんだよね)
「十文字さんは投手の力を引き出すのがとても上手い捕手でした……。それでいて、相手打者の力を封じ込める技量もあり、私も見習いたい部分が多かったです」
「……そっか」
二宮にここまで言わせる選手は数いれど、捕手として二宮を完全に上回っているのは私が知る限りだと十文字さんだけだ。
(金原も、友沢も、高橋さんも……。上手く十文字さんに封殺されてしまった印象が強い)
清本だってあのホームラン以外は凡退……。2打席目で清本がホームランを打てたのも、あの場面での清本の対応が十文字さんの読みの上を行っていたから……。つまり十文字さんのリードを越えるには、常に十文字さんの読みを上回る必要がある。とても難しい話だよね。
「しかし今回の渋谷シニアとの試合を見るに、渋谷シニア相手には朱里さんをぶつければ、投手面では問題なく渋谷シニアの打線を抑えられるでしょう」
「本当に……?」
私の球も1巡だけだったから通用したに過ぎないし、2巡目……特に十文字さんが相手だと、どうなるかわからなかったよ?
(朱里さんは自身の成長をまだ自覚していない……。それが発覚すれば、シニア一の投手になる事は間違いないでしょう。まぁ自覚していない状態でも、女子選手の中では1番を取れそうなものですが……)
な、なんか二宮に呆れられている気がするよ?気のせいかな?
「……何にせよ、次は夏だね」
「そうですね。4月になれば、新しい選手が入団してきます」
私達が川越シニアに入団してからもうすぐ1年が経とうとしている……。新しい選手達が川越シニアの強化に繋がる事を願うばかりだ。
金原いずみの藤和生活……(藤和高校野球部の登場人物は全てオリキャラ及び他作品キャラになります)見たい?
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